クナッパーツブッシュの英雄 戦前の呪いと怨念と懺悔の凄演

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クナパーツブッシュの1943年の英雄

 

ルードヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)
交響曲第3番変ホ長調作品55「英雄」
ハンス・クナパーツブッシュ指揮
ベルリンフィルハーモニー管弦楽団
第1楽章:Allegro con brio    14:39
第2楽章:Marcia funebre     15:07
第3楽章:Scherzo:Allegro vivace  4:14
第4楽章:Finale:Allegro molto  11:22
録音1943年3月31日-4月1日

 

クナパーツブッシュ指揮のベートーヴェンの英雄は、
4種類の録音が残されています。

 

この1943年盤のみスタジオ録音で、それ以外はライブ録音です。

 

1943年3月31日-4月1日 ベルリンフィル(当録音)
1951年5月9日ライヴ ブレーメンフィル
1953年12月17日ライヴ ミュンヘンフィル
1962年2月17日-18日ライヴ ウィーンフィル

 

戦前の50代と戦後の60代と最後が70代の演奏が残されています。




クナパーツブッシュ&ブレーメンフィルにはぶっ飛んだ

クナパーツブッシュの英雄の録音で一番個性的なのは、
51年のブレーメンフィルとの演奏です。

 

僕がもう30年ほど前、LPで聴いて開始の2つの和音を聴いただけど
ぶっ飛んだ記憶があります。

 

最初の和音と2つ目の間が気が遠くなるように開いているのです。
しかもその間が息苦しくなるほどの緊張感が走っているのです。

 

そして2つの和音の後にうねる大蛇の様に流れる主題。
宇宙を遊泳するようなそのテンポ感覚。

 

ただ、さすがにこのテンポではもたないと早々に修正してきますが、
出だしからしばらくは象の背中に乗ったアリの心境で、どうなるのか、どこへ向かうのかと不安になるほどのぶっ飛び演奏でした。



1943年のベルリンフィル盤が第2楽章でキレる

1943年盤は、スタジオ録音ということもあり、しかもクナパーツブッシュも50代ということもあるのか第1楽章は早めのテンポで颯爽と展開します。

 

そして、第2楽章も提示部では淡々と進むのですが、展開部からクナパーツブッシュとベルリンフィルのメンバーたちの不満、不安、怒り、恨みが爆発します。

 

録音された時期は、43年3月は、ドイツの戦況も不利になりだした頃、
前月にはソ連軍の総攻撃で10万人近い捕虜を取られ降伏しています。

 

ここからドイツは転がるように転落して行きます。
狂った指導者は、焦土と化しても闘う姿勢を見せているし、国内の弾圧もより厳しくなって行きます。

 

クナパーツブッシュだって、ベルリンフィルのメンバーだって、明日の命の保証もありません。

 

そんな中での演奏。
破壊される祖国、居なくなる仲間たち、狂った指導者、何もできない自分たちと様々な感情が交錯してこんな演奏になったのでは、と僕は思わずにはいられません。

 

まとめ

クナパーツブッシュという人は、改めて凄い人だった思います。

 

戦後の“英雄”の演奏は、ぶっ飛びもののユニークな演奏で、ベートーヴェンの交響曲の演奏史に異彩を放っています。

 

クラシック愛好家にはそちらが話題になることが圧倒的に多いようですが、ぜひ、戦前のベルリンフィル盤を聴いてください。

 

クラシック音楽を普通に楽しめる平和な時代がどんな素晴らしいかを
認識させてくれます。





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