クレンペラー 復活の渾身のベートーヴェン「運命」

目安時間:約 4分
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ベートーヴェン:交響曲第5番ハ短調作品67「運命」
オットー・クレンペラー指揮
フィルハーモニア管弦楽団
1959年録音 アリアCD復刻

 

クレンペラー指揮のベートーヴェンは、正規の物から、中には出所不明のライヴ物まで沢山出ていますが、EMIの正規ステレオ録音のフィルハーモニア管との全集は、1957年~60年に掛けてもので、一番安心して聴ける録音です。

 

でも、この全集も大きく分けて2つの時期に録音されていて、
その内容はかなり違うように思います。

 

録音順に並べると「第1」「第2」「第4」「田園」「第8」「第9」が57年10月、続いて「英雄」「運命」が59年10月、「第7」が60年10月~11月。

 

結論を言うと、57年の録音よりも59年以降の録音の方が圧倒的に名演なのです。しかもレコード史上に残る名演なのです。

 

そこで不思議なのは、57年10月と59年10月の間に何があったかです。

 

実は58年にクレンペラーは大病を患い、回復期にベッドで喫煙していて、
シーツに焼けこげをつくり、あわてて掛けた液体が引火性の強いもので、
彼は瀕死の重度のやけどを負い、ようやく一命をとりとめるということがあったのです。

 

その病床に稀代の音楽プロデューサー、ウォルター・レッグが訪ね、
フィルハーモニア管との終身契約を申し出るのでした。

 

59年8月にクレンペラーはその申し出を受諾し、フィルハーモニア管初の常任指揮者に就任することになりました。

 

するとどうでしょう、70才半ば近い老人は、青年に戻ったかように、
回復し、精力的に大曲の録音やコンサートに臨んで行くようになりました。

 

その直後の録音が、59年10月の「英雄」と「運命」です。
どちらも稀代の名演ですが、特に「運命」は、あの辛口評論家・宇野功芳氏をして、47年のフルトヴェングラー、39年のトスカニーニと並んで
同曲のレコード中、ベスト3として挙げているくらいです。

 

近年の古楽器演奏に比べると遅いテンポと前時代的で古色蒼然とした表現ですが、細部まで神経を通わせた刻明な表現と格調高い演奏は、人間の生命力の凄さを感じさせます。

 

この後のクレンペラーは膨大は録音やコンサート活動を行うことを思うと、この1959年は、クレンペラーにとってはもちろん、録音でしか彼に接することが出来ない世界中のクラシック音楽ファンにとって、かけがいのない年となったわけです。

 

どうか素直な気持ちでこの演奏を聴いてください。
人間にはこんなに凄い力があるのだ、と気づくはずです。




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