ブルックナー第4番 ハンス・シュミット 偉大なる凡事徹底

目安時間:約 5分
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ブルックナー(1824-1896)
交響曲第4番 変ホ長調 「ロマンティック」

 

ハンス・シュミット=イッセルシュテット指揮
北ドイツ放送交響楽団
1966年12月14日、16日 ハンブルク

 

ブルックナーの名演はたくさんありますが、これほど何もしていないように見えて、内容のつまった演奏は少ないと思います。

 

ひとつひとつのフレーズに心がこもっています。

 

聴いていて一人一人の奏者が、音楽を奏でる喜びに感動しながら
演奏している様が伝わってきて、聴き手も、ああなんて素晴らしい曲だろう、演奏だろうと心を打たれます。

 

奏者からその良さを引き出している指揮者ハンス・シュミット=イッセルシュテットの人間性、音楽性の高さもこの素晴らしい演奏の理由でもあります。

 

第二次大戦後の荒廃したドイツで、占領軍の将校が、疎開先のハンス・シュミットを見つけ出し、訪ねてきて、新しい放送オーケストラの創設と育成に尽力してほしいと依頼して来ました。

 

そして、占領軍はシュミット=イッセルシュテットに1台のクルマを与え、彼はそれで各地の捕虜収容所を回って、散り散りになっている音楽家たちを集めて、オーディションをし、なんと1945年11月には1回目のコンサートを開いています。

 

それが北ドイツ放送交響楽団です。

 

 

シュミット=イッセルシュテットの手記の中で、各奏者たちはどこから調達したのかわからないがそれぞれの楽器を携えてやってきた。

あるコントラバス奏者は、壊れてもおかしくないボロボロのウッドベースを持ってきた演奏したが、自分に深い感銘を与える演奏をしてくれたと語っています。

シュミット=イッセルシュテット自身が「わが夢のオーケストラ」と呼んだ北ドイツ放送交響楽団の創設と育成は、彼の偉大なる業績であると共に、ドイツの復興を象徴する存在だったと思います。

 

米英の占領軍が、新設オーケストラの創設にシュミット=イッセルシュテットを選んだことは、彼らの情報収集の確かさに感服するしかありません。

 

また、シュミット=イッセルシュテットが、大戦前からのナチス台頭のもとでも、ナチ党の入党もなく、ヒンデミットやストラビンスキーなどナチスが白眼視をする作曲家の曲も積極的に取り上げていたことなど、英米情報将校たちはしっかり把握していたのです。

 

シュミット=イッセルシュテットの時の勢力に迎合することなく、自分の信じる道を行く姿勢は、素晴らしいものです。

 

戦前、ハルビンのオーケストラを指揮していた朝比奈隆が、やはり同じ姿勢を貫いた人で、敗戦後の引き揚げ時に多くの中国人から助けてもらった、と手記に書いています。

 

本当に信頼される人とはこんな人たちなのですね。

 

ハンス・シュミット=イッセルシュテット&北ドイツ交響楽団のブルックナーの隅々まで美しく伸びやかな演奏を聴いていると、その創設期の物語に思いを馳せ、気が付くとうっすらと目が潤んでいる自分に気づきました。



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