フルトヴェングラーのベートーヴェン 第5番聴き比べ 戦前・戦中篇

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フルトヴェングラーへの想い

ヴィリヘルム・フルトヴェングラー(1886-1954)
ドイツの指揮者・作曲家。

 

多分、日本において過去の指揮者の中でも、もっとも人気の高い一人でしょう。いや、もしクラシック音楽マニアの指揮者部門の投票をしたとしたら、ダントツで一位かもしれません。

 

僕も今から47年前の13才の中学生2年生の冬に、北陸・富山のレコード屋で、フルトヴェングラー指揮ウィーンフィルのベートーヴェンの"英雄"のLPを購入していて以来の付き合いです。

 

でも、ずっと聴いてきたわけではなく、フルトヴェングラーの録音に目覚めたのは、ほんのこの2、3年でした。

 

理由としては、まず過去の音源を扱った音楽CDのセットなどが安価で購入できるようになったこと。

次に鑑賞に堪え得る音質の改善されたCDの出現。

 

それの伴う、僕自身の鑑賞力の向上?

かなと思います。

 




クラシック音楽は死なない

僕は、中学生の時にクラシック音楽に目覚めましたが、それ以来一貫してクラシック音楽ばかり聴いてきたわけではありません。

 

LP、CDのコレクターとしても波がありました。

 

でも、僕自身が年齢を重ねるに従い、クラシック音楽の楽しみが深まってきました。

 

なぜか自分でも良く分かりませんが、クラシック音楽と言うのは、あくまで芝居や映画やドラマのような再現芸術で、一回限りものです。

 

だからそこに瞬間に命を賭けた演奏家の思いを感じるからかもしれません。

 

もちろん、スタジオ録音で製作したCDは、その時限りのはありません。しかし、CDを製作するまでに多くの人間が関わり、ひとつの製品として発表するわけですから、映画などの映像芸術と同じようにそれ自体が作品なのです。

 

それが現代は、例えばこれから紹介する「ヴィリヘルム・フルトヴェングラー ザ・レガシー」CD107枚組などは、1万円台で購入できるのです。

 

このセットには、1926年から亡くなる54年までの録音が収録されています。

 

ほぼフルトヴェングラーの主要な録音が網羅されています。

 

多分これからの人生を楽しむには十分すぎる量ですね。

 

しかもフルトヴェングラー以外のCDもたくさん聴かなきゃいけないしね。

 

そうだから今こそクラシック音楽の往年の名演奏を聴く、絶好のチャンスなのです。



 

フルトヴェングラーの戦前・戦中の第5の録音

 

宇野功芳氏の著書、「フルトヴェングラーの全名演名盤」のよると
戦前・戦中の第5の録音が4種類あるようです。

 

戦前
①1926年10月16日、30日   ベルリンフィル スタジオ録音・SP
②1937年10月08日、11月3日  ベルリンフィル スタジオ録音・SP

 

戦中
③1939年09月13日      ベルリンフィル 放送録音?
④1943年06月27日~30日   ベルリンフィル 実況録音・LP

 

この内、私の手元には、①②④の3種類があり、全てアリアCDによる復刻盤です。

 

 

アリアCDは店主・松本大輔氏が運営する、CDの通販ショップです。
近年は、松本氏のクラシック音楽に対する情熱により、歴史的な名盤の復刻にも尽力されこの3枚とも、松本氏プロデュースによる渾身の復刻です。

1926年盤 フルトヴェングラー&ベルリンフィルの第5

優秀な復刻で、ストレスなく聴くことが出来るのがありがたい。

しかし、90年以上前の1926年(大正15年-昭和元年)※昭和元年は年末の1週間だけだった。
の録音なので音質を期待する方が間違っていますが、貧しい音質ながら、フルトヴェングラーの曲想の描き方がはっきりわかるのがありがたいですね。

 

録音当時まだ40才のフルトヴェングラーの若々しく雄渾なベートーヴェンです。

1937年盤 フルトヴェングラー&ベルリンフィルの第5

これも優秀な復刻に感謝したい。11年前の録音に比べ断然音質が豊かになっていて、誠に聴きやすいです。

 

フルトヴェングラー50才の時の録音で、充実した演奏を聴かせてくれます。

第1楽章の覇気のある表現、表現に熟して彼の録音の中でももっとも整然として深みのある演奏です。

 

 

37年と言えば、ナチスの台頭により、演奏活動もし辛くなり、多くのユダヤ人演奏家がドイツを去っています。また翌年には、フルトヴェングラー亡き後にベルリンフィルの常任指揮者になるカラヤンが、初めてベルリンフィルを振り、大成功を収め、「奇跡のカラヤン」と大評判になっています。

 

フルトヴェングラーとカラヤンは、20才以上も年齢が離れていたし、実力、権威共に比べようがないほど離れていましたが、フルトヴェングラーはカラヤンを非常に敬遠し、戦後もそれが続き、これ以降、カラヤンは、54年にフルトヴェングラーが亡くなるまでの10数年間で10回しかベルリンフィルを指揮をする機会がありませんでした。

1943年盤 フルトヴェングラー&ベルリンフィルの第5

これはLPからの復刻で、とても70年以上前の録音とは思えません。

 

もしフルトヴェングラーがベートーヴェンの第5番をこれ以降残さなかったとしてもこの復刻で聴くことが出来れば、永遠に語り継がれる名盤になると思います。

 

 

ベルリンフィルの充実した響き、フルトヴェングラーの情熱と寂寥感の混合した表現、まさにこの演奏に命を賭けた表現で、まったく圧倒される演奏です。

 

1943年、ドイツの戦況は怪しくなって来ていました。国民のためを少しでも思える国家のトップならここで降伏をするという選択を考えるのでしょうが、狂人ヒトラーはそんなことを考えません。

 

その中、フルトヴェングラーは、演奏を続けます。この時より約1年半後、フルトヴェングラーは辛くもスイスに逃れるのですが、最後の最後までドイツにとどまり演奏を続けたフルトヴェングラーをドイツ国民は見ていました。

戦後の復帰の時、あれだけ熱狂的に迎えられたのは、この時の姿があったからだと思います。

 

一方、4歳年下のエーリッヒ・クライバーは10年ほど前にさっさとナチスを批判して国外に亡命しました。その時は勇敢でカッコ良かったかもしれませんが、戦後、ヨーロッパに復帰した時には、冷たく迎えられました。

 

人の心と言うのは勝手ですが、それが人心と言うものなのでしょう。

だから、フルトヴェングラーの人気は衰えないのです。

 



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