朝比奈隆 86年渾身の第九は、日本人による日本人の最高峰に

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1986年(昭和61年)4月の

NHK交響楽団の第990回定期公演は、

巨匠ギュンター・ヴァントのキャンセルにより、

急遽朝比奈隆が指揮を執ることになりました。

 

まあ、ヴァントの代役となれば、

朝比奈隆しかいないでしょう、と思いますが、

N響側は、大変だったと思います。

 

朝比奈隆の予定は、たまたま空いていたのか、

それとも相当調整したのかわかりませんが、

 

朝比奈隆は、4月23日(水)から26日(土)までの4日間連続、

同じメンバーで第九を演奏しています。

 

 

この朝比奈が代役で立ったのが

NHK交響楽団の第989回と990回の定期公演で、

 

この前後の指揮者を見ると、

第988回が、ペーター・マークの指揮でシューベルトの交響曲、

 

次の第991回は、フェルディナント・ライトナー指揮で

ブラームス、ベートーヴェンと錚々たる指揮者が務めています。

 




日本で第九が初演されたのは1918年ドイツ兵によって

 

日本で初めて、

ベートーヴェンの第九が演奏されたのは、
1918年(大正7年)6月1日、

四国の徳島の坂東俘虜収容所における

ドイツ兵のよるものです。

 

このドイツ兵は、好きで日本に来たのではなく、

第一次世界大戦の捕虜として収容されていたのです。

 

ここに収容されていたドイツ兵は、

1914年11月、第一次世界大戦において

中国の青島で戦っていたドイツ軍で、

日本軍の攻撃に降伏して

捕虜として日本に護送されていた人たちです。

 

詳しくは、また別途紙面を設けますが、

この坂東俘虜収容所の所長だった

陸軍歩兵大佐松江豊寿の人道的対応で、

 

捕虜のドイツ兵は、収容所内では自由に過ごすことが出来、

所内でオーケストラや合唱団が出来、

そこので第九を演奏するまでになったのです。

 

ちなみに松江は、その後少将なり軍を退官後、

故郷会津若松の市長を務め、1925年に若松市長を退任。

 

戦後の1956年(昭和31年)に東京の狛江市の自宅で83歳で亡くなっています。

松江の目には、太平洋戦争に狂信的に進む軍部はどう映っていたのでしょうか。



 

 

朝比奈隆の名演 日本人の日本人による第九の頂点

 

日本で、第九が初演された1918年は、朝比奈隆は10歳。

 

当然、当時の朝比奈少年は、

将来日本を代表する指揮者になるとは、

思ってもいなかったでしょう。

 

日本人の日本人だけによる第九の初演は、

1924年11月29日です。

 

東京音楽学校(現・東京藝術大学)の教授と学生による

オーケストラと合唱団によって演奏されました。

 

1924年は、ベートーヴェンが第九を

初演してから100周年だったのです。

 

この東京音楽大学の演奏会は、

公演日が近づくと

新聞にもかなり記事が掲載され、

評判になりました。

 

結局、当初11月29日と30日の2回公演の予定が、

12月6日に追加公演も開催されました。

 

会場は、東京上野の東京音楽学校の講堂で、

奏楽堂と呼ばれる木造、387席のホールでした。

 

3回とも満員になったということですから、

1,000人以上の人が聴いたことになります。

 

その日本人の日本人による最初の演奏会から、

約62年、渋谷のNHKホールに、

日本人の日本人のよる考えられる最高の第九が響いたのです。

 

当時16歳の少年だった朝比奈隆は、

78歳になり押しも押されぬ世界の巨匠になり、

ソリストは日本声楽人のトップクラス、

 

合唱団は、前身は東京音楽学校だった東京藝術大学の合唱団、

そしてオーケストラは、NHK交響楽団。

 

当時考えられる日本音楽界最高のメンバーでした。

 

演奏は、ただただベートーヴェンの音楽が流れ、

どの部分も真摯で充実した響きで満たされています。

 



朝比奈隆の第九 86年N響と、生涯トップクラスの超名演

 

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン - Ludwig van Beethoven (1770-1827)
交響曲第9番 ニ短調 「合唱付き」 Op. 125
Symphony No. 9 in D Minor, Op. 125, "Choral"
作詞 : フリードリヒ・フォン・シラー - Friedrich von Schiller

 

1.(18:15)I. Allegro ma non troppo, un poco maestoso
2.(15:13)II. Molto vivace
3.(18:32)III. Adagio molto e cantabile - Andante moderato
4.(26:41)IV. Finale: Presto - Allegro assai
total(78:41)

 

片岡啓子 - Keiko Kataoka (ソプラノ)
伊原直子 - Naoko Ihara (アルト)
小林一男 - Kazuo Kobayashi (テノール)
勝部太 - Futoru Katsube (バス)
東京芸術大学 - Tokyo University of the Arts
NHK交響楽団 - NHK Symphony Orchestra
朝比奈隆 - Takashi Asahina (指揮)
録音: 25 April 1986, NHK Hall, Tokyo

 

 

【DVD】ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付き」(NHK交響楽団/朝比奈隆)(1986)

 

投稿日:2012/09/06
92歳で生涯を終える直前まで舞台に立ち続け、その重厚で誠実な音楽によって多くの聴衆の支持を集め続けた巨匠、朝比奈隆(1908~2001)が、1986年4月の第990回定期公演で指揮した「第9」です。この公演ではドイツの巨匠ギュンター・ヴァントが登場する予定だったものがキャンセルとなり、氏の登場となったものですが、氏の残した数々の演奏の中でもトップクラスに位置付けられるほどの、超の字が付く名演奏となりました。その彫りの深さとスケールの大きさは全く彼の演奏以外からは聴けない比類のないもので、どの部分をとっても真のベートーヴェンの音楽になっているといっても過言ではないでしょう。

 

 




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