LP、CD、本でごった返している部屋を掃除しました。
そうすると懐かしプログラムが出てきました。
朝比奈隆 ブルックナー自選集
新日本フィル 特別演奏会 Ⅰ
日付は、1992年9月2日。
会場は、サントリー・ホール
当時、朝比奈さんは84歳。
一方僕は34歳でまだ独身でした。
サントリーホールなら会社から歩いても17~18分ほどで行ける距離です。
多分、仕事が終わって急いで行ったのでしょう。
そしてこの時のライブ録音がCD化されているのを知りました。
朝比奈隆 ブルックナー5番 ’92年9月2日サントリーホール
いま聴くと凄い演奏です。
普通、コンサートで感動して、CD化されてがっかりするパターンが多いのですが、僕は、CDで改めて聴いてあの時自分が聴いた演奏がこんなに凄い演奏だったのかと思い知ったのです。
この時の演奏で僕が憶えているのは、演奏が終わった後、観客の拍手が鳴りやまず、しかもみんな立ち上がって喝采するものですから、朝比奈さんは、何度もそのステージに戻ってくるというのを繰り返していた光景です。
僕は、ああ、朝比奈さんは幸せが指揮者人生を送っているな、感動した記憶です。
つまり肝心な演奏のことはほとんど憶えていません。
こんな素晴らしい演奏を目の前にしてなんともったいないことか。
つまり当時30代前半の僕は、ブルックナーのそして朝比奈さんの音楽を理解できるだけの域に達していなかったということです。
仕事も忙しく、終われば毎晩六本木を飲み歩く生活をしていたので、音楽を聴く暇などありませんでした。
27年も経ってようやく蘇った感動です。
ブルックナーを愛する人には本当に聴いて頂きたい名演です。
新日本フィルも高次元の演奏を展開しています。
朝比奈隆 名盤 ブルックナー交響曲第5番 新日本フィルとのライブ
アントン・ブルックナー – Anton Bruckner (1824-1896)
交響曲第5番 変ロ長調 WAB 105 (1878年稿・ハース版)
Symphony No. 5 in B-Flat Major, WAB 105 (1878 version, ed. R. Haas)
1.(22:45) I. Introduction: Adagio – Allegro
2.(17:20) II. Adagio, Sehr langsam
3.(14:04) III. Scherzo: Molto vivace (Shnell)
4.(24:41) IV. Finale: Adagio – Allegro moderato
total(78:50)
新日本フィルハーモニー交響楽団 – New Japan Philharmonic Orchestra
朝比奈隆 – Takashi Asahina (指揮)
録音: 2 September 1992, Suntory Hall
ブルックナー:交響曲第5番(1878年ハース版)(新日本フィル/朝比奈隆)(1992)
朝比奈隆が亡くなってしばらくが経ち、かつては一部で神格化された風もあった(そうなれば口さがないアンチもまた存在した)のも、今ではもう少し相対化して語れる時が来ているのかもしれません。しかしそれは、半ば忘れていて、このようにNMLに登場したところでふと再訪して、想像以上の雄渾な音楽造形に改めて新鮮な思いで圧倒される、という形であるのかもしれません。特にこの生々しく鮮明な録音でとらえられた名高いアルバムを大きな感動を持って聞き、新日本フィルの高い水準のアンサンブルと朝比奈の骨太で豊かな音楽表現が素晴らしい形で統合された、これからも名盤として語り継がれるべきものであると再認した次第です。
ナクソスミュージックライブラリーのレビューより
2008年に生誕100年を迎える朝比奈隆(1908 – 2001)。親密な関係を続けた新日本フィルとの名演が、『DSDリマスタリング』で蘇りました。
発売当時、「数ある朝比奈のブルックナー演奏の中でも総決算的な名演」と賞賛されたのがこの第5番(ハース版)です。1992年9月2日、サントリーホールにおけるライヴ録音。
タワーレコードより
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