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クレンペラーの名盤 ケルン放送響 モーツァルト、ベートーヴェン

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20世紀の巨匠としてトスカニーニ、フルトヴェングラー、ワルターと並び称されるクレンペラー(1895-1973)。

幅広いレパートリーを持ち、特に60年代以降は、EMIに膨大なステレオ録音が残されていて、クレンペラーというとその頃の演奏が一番に思い出されます。

 

また評論家・宇野功芳氏もクレンペラーは60年以降で後半なるほど音楽に深みが増していると評価しています。

 

遅いテンポで楽譜の隅々まで刻明に再現していく表現は、独特で一つの巨大なヨーロッパの石造りの建築物を連想させます。

 

まさに残された録音は仰ぎ見るような壮大ものが多いです。

 

ただ、30年以上、クレンペラーの音楽に心酔し彼の録音を集めてきた僕の最近のトレンドは、50年代の録音です。クレンペラーは、54年にウォルター・レッグのもとEMIと契約して多くの録音を行っていきますが、演奏家活動も積極的に行っていて、この時代の録音も多く発表されてきています。

 

そんな時代のケルン放送響との録音は、60年代以降ではあまり感じなくなった、迫力と覇気にあふれているのです。

クレンペラーの演奏を聴いた後、他の指揮者の演奏で聴くと生ぬるく感じてしまうくらいです。

 




オットー・クレンペラーの印象 1955年ロンドンにて

 

植村攻著「巨匠たちの音、巨匠たちの姿」(1950年代・欧米コンサート風景)は、1950年のロンドンを中心に巨匠たちの姿を生き生きと描いた名著です。

 

植村氏は、旧富士銀行で専務取締役まで務めた方で、1955年から59年までロンドン支店に勤務した頃、ロンドンはもちろん、ザルツブルク音楽祭やバイロイト音楽祭への足を伸ばし、コンサートを聴き巡りました。

 

その時の記録を一冊の本にまとめたのが「巨匠たちの音、巨匠たちの姿」です。

 

クレンペラーはちょうどフィルハーモニア管弦楽団の指揮者をしていたころで、ロンドンでは何度も演奏をしていて、植村氏はそのほとんどを聴きに行ったそうです。

 

植村氏は初めてクレンペラーの姿を見た時の文章が秀逸ですの以下の引用します。

 

“12月7日(1955年)の夜、私が初めて見たクレンペラーは、制服を着たホールの職員が押す車椅子に座ったままの姿で登場した。ステージの中央まで来ると、職員が車椅子を観客席の方に向け、クレンペラーは首だけをこっくりと前に傾けて不器用な挨拶をし、職員は車椅子をクルリと180度オーケストラの方に向け直すと足早にステージから去って行った。

その時に私が受けた印象は、先ず、なんと大きな人かということであった。車椅子に座っているのに、何だか立っている職員よりも大きく見えた。また、立ったままでは指揮が出来ないほど不自由な身体だというのに、その風貌は文字通り威厳に溢れ、大鷲が巌の頂きにとまって睥睨しているような感じを受けた。”

 

その時のオーケストラが、BBC交響楽団でその時のプログラムが、モーツァルトの“プラハ”とブラームスの交響曲第4番だったそうですが、その前に聴いたBBC響の演奏に比べてもひと際感銘深いものだったそうです。

 



クレンペラーの名盤 バッハ、モーツァルト、ベートーヴェン

 

ヨハン・ゼバスティアン・バッハ – Johann Sebastian Bach (1685-1750)
管弦楽組曲第3番 ニ長調 BWV 1068
Overture (Suite) No. 3 in D Major, BWV 1068

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1.(09:10) I. Ouverture
2.(06:07) II. Air, “Air on the G String”
3.(03:32) III. Gavotte I-II
4.(01:21) IV. Bourree
5.(03:03) V. Gigue
total(23:13)

ケルン放送交響楽団 – Cologne Radio Symphony Orchestra
オットー・クレンペラー – Otto Klemperer (指揮)
録音: 17 October 1955, Saal 1, Funkhaus, Cologne, Germany

 

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ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト – Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791)
交響曲第29番 イ長調 K. 201
Symphony No. 29 in A Major, K. 201

6.(08:17) I. Allegro moderato
7.(07:53) II. Andante
8.(03:00) III. Menuetto
9.(04:36) IV. Allegro con spirito
total(23:46)

ケルン放送交響楽団 – Cologne Radio Symphony Orchestra
オットー・クレンペラー – Otto Klemperer (指揮)
録音: 8 February 1954, Saal 1, Funkhaus, Cologne, Germany

 

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ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン – Ludwig van Beethoven (1770-1827)
交響曲第1番 ハ長調 Op. 21
Symphony No. 1 in C Major, Op. 21

10.(9:00) I. Adagio molto – Allegro con brio
11.(08:16) II. Andante cantabile con moto
12.(03:41) III. Menuetto – Allegro molto e vivace
13.(06:01) IV. Adagio – Allegro molto
total(26:58)

ケルン放送交響楽団 – Cologne Radio Symphony Orchestra
オットー・クレンペラー – Otto Klemperer (指揮)
録音: 11 February 1954, Saal 1, Funkhaus, Cologne, Germany

 

J.S. バッハ:管弦楽組曲第3番/モーツァルト:交響曲第29番/ベートーヴェン:交響曲第1番(ケルン放送響/クレンペラー)(1954-1955)

 

名指揮者オットー・クレンペラー(1885-1973)。彼は20世紀を代表するドイツの指揮者であり、その偉大なる名前は現在でも全く色あせることはありません。幅広いレパートリーを持ち、晩年は彼自身の美学による「徹底的に遅く厳格なテンポ設定」を施し、過剰な感情移入を極力排除した演奏で、マーラーを始めとした厚みのあるスコアを隅々まで見通すことに注力した人として知られていますが、1950年代の演奏は、もう少し即物的であったとも言われています。この演奏は、クレンペラーがケルン放送交響楽団にデビューした時の記録です。1920年代からケルン歌劇場でのクレンペラーのアシスタントを務めていたケルン放送のプロデューサー、アイゲル・クルットゥゲは、彼の印象について「第1小節から、まるでライオンの爪で切り裂かれるようだった」と日記に記していますが、その表現こそが、クレンペラーの本質を表していると言っても過言ではないでしょう。1954年のバッハとモーツァルトのコンサートでの成功事例を元に、その翌年もケルン放送響に招聘されたクレンペラーは、ベートーヴェンの第1番の交響曲でその真価を発揮したのです。とは言え、この演奏は、あの伝説的なロンドンでの客演後、英国EMIのプロデューサー、ウォルター・レッグと契約を交わし、フィルハーモニア管弦楽団とレコーディングを開始した頃のものだったため、EMIとの契約もあり、このケルン放送との演奏はLPやCD化されることもなく、大切に保存されていたのでした。巨匠として世界的名声を勝ち得たクレンペラーの自信に満ちた姿は、この演奏からもはっきりと見て取れるものです。ナクソス・ジャパン

 

 




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