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フルトヴェングラーとナチス 戦中の凄絶演奏集からベートーヴェン

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平昌オリンピックも開催前の盛り上がらなさで不安でしたが、終わってみると過去最高の13個のメダル獲得ということで、最終的には大いに盛り上がりましたね。

 

本日は、東京ミッドタウンで選手団の帰国報告会が開催され、大勢の人達が集まりました。

 

僕も会社が近所なので、カメラ片手に行きましたが、なんとか小平選手や宇野選手、そして羽生選手のモニター画面越しに収めることが出来ました。実物は遠すぎて小さくしか撮れていない(TT)

 

さて、今回のオリンピックも北朝鮮の政治利用でアイスホッケーの合同チーム結成など、スポーツと政治は別と言いながら、北朝鮮に利用しまくられたという印象は拭い去られません。

 

歴史的にも1936年のベルリンオリンピックは、ヒットラーのナチスに完全に政治利用された開催とされています。そしてその6年後ナチス・ドイツは第二次世界大戦を引き起こすわけですが、その中にあって政治と音楽は別!とナチスに抵抗し最後までドイツに留まり演奏し続けた指揮者がいます。

 

そう、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(1886-1954)です。
今日は、「戦中のフルトヴェングラー」というタイトルで、フルトヴェングラーの戦中の凄絶演奏9曲を最新リマスターで集成したアルバムをご案内します。

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フルトヴェングラーのベートーヴェン交響曲第4番

 

ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)
交響曲第4番変ロ長調作品60
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮
ベルリンフィルハーモニー管弦楽団
録音:1943年6月27~30日 フィルハーモニー、ベルリン

Ⅰ(11:01) Adagio-Allegro vivace
Ⅱ(11:54) Adagio
Ⅲ(05:34) Allegro vivace
Ⅳ(06:52) Allegro ma non troppo

 

「フルトヴェングラーの最高の演奏というと、戦時中の録音に着目するのが習いとなっている」(ジョン・アードイン『フルトヴェングラー・グレート・レコーディングス』藤井留美訳、音楽之友社)

 

戦時中というとフルトヴェングラーは、56歳から59歳。
気力体力が充実する年齢で、それだからこそ戦火まじえる激動の時代にあって、自らの芸術活動に命を賭けることが出来たのかもしれません。

 

さて、ベートーヴェンの第4番は、僕の好きな曲です。これでなかきゃという特別なお気に入りはないですが、シュミット-イッセルシュテット&ウィーンフィルの優美にしてコクのある演奏もいいし、ガーディナーの胸のすくような颯爽とした演奏も好きだし、クレンペラーの刻明にして重厚な演奏も捨てがたいし、バーンスタインのカロリーの高い覇気溢れる演奏にも惹かれます。

 

ところがフルトヴェングラーは出だしから違います。ここまで壮絶な演奏はないですね。

 

主部に入るところなんか、第5番「運命」の第3楽章から終楽章に突入する時のような破壊力があります。

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この録音について、評論家・宇野功芳氏は「フルトヴェングラーの全名演名盤という著書の中で次のように表現しています。長文ですが引用します。

 

馬鹿でかいスケールと、はちきれるような内容をもって、世界の苦悩を一身に背負った表現を、誰はばかることなく行っているのだ。これを戦時下という時代のせいにしてはならない。芸術の根本とは本来このようにあるべきだからだ。

「第四」の場合、確かに疑問は残るが、フルトヴェングラーにとって、これ以外に自分の生きる道はなく、妥協すれば彼も死に、ひいては音楽自体も死んでしまう。だから正直に、感じた通りを行うことだけが、芸術家としての彼の真実となり得るのである。

フルトヴェングラーのベートーヴェン交響曲第7番

 

ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)
交響曲第7番イ長調作品92
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮
ベルリンフィルハーモニー管弦楽団
録音:1943年10月31日~11月3日 フィルハーモニー、ベルリン

Ⅰ(12:38) Poco spstenuto-vivace
Ⅱ(09:48) Allegretto
Ⅲ(08:23) Presto
Ⅳ(06:38) Allegro con brio

 

この第7番は、曲想からして第4番い以上のフルトヴェングラーらしい壮絶な演奏です。

しかしそんな中では第2楽章が絶品です。

ここでも宇野功芳氏の名解説をご紹介します。

 

第2楽章はフルトヴェングラーの独壇場であろう。しみじみとした音色と歌わせ方、深い呼吸を保ったフレージングとクレッシェンドなど、ことによるとウィーン盤※1を凌ぐかもしれない。弱音効果も効いている。主題につけられた複前打音を、拍の頭で長く奏するのも賛成だ。

この録音は悪くなく、特に木管の音色が良く取れていていいと思います。




まとめ

 

政治と音楽は別物という考えでフルトヴェングラーは、ナチスに最後まで抵抗。
しかし、ナチスドイツ崩壊の僅か前に辛くもゲシュタポの追跡を免れスイスに亡命して一命を取りとめました。

この辺の攻防は、まるで映画のシーンを見るようです。

さて、ちょうどこの頃、ベルリンでは、フルトヴェングラーに次ぎ指揮者としてヘルベルト・フォン・カラヤンが台頭してきていました。

カラヤンはフルトヴェングラーよりも22歳も若いながら、フルトヴェングラーを脅かす存在となっていました。

この辺の二人の権力闘争も面白いので「カラヤンとフルトヴェングラー」中川右介著で詳しく取り上げていますので、ぜひ読んでみてください。



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