こんにちは、
ともやんです。
ドイツの名指揮者ニコラウス・アーノンクール(1929-2016)が、86歳の高齢で亡くなってから2年が経ちました。
今週、ゴールデンウィークに入ってから、アーノンクールが90年にヨーロッパ室内管と録音したベートーベンの交響曲全集を聴き進めていますが、これが期待を裏切ってなかなかいいのです。
なんか、気が付くと夢中で聴いている自分を発見します。
アーノンクールというとどうも奇才で奇抜な演奏と言うイメージを抱きますが、このベートーベンの交響曲全集には、そんな面は出てこないで、ひたすらフレッシュに躍動的な演奏を展開しています。
クルマに例えると、非力なコンパクトカーだけど、きびきびとコーナを駆け抜けていく印象ですね。
また、ヨーロッパ室内管の小編成のメリットとして、内声部のビオラ、チェロ、コントラバス、そして木管、金管の音の分離が良くスコアを見ながら聴くというのも楽しいと思います。
さて、今日は第2番と第5番”運命”について記したいと思います。
アーノンクールの名盤 ベートーベン交響曲第2番&第5番
アーノンクールとヨーロッパ室内管とのベートーヴェンの交響曲全集は、第1番から8番は、1990年6月29日から7月5日までの1週間で集中的に録音しています。
第9番のみ翌年の’91年6月21日に録音しています。多分演奏会形式で集中して録音したのでしょう。
さて、今日は、昨日の第1番と第3番”英雄”に続いて第2番と第5番”運命”
交響曲第2番ニ長調作品36
第1交響曲完成後ただちに着手し1802年に完成。
作曲時ベートーベンは聴覚の悪化に来しみ、同年夏にはハイリゲンシュタットに転地療養を試みています。
耳疾の慢性化に絶望した彼は、10月、有名な遺書まで記すに至りましたが、やがて苦悩を克服してウィーンに戻り、
翌1803年4月5日、アン・デア・ウィーン劇場で自らの指揮によるこの曲を初演しました。
第3楽章における「スケルツォ」の名称使用、後半2楽章での奔放強烈なダイナミックスの対比など、ベートーベンならではの作風がいよいよ明確に打ち出されています。
交響曲第2番ニ長調作品36
Ⅰ(12:40)Adagio-Allegro
Ⅱ(10:36)Larghetto
Ⅲ(04:21)Allegro
Ⅳ(06:00)Allegro
第2番は、この全集全体に言える、軽快さと明快さを併せ持った演奏ですが、いまひとつ完成度が足りない感じです。
第1番に比べ、表現はやや大人し目かなという印象を受けます。
ただ終楽章は、その鬱憤を晴らすかのようなキレの良さがあります。
交響曲第5番ハ短調作品67
第3番”英雄”作曲の頃より着手したが、想をあたため、推敲を重ねて完成したのは1808年初頭(38才)でした。
同年12月22日、アン・デア・ウィーン劇場で自らの指揮により、第6番”田園”とともに初演しました。
冒頭の有名な動機が全曲を統一、主題の展開技法はひとつの極致にまで達したといわれています。
第3、第4楽章を切れ目なく結ぶブリッジ・パッセージは、単純な手法ながら劇的・強烈で、ベートーベンにして初めて成し得た世界でしょう。
交響曲第5番ハ短調作品67
Ⅰ(07:23)Allegro
Ⅱ(10:00)Andante
Ⅲ(08:22)Allegro
Ⅳ(10:57)Allegro-Presto
全てのリピートを演奏しているので、トータルの演奏時間が、36分を超えていますが、全体の印象は、速いテンポでキビキビとした演奏です。
時にそれを感じるのは、フレーズを短く切っているためです。
有名な、運命の動機である、ダダダダァーンのダァーンの部分が、他の指揮者の演奏に比べ短いのですね。
ただ短いけど、フェイドアウト気味に切るので、余韻を残した感じを与えます。
これはアーノンクールの細かな演出でしょう。
これにより雄大さ、重厚さは削がれますが、軽快できびきびした印象なります。
コンプリート・ベートーヴェン(交響曲全集、序曲集、ピアノ協奏曲全集、他) アーノンクール&COE、他(14CD)
まとめ
今回は、ひとまず第2番と第5番”運命”のレビューをしました。
次は、第4番、第7番のレビューをアップ予定です。
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