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ベートーヴェン 月光ソナタと敵機爆音集と戦争の愚かさ

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こんにちは、
ともやんです。

SALUS(サルース)という無料の月刊誌があります。

東急線沿線で毎月20日に配布されています。“東急沿線がもっと楽しくなる”というテーマで東急線の美味しいレストランやショップの紹介や、季節に合わせたレシピなど、生活に役立つ情報が掲載されています。

30ページほどのA4サイズの電車の中で読むにはうってつけの冊子で、毎月20日に駅の改札内で配布されるとすぐなくなってしまいます。

僕は、この冊子の中で特に好きなのが、理学博士・佐治晴夫氏の『宇宙のカケラ』というエッセイです。

これが面白い!

今日は2020、7月号の掲載されていた『「敵機爆音集」とベートーヴェン』に深い感銘と戦争の愚かさを身に染みて感じましたのでご案内します。

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「敵機爆音集」とベートーヴェン

昭和19年(1944年)の時の話です。

佐治氏は、昭和10年(1935年)生まれなので9歳の時話です。

佐治氏は東京出身で、戦局の悪化に伴い自宅の自宅にも防空壕を作ることになりました。

家族全員で三畳間ほどの広さで深さ1mほどの縦穴を掘ったです。

学校では、至近弾の爆風に備えて、目、耳、鼻を両手で押さえてうずくまる訓練も連日受けていたそうです。

また、音楽の授業では「敵機爆音集」というレコードを聴いて、飛行機のエンジン音から機種を判別する訓練も受けたそうです。

そんな危険が間近で迫る中で、唯一癒されたのが、空襲警報が発令されると手巻きのセンマイ駆動の蓄音機を抱えて防空壕に飛び込み、布団をかぶってレコードを聴くことでした。

そのレコードが、ポーランド出身のピアニスト、パデレフスキーが奏でるベートーヴェンの「月光ソナタ」でした。
「敵機爆音集」で疲れた耳には、幻想的で夢見るような感動を与えてくれたそうです。

しかし、日に日に戦況は悪化し、鉄製の品物は国が接収し、鉄製のレコード針が無くなってしまいました。

そこで竹製のレコード針が登場したのです。しかしその竹も日本本土上陸作戦に備えて、竹槍の材料となり、無くなってしまいました。

そこで佐治少年が考えたのが、なんと今でいう骨伝導イヤホンの理論だったのです。

絵葉書の角を歯でくわえ、もう一方の角をレコードの溝に触れさせてかすかに伝わってくる音を想像力で補いながら聴く方法だったのです。

それでも国は国民に我慢を強いらせながら、戦争を終わらせようとしません。

その内、佐治氏の母親は、自分の着物や装身具を北多摩郡の農家に持っていて食べ物と交換するようになり、

佐治氏も北九州に疎開させられました。

よそものといじめられた佐治氏の唯一の救いはそこでも音楽でした。音楽の先生の計らいで音楽室の足踏みオルガンを自由に弾けるようにしてくれたのです。

わずか9歳の佐治少年の心を癒してくれたのが、歯でくわえた絵葉書からかすかに聴こえるパデレフスキーの月光ソナタと疎開先の北九州の音楽室の質素なオルガンだったのです。

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パデレフスキー ベートーヴェン ピアノソナタ第14番“月光”

佐治晴夫氏が聴いたであろう、パデレフスキーの月光ソナタは、現在もCDで聴くことが出来ます。

パデレフスキー(1860-1941)は、ポーランド出身のピアニストで作曲家、そして政治家でポーランドの初代首相を務めた人です。

ベートーヴェンの月光には2種類が残されているようで、僕は1925年と晩年の37年の録音の両方を聴きました。

佐治少年は、どちらを聴いたかわかりませんが、25年のものは早めのテンポでキリリと締まった演奏ですが、37年のものは既に77歳の高齢での録音で、テンポは遅く指がよく回っていない感じが伝わってきて痛々しいです。

でも、佐治氏のエッセイを共に戦争の愚かさを思い知りながら慟哭と共に聴くことになりました。

『パデレフスキ ~ ヒズ・ファイナル・レコーディングス』

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン – Ludwig van Beethoven (1770-1827)
ピアノ・ソナタ第14番 嬰ハ短調 「月光」 Op. 27, No. 2
Piano Sonata No. 14 in C-Sharp Minor, Op. 27, No. 2, “Moonlight”

1.(05:31) I. Adagio sostenuto
2.(02:21) II. Allegretto
3.(06:15) III. Presto agitato
total(14:07)

イグナツィ・ヤン・パデレフスキ – Ignacy Jan Paderewski (ピアノ)
録音: 30 January 1937



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