こんにちは、
ともやんです。
1989年に日本ビクターより発売されたムラヴィンスキー&レニングラードフィルによるベートーヴェン『英雄』のライブ録音は、宇野功芳氏が興奮気味に絶賛するほど衝撃的な演奏でした。
ただ1968年という時代の演奏ながらモノラルで、僕はそのデッドな録音とともにCDとしてはいまひとつ楽しめませんでした。
ただその無慈悲なばかりに厳しい演奏には戦慄を憶えたものです。
また一部、宇野さんの興奮に比べ冷めたコメントをする評論家もいました。
ムラヴィンスキーのベートーヴェン”英雄” 衝撃の45分間
ムラヴィンスキー&レニングラードフィルによるベートーヴェンの『英雄』の61年のライヴを聴きました。
正直68年のライブを上回る衝撃の演奏です。
一気呵成に突き進むテンポや切り詰められた細部の表情など68年盤との共通点は多いですが、僕はよりこちらの演奏の方が、感興が豊かでメリハリが効いていると感じます。
オーケストラにみなぎる迫力と緊迫感溢れる痺れるような感覚は素晴らしいです。
68年の演奏を無慈悲なほどの厳しさと書きましたが、こちらは各所に情感を盛り込んできて、より溢れる魂の燃焼を感じさせます。
トスカニーニ&NBC響との演奏に似ていますが、より豊かさを感じ、切れ味の鋭さは格別です。
ムラヴィンスキー ベートーヴェン”英雄” 61年ライブ
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン – Ludwig van Beethoven (1770-1827)
交響曲第3番 変ホ長調 「英雄」 Op. 55
Symphony No. 3 in E-Flat Major, Op. 55, “Eroica”
1.(13:23) I. Allegro con brio
2.(15:04) II. Marcia funebre: Adagio assai
3.(05:29) III. Scherzo: Allegro vivace
4.(11:50) IV. Finale: Allegro molto
total(45:46)
レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団 – Leningrad Philharmonic Orchestra
エフゲニー・ムラヴィンスキー – Evgeny Mravinsky (指揮)
録音: 24 June 1961, Live recording, Bergen, Norway
Profileレーベルが、弊社の依頼でドイツの放送局に眠るムラヴィンスキーの音源を発掘するシリーズも第3弾、まだまだ驚きの音源が多数登場します。今回まず目をひくのはベートーヴェンの交響曲。
ムラヴィンスキーはベートーヴェンの全交響曲をレパートリーに入れていましたが、現時点で第8番と第9番は世に出ていないのと、著作隣接権保護中1982年録音の交響曲第1番を除く6篇を収録。第2番以外は手兵レニングラード・フィルとのもので、いずれも推進力に満ちた大きな演奏を味わえます。
ショスタコーヴィチの交響曲第11番は1957年10月30日にラフリン指揮ソヴィエト国立交響楽団が世界初演を行いましたが、その4日後にムラヴィンスキーとレニングラード・フィルがレニングラード初演した際の録音が入っているのも貴重。これが壮絶極まりない演奏で、終楽章などムラヴィンスキーらしからぬ凶暴さで荒れ狂います。
オイストラフとのヴァイオリン協奏曲第1番の1956年11月30日ライヴも神がかり的名演で、数ある同曲のディスク中でも特別な価値があると申せましょう。今回の注目は、ムラヴィンスキーとレニングラード・フィルが1962年2月に行ったブダペスト公演が初めて正式に日の目をみていること。
バルトークの「弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽」、ベルリオーズの「妖精の踊り」、グラズノフの「ライモンダ」の間奏曲など幻の音源が蘇りました。そのほか、レオニード・コーガンとのババジャニアン、ミハイル・ヴァイマンとのクリュズネルのヴァイオリン協奏曲の初出音源が驚き。
また、ハチャトゥリアンの交響曲第3番とアルチュニアンの祝典序曲のともに世界初演時の録音も嬉しい限り。大半は入手困難なうえ、驚きの価格。ファンさえも持っていない音源続出の超貴重Boxです。キングインターナショナル
コメント