ギュンター・ヴァントの
ブルックナーを聴きたいと思い、
でも、晩年のベルリンフィルの名盤は、
なんか取っつきにくい。
聴けば圧倒されるんだろうけど、
なんか聴くのに覚悟が必要な感じ。
で、確か、80年代に全集が出ていたなぁ、と思い、
得意の新宿ディスクユニオンのクラシック館に行きました。
おお、あるではないか、オーケストラはケルン放送響か、
手兵の北ドイツ放送響じゃないんだ、
でもケルン放送響も名門。
と迷うことなく購入。
中古だから、値段も1000円ちょっと。
安いよねぇ、ブルックナーの全集、しかもヴァント指揮が、
1000円ちょっとで買える世の中です。
中学生時代の僕には、信じられないことです。
生きていてよかった、と早速聴いてみました。
ブルックナー第3交響曲 ヴァント&ケルン放送響
アントン・ブルックナー(1824-1896)
交響曲第3番ニ短調“ワーグナー”(1889-90 Schalk-Loewe edition)
(1889年版)
Ⅰ(21:25)Massg bewegt
Ⅱ(13:42)Adagio(Etwas bewegt)quasi andante
Ⅲ(06:41)Scherzo(Ziemlich schnell)
Ⅳ(12:37)Finale(Allegro)
録音:1981年
ギュンター・ヴァント指揮
ケルン放送交響楽団
僕は、ブルックナーの交響曲の中でも、
特にこの第3交響曲が好きなんですね。
イントロの弦の伴奏に乗って、トランペットが奏する主題が、
木管、ホルンと繋がって、最初の盛り上がりになるところが、わくわくしますね。
僕は、この弦の伴奏が好きで、なんかノッタラノッタラという感じで、
クナッパーツブッシュなんかはこれに微妙なアクセントなんかつけて、
もう堪んないんですが、
真面目なヴァントはさすがにそんなことはしないで、
明解にクッキリと展開して、なんか難しい因数分解が、
解けたような気持ちよさがあります。
終楽章まで聴き通すと、
この曲は、ベートーヴェンの第9に匹敵すんじゃねえの、
くらい思わせてくれます。
クナッパーツブッシュの演奏は、
巨大すぎてつかみどころがなかったけど、
ヴァントの明解さは素敵です。
ブルックナー第4交響曲 ヴァント&ケルン放送響
アントン・ブルックナー(1824-1896)
交響曲第4番変ホ長調”ロマンティック”
1880 ハース版
Ⅰ(17:46)Bewegt,nicht zu schnell
Ⅱ(15:39)Andante,quasi Allegretto
Ⅲ(10:36)Scherzo:Bewegt
Ⅲ(20:20)Finale:Bewegt,doch nicht zu schnell
録音:1976年
ギュンター・ヴァント指揮
ケルン放送交響楽団
僕が初めて聴いたブルックナーは、この第4交響曲”ロマンティック”でした。
高校生の時だから、もう40数年前。
だからブルックナーは、いまほどポピュラーではなかったし、
LPといってもワルター、クレンペラー、カラヤンくらいしか出ていなくて、
僕が、最初に購入したLPが、カラヤン&ベルリンフィルでした。
71年、ベルリンのイエスキリスト教会での録音で、
実は、いまでの愛聴盤なんですね。
アヒルの子は、最初に出会った生き物を親と思うらしいですが、
僕は、最初にカラヤンを聴いたものですから、
いきなり高級スポーツカーに乗せられた快感がなかなか忘れなくて、
その後聴いた、ベームなども素朴に感じたくらいでした。
さて、ヴァント。
ヴァントな明解な演奏で聴くと、
やはり曲自体は、第3番に比べて魅力の点では、
劣るかな、と感じてしまいます。
今回、第3番、第4番と続けて聴きましたが、
ヴァントの曲自体に語らせるスタイルでは、
やはり第4番は分が悪いようです。
ただ、さすがにヴァント、
最後まで聴き通すと満足感が得られる演奏です。
まとめ
ここ1週間ほどは、毎日ブルックナーです。
第1番から始めて、いろんな指揮者の演奏を聴いてきました。
名盤の誉れの高い、ヨッフムの新旧2種類の全集や、ティントナーの渋い演奏、
コンビチュニーの剛毅な演奏、カラヤンの華麗な演奏、などなど、
その中でヴァントは、中庸で明解、逆に曲の良しあしがばれてしまうみたいな。
さあ、これから中期から後期の巨峰に臨むわけで、
クナッパーツブッシュ、クレンペラー、などが峰々が遥かに見えます。
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