こんにちは、
ともやんです。
20世紀を代表する大指揮者トスカニーニとフルトヴェングラー。
この「二大巨匠」の対比は、クラシックファンというか”おたく”にとって永遠のテーマであり、話が尽きませんね。
さて、僕自身は、「音楽は楽しむもの」というフラットな視点で両者を見ているので、特にどちらに肩入れすることはありません。
両巨匠の遺してくれた録音は、どれも素晴らしいからです。
ただ、CDの所有枚数だけを見るとフルトヴェングラーの方が多いようですね。
そんな中、今回は僕の好きなトスカニーニのアルバムをご紹介します。
巨匠トスカニーニに寄せて魂を揺さぶる「完璧主義」の記録
この記事を書く1月前の3月25日は、20世紀最大の指揮者の一人、アルトゥーロ・トスカニーニ(1867-1957)の誕生日です。
イタリアのパルマで生まれたこの巨匠がこの世を去ってから、すでに70年近い歳月が流れようとしています。
永遠のライバル、フルトヴェングラーとの対比
クラシック音楽の歴史を語る上で、トスカニーニとヴィルヘルム・フルトヴェングラー(1886-1954)の名は、切っても切り離せない関係にあります。
- トスカニーニ: 楽譜に忠実な「即物主義」の権化。峻厳で、圧倒的なドライブ感。
- フルトヴェングラー:主観を重んじる「即興的」なロマン主義。重厚で、深い精神性。
この二人の芸風の違いや影響力を議論し始めると、クラシックファンなら一晩あっても足りないですよね。
それぞれの支持者が一家言持っているため、迂闊に足を踏み入れると大変なことになりますが(笑)、個人的には「どちらも素晴らしい」に尽きます。
結局のところ、音楽は理屈ではなく、自分がどう感じるか。他人の評価に惑わされず、その瞬間の感動を味わうのが一番の贅沢ではないかと思います。
NBC交響楽団という「奇跡の楽器」
トスカニーニの芸術がこれほどまでに鮮明に後世に伝わっているのは、彼のために設立されたNBC交響楽団との膨大な録音が存在するからです。
ここで興味深いのが、作曲家グスタフ・マーラーとの対比です。
実はトスカニーニとマーラーはわずか7歳差。
マーラーも稀代の指揮者として名を馳せましたが、50歳という若さで亡くなったため、録音は一つも残されていません。
一方のトスカニーニは、70歳を過ぎて一度は引退を考えたものの、アメリカのNBC放送が「彼のためだけのオーケストラ」を組織するという破格の条件を提示したことで、伝説の第2幕が始まりました。
この幸運な契約がなければ、私たちは彼の至芸をこれほど身近に聴くことはできなかったかもしれません。
1938年蜜月の始まり:モーツァルトとハイドン
トスカニーニとNBC交響楽団による記念すべき初録音は、1938年3月に行われました。
選ばれたのはモーツァルトの交響曲第40番とハイドンの交響曲第88番「V字」。
「炎の指揮者」と呼ばれるトスカニーニが、最初の録音にモーツァルトの40番を選んだのは意外な気もしますが、プレイヤーの再生ボタンを押すとその印象は一変します。
モーツァルト:厳しい規律の中にも、驚くほど自在な感興と情感が溢れ、聴き手を惹きつけます。
ハイドン:第2楽章のたっぷりとしたテンポ感には、「トスカニーニにもこんなロマンティックな一面があったのか」という新鮮な発見があります。
ロッシーニ(ウィリアム・テル序曲):彼の十八番! 切れ味鋭いリズムと、音楽を奏でる喜びが見事に融合しています。
トスカニーニのCD紹介
今回ご紹介するCDは、現在入手が困難なようです。
しかし、HMVのオンラインショップでは購入できるようです。
フランツ・ヨーゼフ・ハイドン Franz Joseph Haydn (1732-1809)
交響曲第88番 ト長調 「V字」 Hob.I:88
Symphony No. 88 in G Major, Hob.I:88
1.(05:54) I. Adagio Allegro
2.(07:37) II. Largo
3.(03:50) III. Menuetto: Allegretto – Trio
4.(03:20) IV. Finale: Allegro con spirito
total(20:41)
録音:1938年3月8日、ニューヨーク
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・モーツァルト:交響曲第40番(録音:1938年3月7日、1939年2月27日、ニューヨーク)
・ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第16番(録音:1938年3月8日、ニューヨーク)
・パガニーニ/トスカニーニ編曲:無窮動(録音:1939年4月17日、ニューヨーク)
・ロッシーニ:歌劇「ウィリアム・テル」序曲(録音:1939年3月1日・29日、ニューヨーク)
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791)
交響曲第40番 ト短調 K. 550
Symphony No. 40 in G Minor, K. 550
5.(07:24) I. Allegro molto
6.(07:06) II. Andante
7.(03:58) III. Menuetto: Allegretto – Trio
8.(04:16) IV. Finale: Allegro assai
total(22:44)
録音:1938年3月7日、1939年2月27日、ニューヨーク
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ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン Ludwig van Beethoven (1770-1827)
弦楽四重奏曲第16番 ヘ長調 Op. 135 (管弦楽編)
String Quartet in F Major, Op. 135 (orchestral arr.)
編曲 : 不詳 ? Anonymous
9.(08:25) III. Lento assai, cantante e tranquillo
10.(02:58) II. Vivace
total(11:23)
録音:1938年3月8日、ニューヨーク
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ニコロ・パガニーニ Niccolo Paganini (1782-1840)
常動曲(無窮動) ハ長調 Op. 11, MS 72
11.(04:40) Moto perpetuo, Op. 11, MS 72 (arr. A. Toscanini)
編曲 : アルトゥーロ・トスカニーニ Arturo Toscanini
録音:1939年4月17日、ニューヨーク
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ジョアキーノ・ロッシーニ Gioachino Rossini (1792-1868)
歌劇「ウィリアム・テル」序曲
Guillaume Tell (William Tell): Overture
作詞 : ヴィクトル=ジョゼフ=エティエンヌ・ド・ジュイ Victor Joseph Etienne de Jouy
作詞 : イポリート=ルイ=フロラン・ビス Hippolyte-Louis-Florent Bis
12.(11:43) William Tell Overture
録音:1939年3月1日・29日、ニューヨーク
NBC交響楽団 ? NBC Symphony Orchestra
アルトゥーロ・トスカニーニ ? Arturo Toscanini (指揮)
ハイドン:交響曲第88番/モーツァルト:交響曲第40番(NBC響/トスカニーニ)(1938-1939)
マーク・オバート=ソーン復刻。NBC交響楽団との録音でも初期のものであり、NBCのスタジオで録音された音源を集めた一枚。モーツァルトなどは後年の厳しさよりもやや雰囲気が柔らかく、この時代を知るには最適でしょう。
トスカニーニのモーツァルト三大交響曲
タワーレコードオンラインショップでは、嬉しいことにモーツァルトの後期三大交響曲の録音が入手可能です。
なおここに収録されている第40番は、後年の録音です。
トスカニーニは、この40番がお気に入りだったようですね。
モーツァルト:交響曲第39番・第40番・第41番「ジュピター」
RCAに残された膨大な録音から名曲名演をセレクト、生前のトスカニーニの録音にもかかわったジョン・ファイファー監修のリマスターを使用、アナログLPのジャケット・デザインで復刻します。
第2次大戦後のトスカニーニによるモーツァルトの後期3大交響曲をカップリング。1948年ライヴの第39番ではメヌエットの快速な歯切れの良さが印象に残ります。1950年セッション収録の第40番第1楽章でのしなやかな独特のカンタービレ、1945年SP録音の「ジュピター」フィナーレでの凄まじい高揚感など、トスカニーニの個性が随所に刻印されています。
時代を超えて響く音
1938年、ファシズム支配下のイタリアを去ったトスカニーニにとって、NBC交響楽団は手塩にかけて育て上げた「最愛の楽器」でした。
この時期の録音は、50年代の晩年スタイルに比べ、より精緻で原典に忠実、かつ若々しいエネルギーに満ちています。
80年以上前の録音とは思えないほど聴きやすく、当時の緊張感と熱狂がダイレクトに伝わってくるのが嬉しいところです。
偉大な巨匠たちが遺してくれた音源に感謝しつつ、時にはゆっくりとトスカニーニのモーツァルトに耳を傾けてみたいと思います。
最後に”豆知識”として。
モーツァルトの第40番は、トスカニーニの納得がいかず第2楽章を翌年に再録音したため、発売順序としてはハイドンの「V字」が先になったという逸話も、彼の完璧主義を象徴していますね。



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