こんにちは、
ともやんです。
素晴らしいCDや録音に出会うパターンとしては、僕の場合2通りあります。
ひとつめは、音楽雑誌や名盤を紹介する書籍から。
ふたつめは、イモずる式。つまり感銘深い録音、CDで出会って、その音楽家の他の録音や共演者などをたどっていく方法。
どちらの方法も半々で利用しています。
ただ、ひとつめの場合、その録音、CDを紹介している人によることが多いです。
僕は一時期、宇野功芳氏の推薦盤を盲目的に信じて聴いていたことがあります。
しかし、ある時から宇野氏の評論に偏りがあると気づき、いまでは、宇野氏はじめ各評論家の意見は、参考程度にしか頼らないようにしています。
その中でも、平林直哉氏の推薦盤は、極力聴くようにしています。
なぜなら平林氏の名録音、名盤に対する真摯な探求心が信頼できるからです。
むしろ執念と感じるくらいその名盤発掘に対する姿勢には、頭が下がります。
年齢は僕と同じくらいで、何十年と業界にいる人などにまさに生きる百科事典のような人です。
また著書も多いので参考に出来るものは多いです。
カーゾン&クーベリック モーツァルトピアノ協奏曲第21&24番 歴史的事件
その平林直哉氏が、カーゾンとクーベリックによるモーツァルトのライブ録音を『歴史的事件』として銘打って紹介しているのです。
それならば聴かなければならないだろう、と早速録音を入手し、聴いてみました。
聴いた感想は、まさに平林氏の言う通りで、一部平林氏の文章を引用すると、
“カーゾンのピアノは多言を弄さず寡黙なのだが、そのピアノがこれだけの深い感動を与えてくれたことに改めて驚くほかはない。”
普段もの静かな人が時に発する言葉に、名案が閃いたり、勇気づけられたりするのに似ています。
僕は、特に第24番に深い感銘を受けました。
実は、この第24番は苦手だったのです。
なぜかと言うと、この曲はハ短調で、第20番のニ短調と並んでモーツァルトには珍しい短調の曲なのです。
第20番の方が、慎み深くひっそりと悲しみにくれる的な曲なのですが、第24番は、少し大げさに悲しさをアピールして、世界の悲しみを一身に背負っているかのようなベートーヴェン的な曲で、そのため敬遠していました。
しかし、カーゾンのピアノとそれに寄り添うようなクーベリックの伴奏で聴いて、初めてこの曲の素晴らしさがわかりました。
カーゾンの謙虚で淡々として上品このうえなく、温かくやさしいピアノの音色を聴いているともうこれで人生終わってもいいかも、なんて感じるほどです。
聴かずに死ねない名盤だと思います。
なお、同じコンビでモーツァルトのピアノ協奏曲第23&27番、ベートーヴェンの第4&5番”皇帝”も録音が残されています。
改めて聴いてレビューをお送りします。
カーゾン&クーベリック モーツァルト ピアノ協奏曲第21&24番 おすすめ
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト – Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791)
ピアノ協奏曲第21番 ハ長調 K. 467
Piano Concerto No. 21 in C Major, K. 467, “Elvira Madigan”
1.(13:56) I. Allegro maestoso (cadenza by F. Busoni)
2.(08:29) II. Andante
3.(06:33) III. Allegro vivace assai (cadenza by F. Busoni and C. Curzon)
total(28:58)
クリフォード・カーゾン – Clifford Curzon (ピアノ)
バイエルン放送交響楽団 – Bavarian Radio Symphony Orchestra
ラファエル・クーベリック – Rafael Kubelik (指揮)
録音: 16 December 1976, Herkules-Saal in der Residenz, Munchen
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ピアノ協奏曲第24番 ハ短調 K. 491
Piano Concerto No. 24 in C Minor, K. 491
4.(13:31) I. Allegro (cadenza by M. Flothuis)
5.(07:58) II. Larghetto
6.(09:38) III. Allegretto (cadenza by G. Szell)
total(31:07)
クリフォード・カーゾン – Clifford Curzon (ピアノ)
バイエルン放送交響楽団 – Bavarian Radio Symphony Orchestra
ラファエル・クーベリック – Rafael Kubelik (指揮)
録音: 17 January 1970, Herkules-Saal in der Residenz, Munchen
モーツァルト: ピアノ協奏曲 第21番&第24番 サー・クリフォード・カーゾン(P) クーベリック(指)バイエルン放送SO.
カーゾンとクーベリック、そしてオーケストラがまさに渾然一体となった、空前絶後の絶品モーツァルト協奏曲です。常にまろやか、そして確実に聴き手の心を震わせるカーゾンのピアノのタッチは必聴です。by タワーレコード
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