こんにちは、ともやんです。
ショスタコーヴィチの全交響曲を聴いて、おすすめのCDを紹介する企画もあと残り2曲となりました。
交響曲第14番は、破天荒な構成で、果たして交響曲と言えるのか?とも思うが、聴きだすと、そんなことはどうでも良いと思わずにはいられない傑作です。
ショスタコーヴィチ交響曲第14番とは
ショスタコーヴィチにとって14番目の交響曲。
つまり最後から2番目の交響曲であるのが第14番です。
ソプラノ、バス、弦楽オーケストラと打楽器のための11の楽章は、ガルシア・ロルカやキュッヘルベッカー、リルケやアポリネールらによるいずれも「死」をテーマとした詩がロシア語に翻訳され歌詞となっています。
死と正面から向き合い、折り合いをつけ、死というものを受け入れようとする当時のショスタコーヴィチの心情が色濃く反映された内容です。
死を意識して病院で作曲
最後から2番目の交響曲第14番は、1969年に作曲されました。
タイトルの「死者の歌」が表すように、ショスタコーヴィチ自身、死を意識して病院で作曲したと言われています。
だから死を扱った他の作曲家の作品、例えばムソルグスキーのオペラ「ボリス・ゴドゥノフ」やブリテンの「戦争レクイエム」などへの応答を意図しています。
また楽章の数は違いますが、ショスタコーヴィチが愛したマーラーの「大地の歌」意識して作曲したと思います。
第14番がブリテンに献呈された
ショスタコーヴィチ(1906-1975)とブリテン(1913-1976)は、同時代に生きる作曲家としてお互いに尊敬しあっていました。
ブリテンの「戦争レクイエム」は、戦争の愚かさや理不尽さを告発した傑作です。
ショスタコーヴィチは、ブリテンのこの作品を20世紀最大の作品と呼んでいました。
ブリテンの方は、閉鎖的な旧ソ連に住んで、作曲を続けるショスタコーヴィチに対して、共感を持って敬意を払っていました。
そんな理由などから、交響曲第14番が、ブリテンに献呈されたというのは、もっとも相応しいと思います。
ルドルフ・バルシャイが初演
交響曲第14番は、ルドルフ・バルシャイ指揮モスクワ室内合奏団を想定して作曲されました。
楽器編成は、弦楽器と打楽器とバスとソプラノ独唱。
しかし、ティンパニ、大太鼓、シンバル、トライアングルといった通常の打楽器は使用しない。
初演は、1969年9月29日にバルシャイ指揮モスクワ室内合奏団、ソプラノ独唱ミロシニコワ、バス独唱がウラジミロフによって行われました。
交響曲第14番のおすすめCD
いくつかの録音を聴きました。
その中から以下の3つを選びました。
ハイティンクは、全集録音の中でも白眉です。
ハイティンクの全集録音は世界初のみならず、レベルも高く、録音から40年以上経った現代でも、最初に傾聴すべき全集と思います。
もっとも筆者は、まだなので、いずれ全集を聴いてレビューするつもりです。
また初演者のバルシャイを外すわけにはいかないし、第14番を語るうえで、忘れてはならない録音です。
マルディロシアンは、ハイティンクとバルシャイ以外では、筆者はもっとも感銘を受けました。
マルディロシアン&ワロン王立劇場管
ドミートリー・ショスタコーヴィチ – Dmitry Shostakovich (1906-1975)
交響曲第14番 ト短調「死者の歌」 Op. 135
Symphony No. 14, Op. 135
作詞 : ギヨーム・アポリネール – Guillaume Apollinaire
作詞 : フェデリコ・ガルシア・ロルカ – Federico Garcia Lorca
作詞 : ヴィルヘルム・クシェルベッカー – Wilhelm Kuchelbeker
作詞 : ライナー・マリア・リルケ – Rainer Maria Rilke
1.(05:00) I. De profundis: Adagio
2.(03:02) II. Malaguena: Allegretto –
3.(08:46) III. Loreley: Allegro molto –
4.(07:24) IV. Le suicide: Adagio
5.(03:04) V. Les attentives: Allegretto –
6.(01:56) VI. Les attentives: Adagio
7.(09:39) VII. A la sante: Adagio
8.(01:55) VIII. Reponse des cosaques zaporogues au sultan de Constantinople: Allegro –
9.(04:23) IX. O Delvig, Delvig!: Andante
10.(04:43) X. Death of the Poet: Largo –
11.(01:17) XI. Conclusion: Moderato
total(51:09)
サラ・トラウベル – Sarah Traubel (ソプラノ)
ローマン・リュルキン – Roman Lyulkin (バス)
ワロン王立劇場管弦楽団 – Wallonie Royal Opera Orchestra
ヴァハン・マルディロシアン – Vahan Mardirossian (指揮)
録音: November 2023, L’Arsonic de Mons, Belgium
ショスタコーヴィチ:交響曲第14番(ワロン王立劇場管/マルディロシアン)
モスクワ音楽院に学び、2009年よりマリインスキー・ヤング・オペラ・シンガーズ・アカデミーでソリストを務め、数々のコンクールで輝かしい成績も収めるなど、着実に実力をつけてきています。
指揮のマルディロシアンは1975年アルメニア生まれ。
パリ音楽院に入学しジャック・ルヴィエのもとでピアノを学びます。室内楽奏者としてロストロポーヴィチ、カプソン兄弟らと共演、特にギトリスとは世界各国のリサイタルで共演するなど、活躍しておりました。
前橋汀子氏ともたびたび共演していることで日本でもおなじみの存在です。
指揮者としてはマズアに学び、フランス国立管など世界の名だたるオーケストラと共演しています。
ハイティンク&コンセルトヘボウ管
ドミートリー・ショスタコーヴィチ – Dmitry Shostakovich (1906-1975)
交響曲第14番 ト短調「死者の歌」 Op. 135
Symphony No. 14, Op. 135
作詞 : ギヨーム・アポリネール – Guillaume Apollinaire
作詞 : フェデリコ・ガルシア・ロルカ – Federico Garcia Lorca
作詞 : ヴィルヘルム・クシェルベッカー – Wilhelm Kuchelbeker
作詞 : ライナー・マリア・リルケ – Rainer Maria Rilke
1.(04:42) I. De profundis: Adagio
2.(02:37) II. Malaguena: Allegretto –
3.(08:35) III. Loreley: Allegro molto –
4.(06:45) IV. The Suicide: Adagio
5.(03:00) V. On the Watch: Allegretto –
6.(01:52) VI. Madam, look!: Allegretto –
7.(08:46) VII. In the Sante Prison: Adagio
8.(02:04) VIII. Reply of the Zaporozhye Cossacks to the Sultan of Constantinople: Allegro –
9.(04:44) IX. O Delvig, Delvig!: Andante
10.(05:28) X. Death of the Poet: Largo –
11.(01:14) XI. Conclusion: Moderato
total(49:47)
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ – Dietrich Fischer-Dieskau (バリトン)
ユリア・ヴァラディ – Julia Varady (ソプラノ)
コンセルトヘボウ管弦楽団 – Concertgebouw Orchestra
ベルナルト・ハイティンク – Bernard Haitink (指揮)
録音: December 1980, Concertgebouw, Grote Zaal, Amsterdam, Netherlands
ショスタコーヴィチ:交響曲全集(コンセルトヘボウ管/ハイティンク)
この演奏はコンドラシン盤と並んで、現在でも1,2を争う決定盤です。
他にも技術的なレベルと演奏内容が見事に合致している「第2番と第3番」、明朗な優秀録音と切れ味の鋭い「第4番」、重厚な音圧と濃厚な響きで圧倒される「第8番」、描写力と緊張感が凄まじい「第11番」など、これらの録音が無ければショスタコ録音史に大きな穴が空くほどの名演が多数あります。
バルシャイ&モスクワ室内合奏団
ドミートリー・ショスタコーヴィチ – Dmitry Shostakovich (1906-1975)
45:28交響曲第14番 ト短調「死者の歌」 Op. 135
Symphony No. 14, Op. 135
作詞 : ギヨーム・アポリネール – Guillaume Apollinaire
作詞 : フェデリコ・ガルシア・ロルカ – Federico Garcia Lorca
作詞 : ヴィルヘルム・クシェルベッカー – Wilhelm Kuchelbeker
作詞 : ライナー・マリア・リルケ – Rainer Maria Rilke
1.(04:21) I. De profundis: Adagio
2.(02:49) II. Malaguena: Allegretto
3.(08:00) III. Loreley: Allegro molto
4.(06:13) IV. The Suicide: Adagio
5.(02:58) V. On the Watch: Allegretto
6.(01:31) VI. Madam, look!: Allegretto
7.(08:20) VII. In the Sante Prison: Adagio
8.(02:07) VIII. Reply of the Zaporozhye Cossacks to the Sultan of Constantinople: Allegro
9.(03:44) IX. O Delvig, Delvig!: Andante
10.(04:22) X. Death of the Poet: Largo
11.(01:03) XI. Conclusion: Moderato
total(45:28)
アッラ・シモーニ – Alla Simoni (ソプラノ)
ウラディーミル・ヴァネーエフ – Vladimir Vaneev (バス)
西ドイツ放送交響楽団 – West German Radio Symphony Orchestra
ルドルフ・バルシャイ – Rudolph Barshai (指揮)
録音: 1999 – 2000, Philharmonie, Koln, Germany
ショスタコーヴィチ:交響曲全集(西ドイツ放送交響楽団/バルシャイ)
オーケストラは、ケルン放送SO[WDR交響楽団]。
ベルティーニとの関係が深かった時期の“スーパー・オーケストラ”なだけに全曲を通じて、機能性豊かで表現の幅、巧みなニュアンス、音響の厚みとデリケートな音楽表現が秀逸に実感されます。
バルシャイが私財を投資して完成させたCDボックスという、思い入れに溢れた全11枚組にて、熟聴すべきアルバムと言えるでしょう。
まとめ
もう1ヶ月ほど毎日、毎日ショスタコーヴィチを聴いています。
当初は、苦行になるのでは、とも思っていましたが、なかなか面白い作業になりました。
ショスタコーヴィチの生誕120年に聴き始めた15曲の交響曲。
この後は、15曲の弦楽四重奏曲にトライするつもりです。





コメント