こんにちは、ともやんです。
ショスタコーヴィチの交響曲第2番は、人気面では彼の交響曲の中では高くないと思います。
しかも「十月革命に捧ぐ」と題され合唱入りでもあり、次の第3番も「メーデー」と題されていることから、当局からの委嘱作品というとらえられ方が強いのでしょう。
実際、ベートーヴェンの直接の後継者は、ショスタコーヴィチだと考えると彼を高く評価していた評論家宇野功芳氏も次のように自書に記しています。
つまり宇野氏は第1番から第3番までは習作と考えていたようです。
ショスタコーヴィチ交響曲第2番について
上記のようにこの交響曲第2番に関しては、あまり期待しないで聴き始めました。
しかし、この作品はなかなか良い、いや素晴らしい作品です。
ぜひ聴いてほしい作品です。
交響曲第2番誕生の時代背景
この曲が作曲されたのが、1927年でショスタコーヴィチが21歳の時です。
当時のソ連は、レーニンが亡くなり、次の後継者が争っていた時代で、1910年代から続いていたロシア・アヴァンギャルドがまだ当局の支持を得ていた時代でした。
またショスタコーヴィチは、現代音楽協会のメンバーとしてストラヴィンスキーやシェーンベルクなどの音楽にも魅了されていました。
若いショスタコーヴィチは、芸術と政治の革新が同時に行われようとしていたロシア・アヴァンギャルドに明るい未来を見出していたかもしれません。
そのためこの作品は、そんな前衛的な表現も多く含まれていて、新しい音楽を押し進めていきたいと心意気も強く感じさせてくれます。
前衛的な始まり方
この作品の大きな特徴は、始まり方の特異さにあります。
こんな前衛的な始まり方をする作品は、彼の中でもこの作品ぐらいかもしれません。
単一楽章という交響曲で、冒頭はバスドラムが弱音で響くなか、弦楽器がツタのように絡み合っていきます。
それはまるで苦しむ民衆のうめき声のように聴こえます。
無調や多調も導入され、27声部にわたるウルトラ対位法が駆使されているのです。
それが、調性もさまざまな声部も同時になり、複雑にして混とんした状態になっていきます。
その後、サイレンの響いて、合唱が入ります。
演奏時間も20分前後と短いですが、まさにショスタコーヴィチの才能を見せつけられるかという作品だと思います。
交響曲第2番のCD紹介
ショスタコーヴィチの交響曲の指標にしているネルソンスの優等生的な演奏を聴いたあと、ストゥールゴールズやウィッグルスワースの演奏を聴くととても刺激的で前衛的な印象が強くなります。
力強い井上道義&大阪フィル、常に暗さを秘めたバルシャイの録音も捨てがたいです。
ネルソンス&ボストン響
ドミートリー・ショスタコーヴィチ – Dmitry Shostakovich (1906-1975)
交響曲第2番 ロ長調「十月革命に捧ぐ」 Op. 14
Symphony No. 2, Op. 14, “Oktyabryu” (To October)
作詞 : アレクサンドル・ベズィメンスキー – Alexander Bezymensky
1.(12:06) Largo
2.(07:17) Meno mosso
total(19:23)
ボストン交響楽団 – Boston Symphony Orchestra
アンドリス・ネルソンス – Andris Nelsons (指揮)
タングルウッド祝祭合唱団 – Tanglewood Festival Chorus
録音: November 2019, Live recording, Symphony Hall, Boston, USA
ショスタコーヴィチ:交響曲第2番他(ボストン響/ネルソンス)
ストゥールゴールズ&BBCフィルハーモニック
ドミートリー・ショスタコーヴィチ – Dmitry Shostakovich (1906-1975)
交響曲第2番 ロ長調「十月革命に捧ぐ」 Op. 14
Symphony No. 2, Op. 14, “Oktyabryu” (To October)
作詞 : アレクサンドル・ベズィメンスキー – Alexander Bezymensky
1.(06:13) Largo – quarter note = 152 –
2.(03:48) Poco meno mosso – quarter note = 152 –
3.(01:58) Meno mosso –
4.(06:21) Mi shli, mi prosili raboti i hlyeba (We marched, we asked for work and bread)
total(18:20)
バーミンガム市交響合唱団 – City of Birmingham Symphony Chorus
BBCフィルハーモニー管弦楽団 – BBC Philharmonic Orchestra
ヨン・ストゥールゴールズ – John Storgards (指揮)
録音: 1 February 2025, MediaCityUK, Salford, Manchester, UK
ショスタコーヴィチ:交響曲第2番&第5番(BBCフィルハーモニック/ストゥールゴールズ)
ストルゴーズは第3番と共に「前衛的な要素があり、歌詞の政治的なメッセージを二の次にして自由に創造性を発揮しているかのよう。
アヴァンギャルド的な発想など、実にユニークで興味深い」と語っています。
深淵を思わせる器楽の低域のざわめきから始まり、スケルツォ的な部分と短い緩徐楽章にあたる部分を経て合唱が導入されてレーニンを高らかに讃えて結ばれる構成はベートーヴェンの第九を思わせる「闇から光へ」の図式ですが、ここでは若きショスタコーヴィチの才気が感じられる細部の仕掛けを丁寧に描いて音楽が一面的になるのを避けています。
タワーレコードオンラインショップの解説より
ウィッグレスワース&オランダ放送フィル
ドミートリー・ショスタコーヴィチ – Dmitry Shostakovich (1906-1975)
交響曲第2番 ロ長調「十月革命に捧ぐ」 Op. 14
Symphony No. 2, Op. 14, “Oktyabryu” (To October)
作詞 : アレクサンドル・ベズィメンスキー – Alexander Bezymensky
1.(05:36) Largo –
2.(01:47) quarter note = 152 –
3.(05:37) quarter note = 152 –
4.(07:02 Meno mosso
total(20:02)
オランダ放送合唱団 – Netherlands Radio Choir
オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団 – Netherlands Radio Philharmonic Orchestra
マーク・ウィッグルスワース – Mark Wigglesworth (指揮)
録音: October 2010, Music Centre for Dutch Radio & Television, studio MCO5, the Netherlands
ショスタコーヴィチ:交響曲第2番他(オランダ放送フィル/ウィッグレスワース )
今回は初期の3篇。
いずれもかなり急進的な内容で、若きショスタコーヴィチの才気が迸る音楽となっています。
けたたましいサイレンで始まり、混沌とした響きの後、合唱が社会主義讃美を謳いあげる第2番、一見体制讃美のようでありながら腹にイチモツあるのを感じる第3番と、ショスタコーヴィチの凄さを実感できます。
ウィグレスワースの卓抜な統率力、オランダ放送合唱団の絶叫ともに、BISの超優秀録音がすさまじい効果を生みます。
キングインターナショナル
井上道義&大阪フィル
ドミートリー・ショスタコーヴィチ – Dmitry Shostakovich (1906-1975)
交響曲第2番 ロ長調「十月革命に捧ぐ」 Op. 141.
Symphony No. 2, Op. 14, “Oktyabryu” (To October)
作詞 : アレクサンドル・ベズィメンスキー – Alexander Bezymensky
total(17:49)
大阪フィルハーモニー合唱団 – Osaka Philharmonic Chorus
大阪フィルハーモニー交響楽団 – Osaka Philharmonic Orchestra
井上道義 – Michiyoshi Inoue (指揮)
録音: 9-10 March 2018, Live recording, Festival Hall, Osaka, Japan
ショスタコーヴィチ:交響曲第2番&第3番(大阪フィルハーモニー/井上道義)
共に混声合唱を含み、若きショスタコーヴィチが実験的ともいえる斬新なアイデアと前衛的な手法を盛り込んだこれらの交響曲においても、オーケストラを知り尽くした井上道義は魂みなぎる熱演を繰り広げています。
井上道義渾身のショスタコーヴィチ最新盤、ぜひお聴きください。
オクタヴィア・レコード
バルシャイ&ケルンWDR響
ドミートリー・ショスタコーヴィチ – Dmitry Shostakovich (1906-1975)
交響曲第2番 ロ長調「十月革命に捧ぐ」 Op. 14
Symphony No. 2, Op. 14, “Oktyabryu” (To October)
total(19:00)
ケルン西ドイツ放送合唱団 – Cologne West German Radio Chorus
西ドイツ放送交響楽団 – West German Radio Symphony Orchestra
ルドルフ・バルシャイ – Rudolph Barshai (指揮)
ショスタコーヴィチ:交響曲全集(ケルンWDR響/バルシャイ)
オーケストラは、ケルン放送SO[WDR交響楽団]。ベルティーニとの関係が深かった時期の“スーパー・オーケストラ”なだけに全曲を通じて、機能性豊かで表現の幅、巧みなニュアンス、音響の厚みとデリケートな音楽表現が秀逸に実感されます。
バルシャイが私財を投資して完成させたCDボックスという、思い入れに溢れた全11枚組にて、熟聴すべきアルバムと言えるでしょう。
タワーレコードオンラインショップの解説より
まとめ
大学生の時、一緒にアルバイトしていた仲間に演技サークルに入っているやつがいました。
彼が、ショスタコーヴィチの弦楽四重奏が好きだと言っていて、なんて進歩的なやつなんだと思ったものです。
当時の僕は、ショスタコーヴィチの弦楽四重奏どころか、交響曲もほとんど聴いたことがなかったのです。
前衛的な作曲家というとせいぜいバルトークを少し聴いたことがある程度でした。
ただ1970年代頃までは、ショスタコーヴィチが好きというと進歩的と思われたようで、もしかしてポーズだったかもしれませんね。
この交響曲第2番を聴いて、そんなことを思い出しました。





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