ショスタコービッチ交響曲第9番は命がけの冗談を飛ばす傑作

ショスタコービッチ
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こんにちは、ともやんです。

ショスタコービッチ(1906-1975)の交響曲のうち、第7番、第8番、第9番の3曲は「戦争三部作」と呼ばれることがあるそうだ。

しかし、この3曲を聴けばすぐわかることで規模も内容も関連があるわけではないです。
ただ単に第2次世界大戦下に作曲さえたという時期的なことだけで呼ばれるのものと思います。

それでは少し深堀してみましょう。

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ショスタコーヴィチ交響曲第9番

第2次世界大戦下で作曲された3曲のうち、第9番は、終戦の年の1945年に作曲されました。
ソ連では国を挙げて戦勝を祝い、スターリンを讃える行事が様々に行われました。

芸術家たちにも戦勝を祝い作品を

ソ連当局は、当然芸術家たちにも戦勝気分を盛り上げる祝典的な作品を作るよう要求してきました。
ソ連を代表する作曲家であるショスタコーヴィチには当たり前のように勝利を表現する作品を求めてきました。

第8番では批判されたのに

当局は当然のように、戦争に勝利した今度こそは、勝利を表現する華々しい作品を期待していたのは言うまでもありません。

実は、1941年に発表した第7番は、ドイツ軍に包囲されたレニングラード市民を勇気づける高揚感のある作品だったにも関わらず、次の第8番は、そんな気分を削ぐような作品だったからです。

第8番は、1943年のドイツ軍に対して反撃に出て戦況も上向いてきた時期にもかかわらず、暗い悲劇性を持った深刻な作品だったからです。
当然当局からは批判されました。

だから第9番ではより期待されたわけです。

期待を裏切るコンパクトさ

第9番というと、ベートーヴェン、ブルックナー、マーラーなど傑作揃いです。
しかも最後の交響曲となっています。
ブルックナーに至っては未完でした。
その辺りは、ショスタコーヴィチも意識したかもしれません。
結局発表した交響曲第9番は、演奏時間は30分にも満たないコンパクトな作品でした。

しかも軽妙洒脱でディヴェルティメント風で、当然当局は、期待を裏切ったとして激怒し厳しく批判しました。

そしてこの批判はショスタコーヴィチだけに留まらず、1948年にはソ連の作曲家たちに対する弾圧へと発展していきます。

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第9番のCD紹介

ショスタコーヴィチの交響曲第9番の名盤としては、一般的にはロジェストヴェンスキー、コンドラシンといったロシア系の指揮者とオーケストラ、それに構成美や洗練されたハイティンク&ロンドン・フィルなどが挙げられることが多いように感じます。

今回僕が聴いたのは、この企画のメインであるネルソンス&ボストン響、ショスタコーヴィチを得意とするバーンスタイン&ウィーン・フィル、そして最近の名盤として僕が評価するのは、ヤープ・ヴァン・ズヴェーデン&香港フィルです。

ネルソンス&ボストン響

ドミートリー・ショスタコーヴィチ – Dmitry Shostakovich (1906-1975)
交響曲第9番 変ホ長調 Op. 70
Symphony No. 9 in E-Flat Major, Op. 70

1.(05:23) I. Allegro
2.(08:08) II. Moderato
3.(02:53) III. Presto –
4.(03:34) IV. Largo –
5.(06:43) V. Allegretto
total(26:41)

ボストン交響楽団 – Boston Symphony Orchestra
アンドリス・ネルソンス – Andris Nelsons (指揮)
録音: October 2015, Live recording, Symphony Hall, Boston, United States

ショスタコービッチ:交響曲第5番&第9番(ボストン響/ネルソンス)

2014年にラトヴィア出身の名指揮者ネルソンスを音楽監督に迎えたボストン交響楽団は、新しいシェフとともに「スターリンの影の下のショスタコーヴィチ」と題するレコーディング・プロジェクトを開始しました。
2015年に録音された本盤では、ショスタコーヴィチの最も人気のある交響曲である第5番に、ソヴィエト当局の期待に肩透かしを食らわせた問題作、第9番をカップリングして、恐怖政治のなかでいくつもの顔を使い分けた作曲家の実像を浮かび上がらせます。

バーンスタイン&ウィーン・フィル

ドミートリー・ショスタコーヴィチ – Dmitry Shostakovich (1906-1975)
交響曲第9番 変ホ長調 Op. 70
Symphony No. 9 in E-Flat Major, Op. 70

1.(05:12) I. Allegro
2.(08:54) II. Moderato
3.(02:47) III. Presto
4.(03:29) IV. Largo
5.(06:13) V. Allegretto
total(26:35)

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 – Vienna Philharmonic Orchestra
レナード・バーンスタイン – Leonard Bernstein (指揮)
録音: October 1985, Grosser Saal, Musikverein, Wien, Austria

ショスタコーヴィチ:交響曲第6番&第9番(ウィーン・フィル/バーンスタイン)

1979年に出版された『ショスタコーヴィチの証言』以降、ショスタコーヴィチの作品解釈は見直しや変更が頻繁に行われるようになりましたが、このアルバムにおけるバーンスタインのアプローチは、特定の問題意識などの束縛から自由な絶対音楽としての作品像を彫琢し、極めてナチュラルで誇張のない表現のなかに、これら2曲のすこぶる音楽的な実像を浮き彫りにする結果を生んでいます。

ズヴェーデン&香港フィル

ドミートリー・ショスタコーヴィチ – Dmitry Shostakovich (1906-1975)
交響曲第9番 変ホ長調 Op. 70
Symphony No. 9 in E-Flat Major, Op. 70

1.(05:03) I. Allegro
2.(06:43) II. Moderato
3.(02:44) III. Presto –
4.(03:24) IV. Largo –
5.(06:14) V. Allegretto
total(24:08)

香港フィルハーモニー管弦楽団 – Hong Kong Philharmonic Orchestra
ヤープ・ヴァン・ズヴェーデン – Jaap van Zweden (指揮)
録音: 1-3 December 2022, Concert Hall, Hong Kong Cultural Centre, Hong Kong

ショスタコーヴィチ:交響曲第5番&第9番(香港フィル/ズヴェーデン )

マーラーとショスタコーヴィチの「交響曲第10番」に続く香港フィルハーモニー管弦楽団とヤープ・ヴァン・ズヴェーデンの新録音はショスタコーヴィチの2つの交響曲です。
収録されているのは第5番と第9番。
2012年よりオーケストラの音楽監督を務めるズヴェーデンはかつて香港ポスト誌のインタヴューで「オーケストラはカメレオンのようでなければならないと考えます」と語ったように、このアルバムでもオーケストラの高い機能性を用い、性格の異なる2つの交響曲(重厚、複雑な第5番、かたや新古典的な様式を持つ軽妙な第9番)を鮮やかに描きわけ、ショスタコーヴィチの多面性を際立たせています。
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まとめ

個人的には、ショスタコーヴィチの交響曲第9番は好きです。
第一楽章で木管が奏でるフレーズは、「犬のおまわりさん」の”わんわんわわん”みたいでつい笑ってしまします。

しかし、ショスタコーヴィチは凄い人だと思います。
恐怖の独裁政治を行ったスターリン政権の下で、当局の欺いたり期待を裏切ったりと下手すると生命にかかわることをやっていたのですから。
まさに命がけの冗談を飛ばし、当局をいじっていたことになります。

今後、聴き進めていくのが楽しみです。



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