こんにちは、
ともやんです。
オットー・クレンペラー(1885-1973)は、20世紀を代表する大指揮者です。
ユダヤ系のため、ヒットラー政権下のドイツを去り、アメリカに渡りますが、数々の身体的な苦難に見舞われ、戦後、手負いの獅子のようにヨーロッパに戻ります。
しかし、これだけの人を敏腕プロデューサー、ウォルター・レッグは、放っておきませんでした。
1950年代、フィルハーモニア管弦楽団との膨大な録音を行い、後世にクレンペラーの偉大さを残しています。
同世代のフルトヴェングラーやクナッパーツブッシュに比べ、良質なステレオ録音が大量に残されていることは、世界中のクラシック音楽ファンにとっては、大変幸せなことです。
クレンペラー・ボックス
この全72枚CDの大規模なクレンペラー・ボックスは、オットー・クレンペラーの非商業録音を集めた大規模なセットが、ヒストリカル系レーベル「VENIAS(ヴェニアス)」から登場。
オットー・クレンペラー・コレクション ~1934-1963 Recordings
1934年のニューヨーク・フィルとのブルックナー第9番から1963年のマーラー『復活』に至るまで、ライヴ録音と放送録音から成るセレクションで、同一作品の別録音も大量に収録。
クレンペラーといえば、沈着冷静でスケールの大きなEMIスタジオ録音の印象が強いですが、ライヴ録音と放送録音ではまた様子が違ったりもしますし、これだけ分量があると、時期やオーケストラによる演奏の違いなど比較鑑賞も楽しめるので資料としても役立ちます。
ちなみにクレンペラーは、「わたしはスタジオでレコーディングするよりも、むしろ公演を録音するほうが好きです。」とも語っていました。
クレンペラー指揮フィラデルフィア管
何枚か聴きましたが、それぞれのコメントはおいおい行っていきます。
今回は、1962年にフィラデルフィア管を指揮したモーツァルトのジュピターとブラームス3番を聴いて感想を簡単に記します。
実況録音ながら、リアリスト、クレンペラーの面目躍如的な演奏です。
どちらも緻密に克明に描いた名演です。晩年近くのテンポがやたら遅くなり、スケールだけ大きいな演奏とは違い、凝縮した内容が胸を打ちます。
特にブラームスは白熱した演奏を展開。
オーマンディ下のフィラデルフィア管から透徹した響きを引き出しています。
全CD72枚を聴くのは大仕事ですが、それに見合う、いやその何倍もの充実感を得ることでしょう。聴き進むのが楽しみなボックスです。
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