フルトヴェングラー生前最後のベルリンフィルの響き
ルードヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)
交響曲第4番変ロ長調 作品60
オイゲン・ヨッフム指揮
ベルリンフィルハーモニー管弦楽団
Ⅰ:Adagio-Allegro vivace 12:47
Ⅱ:Adagio 10:27
Ⅲ:Menuetto Allegro vivace 06:27
Ⅳ:Allegro ma non troopo 07:23
録音:1954年11月16日~19日 ベルリン
録音の日を見てほしい。
録音が終わった日は、1954年11月19日。
そしてこの日より10日後にフルトヴェングラーが亡くなくなりました。
記録では、この録音から11月30日までは、他の録音の記録がない。
つまりこの録音は、フルトヴェングラーの生前最後のベルリンフィルの響きが収められているのです。
だから非常に商品価値の高い録音だと思うのですが、どういうわけか、
ヨッフムの全集には、この54年の録音とは別の61年のステレオ録音が収録されています。
しかもこの54年の録音は、CDでは出たことがないらしい。
ヨッフムの背後にフルトヴェングラーがいる
ヨッフムの演奏では、以前、同じ54年だが2月にベルリンフィルを振った英雄では、フルトヴェングラーにはない、明るさと軽快さがあると書きました。
しかし、この録音は違います。明らかにフルトヴェングラーの響きを感じるのです。
アダージョのイントロから、暗く重くデーモニッシュが雰囲気で始まり、アレグロ・ヴィヴァーチェに入時のためなど、思わずフルトヴェングラーだ!と思わずにはいられません。
そんなことはあり得ないのですが、ヨッフムに病床のフルトヴェングラーが乗り移ったかのような演奏です。
それとも、病床のフルトヴェングラーへの思いがヨッフムとベルリンフィルのメンバーにはあり、それが演奏に影響したのでしょうか?
61年に優秀なステレオ録音をしてしまったために、
幻となった54年11月の第4番。
しかし、その演奏からは、フルトヴェングラー特有の情熱と寂しさの
二律背反する感情の爆発を感じるのでした。
追伸
ちなみに全集に収録されている61年の録音は、オケの響きは明るくなり、ヨッフムの持つ温かみと悦びに溢れた名演で、第4番の曲想からは、こちらの方が、イメージに合います。
それにしてもヨッフムは、素晴らしい指揮者です。
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