ブラームスの4番というと
彼の最後の交響曲ということと、
第1楽章のセンチメンタルな主題から、
ブラームスの4つの交響曲の中でも特に内省的なイメージがあります。
そのためか哀愁を帯びた演奏も多いような気がしますが、
完成したのが、1885年とブラームスはまだ50代前半の時期。
第1番を発表してから、10年も経っていない時です。
だから枯淡の境地的な演奏よりも
実もあり花もある色気のある男性的な
演奏もあってもいいと思います。
クナッパーツブッシュの名盤 ブラームス交響曲第4番
クナッパーツブッシュ&ケルン放送響のライブ盤は、
女々しいブラームスなんてぶっ飛ばせと
言わんばかりの豪快にして痛快な演奏です。
しかもクナッパーツブッシュの表現は、
豪快一辺倒だけではなく、情感的に聴かせる部分では、
心を鷲づかみされるような感動も与えてくれます。
ワルター&コロンビア響の澄み切った名演とは
対局をなす凄みのある名演で、
これはライブ録音ですが、
こんな演奏を聴くことが出来た
当時の人たちはいまから思うとつくづく幸せだったと思います。
クナッパーツブッシュの名盤 ブラームス交響曲第4番 CD紹介
リヒャルト・ワーグナー – Richard Wagner (1813-1883)
1.(20:07) ジークフリート牧歌 Op. 103 1.
Siegfried Idyll
ケルン放送交響楽団 – Cologne Radio Symphony Orchestra
ハンス・クナッパーツブッシュ – Hans Knappertsbusch (指揮)
録音: 08 May 1953, Westdeutscher Rundfunk, Cologne, Germany
* * * * * * * * * *
ヨハネス・ブラームス – Johannes Brahms (1833-1897)
交響曲第4番 ホ短調 Op. 98
Symphony No. 4 in E Minor, Op. 98
2.(12:51) I. Allegro non troppo
3.(11:41) II. Andante moderato
4.(06:30) III. Allegro giocoso – Poco meno presto
5.(09:53) IV. Allegro energico e passionato – Piu allegro
total(40:55)
ケルン放送交響楽団 – Cologne Radio Symphony Orchestra
ハンス・クナッパーツブッシュ – Hans Knappertsbusch (指揮)
録音: 08 May 1953, Westdeutscher Rundfunk, Cologne, Germany
正規盤発売!!! クナッパーツブッシュ渾身のブラームスの4番!
海賊盤で伝説となっていたクナッパーツブッシュの録音がついに正規盤で登場。1953年5月8日の公演のライヴ録音です。クナッパーツブッシュのブラームスでは、第3交響曲が有名で録音も多数残されていますが、第4交響曲はわずかに2種が残るだけ。このケルンでの演奏は、クナッパーツブッシュの指揮した交響曲の中でも最も豪演として名高いもの。ブラームスを完全にワーグナーの同時代人として捉え切った深いロマンティシズムに彩られた演奏です。ジークフリート牧歌は、過去に発売されたCDもわずかな珍しい音源。こちらはリラックスムードの中に豊かな喜びが繰り広げられています。どちらもWDRの蔵出し音源を使用、音の鮮度も上がりました。 [コメント提供;キングインターナショナル]
クナッパーツブッシュとケルン放送響のブラームス第4番は57年?53年?
僕が持っているLPでは、録音が1957年となっていますし、
2005年3月に出版された、『交響曲CD 絶対の名盤』福島章恭著でも、
1957年のライブTなっています。
しかし、どうも53年8月3日の録音らしいです。
いや、もしかして2種類存在するのかもしれませんが、
クナッパーツブッシュのブラームス第4番は、2種類という情報で、
もう一つが、52年のブレーメンフィルとの録音です。
LP時代は、どうも情報が錯綜してようで、
これは、音源の情報がしっかり整理されていなかったのが原因でしょうか?
クナッパーツブッシュの真髄を聴く ブラームス交響曲第4番
さて、録音の時期は、さておくとして、
どちらにしても凄い演奏です。
このレコードが国内ではじめて発売されたとき、タスキの文句が、
「からだもぶっ飛ぶ迫力!」となっていたそうです。
さらに、ライナーノーツには、
「第3楽章は、いきなり顔面に一発喰らったような・・・・」(宇野功芳)と書かれていたそうです。
僕は、幸いにも顔面に喰らったことはないですが、
この録音を聴いて、その衝撃度の表現としては、よくわかりました。
クナッパーツブッシュの魅力は、やりたい放題の豪快な演奏をしていても
気品や尊厳さを失わず、藝術としてもっとも大切な、
寂しさ、哀しみを持ち合わせていることです。
特にブラームスは、立派な構築物の中にセンチメンタルな哀愁を湛えています。
このクナッパーツブッシュの録音は、聴かずに死ねない一枚です。
まとめ
クナッパーツブッシュのブラームスは、第3番が多数残されていて、
名演も多くよほど気に行っていて得意としていたのでしょう。
それ以外では、第2番と第4番が複数残されていて、
第1番は、56年のシュターツカペレ・ドレスデンとの演奏が1枚だけのようです。
改めて聴いてみようと思います。