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山田一雄 神奈川フィル マーラー 交響曲第4番

こんにちは、
ともやんです。

ヤマカズさんこと山田一雄氏は、1968年(昭和43年)から横浜に居を構え、亡くなる91年まで20年以上に渡って当地で過ごされました。

また若い頃一度結婚しましたが、上手くいかず50歳を過ぎるまで独身でしたが、資料によると55歳の時に25歳の御秩子夫人を結婚され、女児を儲けられそのお嬢さんは後のソプラノ歌手山田英津子氏です。

今日は、最近読み始めたヤマカズさんの著書『一音百態』からエピソードを取り上げて記したいと思います。

山田一雄 一音百態

ヤマカズさんの著書『一音百態』は、亡くなった後出版されました。
それはあとがきの夫人も記していますが、ヤマカズさんが神奈川新聞に84回に渡って連載したエッセイが母体になっていて、生前から書籍化の話はあったそうですが、ヤマカズさんが78歳で急逝されたこともあり、夫人に生前語っていた記事も追加したいという以降もあり、亡くなった翌年92年12月の出版されました。

ヤマカズさんと夫人は30歳という年齢差ながらお互いを尊敬し合い、終生仲睦まじかったそうで、夫人によるあとがきは、短い文ながら感銘深いものです。

また、ヤマカズさんは、本書の中でも『キラリ輝く女性に・・・』という項では、”コロコロと明るく笑う乙女のような彼女と、今の時代を共に生きていることに、わたしは深く感謝している。年若い彼女は、当時、五十をとうに過ぎたわたしに、すべてを信じ託してついてきてくれた。”と記しています。

山田一雄 白髪とマーラー

一音百態』の中に『白髪と「マーラー」』という項があります。

晩年のヤマカズさんのトレードマークは、白髪の長髪ですが、若い頃は豊かな黒髪の持ち主だったそうです。

そんなヤマカズさんは、以前「山田一雄は、マーラーを指揮するごとに、頭髪が目に見えて白くなっていく」と言われたそうです。

ヤマカズさんは、第8番「千人の交響曲」を初演されましたが、その後、第2番「復活」、第4番、「大地の歌」などを何度も手掛けて来て、年に2回3回と演奏すると精も根もつき果てるような感じになったそうです。

また若き日に、N響事務局長の有馬大五郎氏から『山田君とマーラー』という原稿の中で「どうもマーラー、山田両氏は類似点が多くて山田君が<日本のマーラー>のような気がしてならない」と書かれたそうです。
では褒めているのかというとマーラーもお気の毒だらけの人だったことから、山田君も大変な重荷が予想されると記し、お気の毒にと締め括っているそうです。

今日聴いた録音は、1986年4月22日、神奈川フィルとの県立音楽堂でのライヴ。モーツァルト、得意のマーラー、鳴り止まぬ拍手にブラームスのアンコール。山田一雄、円熟期のライヴ

ヤマカズさんにマーラーが乗り移ったのではないかと感じる名演です。

山田一雄 神奈川フィル マーラー 交響曲第4番

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト – Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791)
ディヴェルティメント ニ長調 K. 136
Divertimento in D Major, K. 136, “Salzburg Symphony No. 1”

1.(06:12) I. Allegro
2.(07:17) II. Andante
3.(02:48) III. Presto
total(16:17)

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グスタフ・マーラー – Gustav Mahler (1860-1911)
交響曲第4番 ト長調
Symphony No. 4 in G Major
作詞 : 伝承 – Traditional

4.(16:08) I. Bedachtig, nicht eilen
5.(09:14) II. In gemachlicher Bewegung, ohne Hast
6.(21:16) III. Ruhevoll, poco adagio
7.(09:04) IV. Sehr behaglich
total(55:42)

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ヨハネス・ブラームス – Johannes Brahms (1833-1897)
ハンガリー舞曲集 WoO 1 – 第1番 ト短調(J. ブラームスによる管弦楽版)
8.(03:35) 21 Hungarian Dances, WoO 1: No. 1 in G Minor (orch. J. Brahms) (version for orchestra)

大倉由紀枝 – Yukie Okura (ソプラノ)
神奈川フィルハーモニー管弦楽団 – Kanagawa Philharmonic Orchestra
山田一雄 – Kazuo Yamada (指揮)
録音: 22 April 1986, Live recording, Kanagawa Kenritsu Ongakudo, Yokohama, Japan

マーラー:交響曲第4番/モーツァルト:ディヴェルティメント K. 136 (大倉由紀枝/神奈川フィル/山田一雄)

山田のマーラーへの傾倒は彼の自作にも色濃く反映されることなり、特に1944年に作曲され、マーラーの第4交響曲とともに1945年、つまり敗戦の年の1月の日本交響楽団(現 NHK交響楽団)定期公演において 山田自身の指揮で初演された管弦楽曲「おほむたから」op.20 (「おほむたから」とは天皇の大きな御宝、つまり天皇の臣民)ではマーラーの第5交響曲からの影響を鮮明化することにより、この国の悲壮な行く末を暗示している。

マーラーに深く傾倒し、その作品を度々取り上げていた山田一雄だが、現代に生きる私たちがその演奏に接することのできる可能性は非常に限られており、現在正規に販売されているCDを思い返してみても第2番(京響)第5番(N響)第8番 (都響) 花の章(日本フィル)第9番(新日本フィル)といったところであろうか? そこにこの度 神奈川フィルとの第4番が加わることとなった。



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