こんにちは、
ともやんです。
先日、代官山教会で行われた素敵なコンサートに行ってきました。
そのコンサートのタイトルは、
第3回 ラモーの肖像 《クラヴサン曲集と運指法》出版300年
このコンサートは、チェンバロ奏者流尾真衣さんが中心になって企画運営されているものです。
共演には、テノール歌手谷口洋介さん、ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者島根朋史さんが出演。
約2時間のコンサートを堪能してきました。
ジャン・フィリップ・ラモーについて
ジャン・フィリップ・ラモー(Rameau,Jean-Philippe 1683-1764)
18世紀のフランスを代表する作曲家、音楽理論家です。
同世代の音楽家としては、イタリアのヴィヴァルディ(1678-1741)、ドイツのJ.S.バッハ(1685-1750)、ドイツ生まれでイギリスで活躍したヘンデル(1685-1759)がいます。
ラモーは、地方都市ディジョンの教会オルガニストを父として12人兄弟の8番目として生を受け、幼少期から父から音楽教育を受けました。
ただ少年期には両親の希望で法律を学んだが、音楽に没頭するあまり退学になったりしています。
青年となり地元などで教会のオルガニストを務め23歳でパリに出ました。そこで最初の曲集『クラヴサン曲集 第1巻』を出版。しかし、評判にならず、パリで細々と教会のオルガニストを務めていましたが、数年で故郷に戻りました。
結局、地方都市のつつましい一介のオルガニストとしてわずかな給金で過ごす厳しい生活が続いたようです。そんな彼が評判になったのは、ようやく40歳になろうかという時期。1722年に西洋音楽理論の礎となる大著『和声論』を執筆。これが評判となり、翌年1723年からパリに定住することとなりました。
こんなことから、神童ともてはやされ10代から活躍することが珍しくない音楽界で「大器晩成の作曲家」と称される所以です。
もっともこうした辛苦の苦労が、その人柄に表れていたようで、フランス文学・演劇学者でラモーに関する著書もある村山則子氏によると「怒りっぽく峻厳で吝嗇、頑固で妥協を知らない、論争好きなその姿が当時の様々な資料から窺い知れる」という。それが高じて晩年には狂気を噂されるほどだったそうです。
そして最期が、最後のオペラ『レ・ボレアード』の稽古中に亡くなる時まで、理論と実践の追求をやめなかったそうで、まさに音楽に殉じた生涯と言えます。
出演者について
流尾真衣さんは、東京都の出身で4才からピアノを始め、J.S.バッハの作品がきっかけとなり14歳からチェンバロも始められました。
東京藝大音楽部古楽科に入学後はチェンバロでのソロおよびアンサンブル演奏のほか、オペラ等声楽作品のピアノ伴奏に積極的に取り組み、同大学院修士課程在学中は、G.フレスコバルディのトッカータと当時のマドリガーレとの関係についてまとめるなど、言葉と音楽の関わりを中心に研修したそうです。
現在は、バロック音楽を軸としながらも作品の時代、ジャンルにとらわれず活動を展開。演劇、舞踊のほか近年では特に美術作品とのコラボレーションも多いとのことです。
また2021年よりソロリサイタルシリーズ”Profilo”をスタートされ、今回のラモーの肖像が3回目でした。
今回弾いていたチェンバロは、2020年に日本の製作者によって作られてもので、素晴らしい装飾にも目を見張らされました。
テノール歌手の谷口洋介さんは、合唱団の指導でもお世話になっていて、今回のコンサートも谷口さんからの案内でした。僕が現在もっとも身近でしかも敬意を感じている歌手で、過去にはマタイ受難曲、第九、メサイヤなどでご一緒しています。
島根朋史さんは、今回実演に接したのは初めてですが、その名声は聴き知っていて、現代と古楽器のチェロ、そしてヴィオラ・ダ・ガンバを操る「三刀流奏者」としても名高く、今回も素晴らしい演奏に聴き惚れました。
ラモー クラヴサン曲集 おすすめ CD
今回、いくつのCDを聴いたのですが、どれもピアノによるもので、その中でカナダ出身のピアニスト、アンジェラ・ヒューイットのCDをご案内します。
2006年に来日公演でも聴衆に大きな感動を与えてくれました。
同年にリリースされた当CDでも、来日公演でも演奏を披露し話題となった18世紀フランス音楽界の巨匠であり近代和声学の父とも称されるラモーのクラヴサン曲集をお届けしています。
ラモーのクラヴサン曲集は、ロマン派の多くの作曲家にも大きな影響を与えました。
ヒューイットの楽曲を深く掘り下げた綿密な解釈によって奏でられるラモーからは、18 世紀当時の音楽の香りを感じ取ることができます。
まとめ
ラモーの名前は知っていましたが、実演でしかもチェンバロで聴いたのは初めてです。しかも代官山というお洒落なエリアで聴かれたことは素敵な経験となりました。
会場は、東急東横線の代官山駅から徒歩数分にある代官山教会。
40人にも入ればいっぱいになるかと思われる会場で、それだけに演者の方との距離が近く臨場感を体感しました。
素朴で優しいチェンバロの響きは、聴いているだけ心が癒されるものがあります。またその音色を楽しみながら様々な思いに馳せるというもの音楽を聴く楽しみでした。
その中にあってM.マレ(1656-1728)のヴィオール曲集第5巻より「膀胱結石手術図」は、マレが64歳の時実際に受けた手術を描写した作品で、それを谷口さんが日本語で語らえていたのですが、当時麻酔のない時代の手術で、死亡率も高かったようで、マレも相当ビビったようですが、手術は成功したのでこの経験をネタに書かれた作品だけでに笑えた曲でもあります。
マレ: ヴィオール曲集 第5巻 フランソワ・ジュベール=カイエ 、 ラシェロン
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こちらのアルバムで聴くことが出来ます。原曲は当然フランス語ですが、先日のコンサートでは、日本語訳だったので、臨場感が十分楽しめました。
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