こんにちは、
ともやんです。
今年2020年は、東ドイツの名指揮者ヘルベルト・ケーゲル(1920-1990)の生誕100年であり、没後30年にあたります。
ケーゲルは、現役時代、日本での知名度はいまひとつでしたが、根強いマニアに愛された名指揮者です。
ケーゲルは、旧東ドイツ・ドレスデン出身で同地で音楽を学びました。
1949年からライプツィヒ放送響、1968年からはドレスデン・フィルを率いたほかオペラも指揮しました。
実力の割には楽団に恵まれなかったのは、クルト・マズア(1927-2015)の妨害のせいだという証言もあります。東西ドイツ統一直後の1990年11月20日に自ら命を絶ちました。
自殺の原因としてはいろいろ憶測もありますが、ウィキペディアでも取り上げています。
それだけ衝撃な出来事でした。
ケーゲル マニアに愛された名指揮者
僕が、ヘルベルト・ケーゲルの名前を知ったのは、いつごろからだったでしょうか?よく憶えていません。
つまり、個人的にはそれほど注目していなかった指揮者でした。
ドイツ・シャルプラッテンからそこそこCDは出ていたし、1979年以来何度も来日してN響なども指揮していました。
ケーゲルを注目しだしたのが、やはり評論家許光俊氏の文章に接してからだと思います。
許氏は、事あるごとにケーゲルを取り上げ、『名指揮者120人のコレを聴け!』では、次のように力説しています
“日本の音楽マスコミにおいては黙殺されていたが、個性的なんてありきたりな言葉では追いつかないくらいの過激な音楽がマニアの間で話題になり、ついには店頭平積み、ロングセラー当然となったのである。
中略
そもそもそうなった理由の一部は、私がことあるごとにあっちこっちで絶賛したことだが、ケーゲルというこの不幸なひとりの人間に対して、生き残った私ができるせめてもの償いである。キング・インターナショナルと徳間は、全録音を発売すべきだ。”
しかも、亡くなる前年の1989年10月に来日してベートーヴェンの第5、6番”田園”で壮絶な演奏を繰り広げたにもかかわらず、「東独らしく伝統的でオーソドックス」という紋切り型のコメントで片付けられたことに業を煮やした許氏は、この録音に関して各所で推薦していました。
実は、僕の許氏の推薦でCDを買った一人です。
ケーゲル ベートーヴェン 最期の来日公演 慟哭の凄演
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なお、僕はこのブログで、2018年11月1日に上記の記事を書いています。
ケーゲル&ドレスデン・フィル ベートーヴェン交響曲第9番
ケーゲルは、1982年から83年に掛けてドレスデンフィルとベートーヴェン交響曲全集を録音しています。
僕も全集を所有していますが、全体的に端正な演奏で好印象を持っています。
そんな中、全集の中でも第9を推す記事をいくつか見たので、改めて聴いてみました。
非常に端正でキリリと引き締まった演奏です。
その中でも第2楽章のティンパニの決め打ちや終楽章の合唱の丁寧で優しさあふれる表現など、これは数ある第九の録音でも聴くべき演奏だと思いました。
そして、ドレスデンフィルの美しく締まったアンサンブルも見事です。
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン – Ludwig van Beethoven (1770-1827)
Symphony No. 9 in D Minor, Op. 125, “Choral”
作詞 : フリードリヒ・フォン・シラー – Friedrich von Schiller
1.(16:33) I. Allegro ma non troppo, un poco maestoso
2.(11:19) II. Molto vivace
3.(16:07) III. Adagio molto e cantabile – Andante moderato
4.(26:21) IV. Finale: Presto – Allegro assai
total(70:20)
アリソン・ハーガン – Alison Hargan (ソプラノ)
ウーテ・ヴァルター – Ute Walther (アルト)
エバーハルト・ビュヒナー – Eberhard Buchner (テノール)
コーロシュ・コヴァーツ – Kolos Kovats (バス)
ベルリン放送合唱団 – Berlin Rundfunkchor
ライプツィヒ放送合唱団 – Leipzig Rundfunkchor
ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団 – Dresden Philharmonic Orchestra
ヘルベルト・ケーゲル – Herbert Kegel (指揮)
ヘルベルト・ケーゲル: Capriccioレーベル全録音集 ヘルベルト・ケーゲル 、 ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団
1990年11月20日、歴史的な「東西ドイツ再統一」の陰で、ひっそりと自らの生涯に幕を下ろした指揮者ヘルベルト・ケーゲル。彼は旧東ドイツを代表するオーケストラ、ライプツィヒ放送交響楽団やドレスデン・フィルハーモニーの首席指揮者として数々の名演を残しました。
Capriccioレーベルに残された全ての音源を集めたこのBOXには、ケーゲルの代表的録音であるドレスデン・フィルとのベートーヴェン交響曲全曲のほか、三重協奏曲や合唱幻想曲も含まれます。
時として「冷徹」と表現されることもあるケーゲルですが、「ドイツ・レクイエム」冒頭での柔和で優しい響きは、そのイメージを一変させるもの。ケーゲルが育て上げたライプツィヒ放送交響楽団&合唱団による演奏も見事です。
【CD8】にはケーゲルの名声を高めた「アルビノーニのアダージョ」を始め、「ルスランとリュドミラ」序曲から「威風堂々 第1番」まで、管弦楽小品全13曲をオリジナル音源で収録しています。今も語り継がれるケーゲルの芸術を、この機会にご堪能ください。ナクソス・ジャパン
最後に
ヘルベルト・ケーゲルは、今年生誕100年ですが、レコード会社からは特に大きな動きはないようです。
サブスクなどに押されて、CDの売り上げも落ちていますが、だからこそマニア受けの強いケーゲルの記念盤やセットを出してもいいと思います。
そこで個人的におすすめしたいのが、上記のセットです。
なんと言ってもケーゲルの代表作であるベートーヴェン交響曲全集とケーゲルの名声を高めた「アルビノーニのアダージョ」も収録されています。
しかも8枚組ながら3千円台というリーズナブルプライスです。
買って損はないと思います。
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