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朝比奈隆のチャイコフスキー 広々としてしみじみした回想録

朝比奈隆
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チャイコフスキーの交響曲では、やはり第6番“悲愴”が好きです。
第5番も第4番もいいですが、第6番が一番完成度が高いですね。

しかも名曲なので名演の名盤も多いので楽しめます。

 

さて、今日は朝比奈隆指揮大阪フィルハーモニー管の1997年2月13日のライヴ録音をご紹介します。

 

朝比奈さんには、特にこのチャイコフスキーの“悲愴”に対する思い入れがあるようで、録音も5種類あります。

 

また今日初めて知ったのですが、ヤフー知恵袋では、朝比奈隆論争もあるようですね。それについても僕の考えをコメントしたいと思います。

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朝比奈隆のチャイコフスキー

 

ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840-1893)
交響曲第6番ロ短調作品74“悲愴”
朝比奈隆指揮
大阪フィルハーモニー交響楽団
録音:1997年2月13日 大阪フェスティバルホールでの実況録音

Ⅰ(20:04) Allegro non toroppo
Ⅱ(08:36) Allegro con grazia
Ⅲ(09:58) Allegro molto vivace
Ⅳ(12:42) Finale.Adagio lamentoso-Andante

 

 

チャイコフスキーの交響曲第6番“悲愴”は、タイトルも作曲者自身が付けました。そして初演後8日目に亡くなっていることから、当初は“自殺交響曲”とも呼ばれたそうです。

 

名曲だけにLP、CDも多く中学生の時始めた購入したLPの曲目がこれで、演奏はカラヤン指揮フィルハーモニア管でした。

 

朝比奈さんが、ベートーヴェンとブルックナーを得意としていましたが、チャイコフスキーの演奏では、より感情が出ている様に思います。

 

60歳の僕にはまだ分かりませんが、いや少しは分かるようになりましたが、88歳の朝比奈さんが、人生の回想録を展開して、広々として気持ちでしみじみと語りかけるような演奏です。

 

人生の先輩であるお年寄りの話を聞くことは嫌いではありませんが、
中には同じことの繰り返しばかりだったり、愚痴めいたものもあり閉口することもありますが、軽妙な語り口でつい引き込まれていしまう方もいらっしいます。

 

朝比奈さんの演奏はまさにそんあ演奏で、
“むかし、まだロシア帝国だった頃にチャイコフスキーというりっぱな作曲がおってな、その方が最後にこんなりっぱな曲を書いたんですわ。それでその曲というのが悲愴という曲でな。。。”という風に、名人芸のような落語を聞くような楽しさがあります。

 

 

朝比奈隆の評価と好き嫌い

 

ヤフー知恵袋をチェックしていると朝比奈隆に対する賛否両論が戦われています。

 

特に激しい論争でもなさそうですが、

批判する方が、下手くそ、素人っぽい、大阪フィルの技術面を指摘し、
持ち上げる方は、技術面の不器用さを認めながらそれを超えた芸術面、精神面の高さを評価井しています。

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さて、僕は朝比奈隆のファンで大好きです。CDもそれなりに持っていますし、80年代にはコンサートにも何度か行きました。

 

しかし、一方でコンサートやCDでの演奏が凄いか、感動的かというとそうでもないのです。

 

でも、なんで朝比奈隆のコンサートに行き、CDを買うのか?

 

多分、期待でしょうね。

 

巨匠と呼ばれる指揮者と名オーケストラとの共演が、毎回毎回素晴らしく感動的ではないとし、全盛期のイチローでも4割は打てなかったし、つまりスポーツでも藝術でも成功よりも失敗の方が多いと思うのです。

で、朝比奈さんは、その成功の確率があまり高くないんだけど、その音楽に対する真摯で愚直な姿勢に心が打たれるのです。

 

上手く行っても、上手く行かなくても、今度はもっといい演奏をしようと誠実に前を向いて歩く姿勢に心が打たれます。

 

そしてそれに期待するからなのです。




朝比奈隆は人間性で大成

 

以前、音楽界で大成するにはユダヤ人かゲイの方がいい、という話を聞いたことがあります。ことの真意はわかりませんが、そういう面があるのかもしれません。

 

朝比奈さんを見ていると、その誠実な人柄だけで大成したのではと思います。

 

「フルトヴェングラーとカラヤン」中川右介著を読むと、クラシック音楽の権力争うには権謀術数が渦巻いています。

 

それに敗れて悲惨は末路を辿り人もいました。また最初からそんな流れを嫌い、才能がありながら二流オーケストラを渡り歩く指揮者もいます。

 

朝比奈さんを見ていると周りの人がその人柄に惚れて助けてくれるというように感じます。

 

例えば、終戦後満州からの引き上げの時も周りの中国人から助けてもらっています。嫌な奴だと絶対あり得ないことです。

 

評論家の中野雄氏の著書の中で、朝比奈さんのコンサートの後のサイン会のあと、握手をしてもらった瞬間、泣きたくなったと書いています。

 

朝比奈さんは、ケンウッドの役員まで勤めた大の男を握手一つで泣かせるような人だったのです。

 

 

まとめ

 

僕が朝比奈さんのCDを聴くのは、技術面での不完全さを認めながらその愚直で誠実な演奏が好きだからです。そんな演奏に心打たれるからです。

 

クラシック音楽を楽しむという行為は、趣味の世界なのですから、
自分が楽しめればいいのではないでしょうか?



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