こんにちは。
ともやんです。
今年9月に90歳で引退したベルナルト・ハイティンクの最後の第9の演奏をご案内します。
あまりに素晴らしいので、過去の演奏を改めて聴いているところです。
80年代に同じクラシック音楽鑑賞を趣味とする友人が、ハイティンク&コンセウルトヘボウ管によるベートーヴェンの交響曲全集を買ったから一緒に聴こうよ、というので彼の家に行って聴いたことがあります。
お互い、まだ独身だったので気楽な時代でした。
当時、ベートーヴェンの交響曲全集というと往年の指揮者たちの全集は、おおむねCD化されていました。
ただ、友人は最新の録音で評判の良い演奏ということでハイティンク盤を選んだそうです。
友人宅で第5番始め何曲か聴きましたが、良い演奏ですが、感銘深いかというとそうではありません。
正攻法ですが、無難な演奏で、僕としてあえてコレクションにしようという気持ちになれませんでした。
友人にはそのことは伝えませんでしたが。
それ以来、僕の中では、ハイティンクの演奏は正統派でいいけど、わざわざ聴かなくてもいい、ということになりました。
ハイティンク&ロンドン響 瞠目させられたベートーヴェン”運命”
ハイティンクの演奏で、この人は凄い人なんだと初めて感じたのは、2005年から06年に掛けてロンドン交響楽団と録音したベートーヴェン交響曲全集から、第5番”運命”を聴いてからです。
20年ほど前のコンセウルトヘボウ管と録音した第5番とは雲泥の差の出来栄えでした。
これは凄い!第1楽章から迫力が違います。
これがあの時友人宅で聴いたCDと同じ指揮者かと思うほど、違いました。
テンポ設定や全体的な流れには大きな違いは感じませんが、表現力がぐーんと上がっていてその迫力と訴えてくる力が全然違うのです。
まさに瞠目させられた名演でした。
そこからハイティンクを見る目が多少変わりました。
この人は、だてに30代の若さで名門ロイヤル・コンセウルトヘボウ管弦楽団の指揮者ではないと感じたのです。
でも、じゃどんどん聴こうか!という気持ちにはまだなれませんでした。
そして今回聴いた第九。
しかも引退する半年前の録音は、それはそれは凄いものがあります。
まさに現在、第九のCDでは一押しです。
ハイティンク&バイエルン放送響 ベートーヴェン交響曲第9番
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン – Ludwig van Beethoven (1770-1827)
交響曲第9番 ニ短調 「合唱付き」 Op. 125
Symphony No. 9 in D Minor, Op. 125, “Choral”
作詞 : フリードリヒ・フォン・シラー – Friedrich von Schiller
1.(17:22) I. Allegro ma non troppo e un poco maestoso
2.(15:32) II. Molto vivace
3.(13:17) III. Adagio molto e cantabile
4.(25:47) IV. Finale: Presto – Allegro assai
total(71:58)
サリー・マシューズ – Sally Matthews (ソプラノ)
ゲルヒルト・ロンベルガー – Gerhild Romberger (アルト)
マーク・パドモア – Mark Padmore (テノール)
ジェラルド・フィンリー – Gerald Finley (バス)
バイエルン放送合唱団 – Bavarian Radio Chorus
バイエルン放送交響楽団 – Bavarian Radio Symphony Orchestra
ベルナルド・ハイティンク – Bernard Haitink (指揮)
録音: 20-23 February 2019, Philharmonie im Gasteig, Munich, Germany
ベートーヴェン: 交響曲 第9番 ベルナルト・ハイティンク 、 バイエルン放送交響楽団
2019年2月、ハイティンクが指揮したベートーヴェン「第九」のライヴ収録!このコンサートの4カ月ほど後にハイティンクは指揮活動からの引退を発表、6月12日のインタビューでは「90歳を迎えて、私はすでに指揮をするつもりはないし、一旦立ち止まってしまったら二度と指揮をすることはできない」と語っています。
そして指揮者生活最後のコンサートは9月6日のルツェルンで開催され、彼は65年に渡る指揮者としての生活に終止符を打ちました。
この引退発表直前の「第九」は、まさにハイティンクにおける指揮活動の総括と言える演奏。彼が長年良好な関係を築いてきたバイエルン放送交響楽団との熱いやりとりを聴くことができます。
第1楽章、第2楽章ではゆったりしながらも激しい表現に終始し、第3楽章では瞑想的な美しさを見せ、最終楽章での荘厳な独唱、合唱とともにクライマックスを築き上げるハイティンク、彼の熱き想いに応えるかのように全力を傾けるオーケストラと、まさに一世一代の熱演が収録されています。
CD帯紹介文
まとめ
ハイティンク指揮バイエルン放送交響楽団の第九は、ひとつひとつ丁寧に音を積み上げて世界遺産級の建築物を築き上げたような演奏です。
これは凄い演奏です。
僕は、ベートーヴェンの第九のCDはたくさん持っていますが、現在、一番おすすめです。これ聴いてみなよ、凄いからと音楽仲間に強くすすめます。
ハイティンクが65年間の指揮者生活の集大成とも言うべき演奏です。
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