こんにちは、
ともやんです。
チェコの名指揮者ヴァーツラフ・ノイマン(1920-1995)は、昨年生誕100年ということで、1976年から82年に掛けてチェコ・フィルハーモニーとマーラーの交響曲全集を録音しました。
その後、10年後の92年から2度目の全集に挑みましたが、残念ながら第7番、第8番、そして大地の歌は未収録に終わりました。
最後に録音された第9番は、亡くなる5日前に録音が終了したそうで、まさに遺言とも言うべき録音になりました。
こちらの方は、筆者は未聴なので改めてCD等を入手してコメントしたいと思います。
本日、チェコフィルとの最初の全集から第1番「巨人」を聴きましたのでコメントいたします。
ヴァーツラフ・ノイマンの演奏スタイル
なにを隠そう、筆者は、ノイマンをあまり聴いていません。そしてノイマンと言うと、ゲヴァントハウス管を指揮したブルックナーの交響曲第1番の凄演を思い出します。
ヴァーツラフ・ノイマンのブルックナー第1番が凄すぎる!
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こちらの記事でその凄い演奏について記していますが、そのイメージからノイマンと言うと骨太で迫力のある演奏をする指揮者というイメージを持っていました。
ちなみにこの録音は1965年。この2年前の63年、アンチェルの補佐としてチェコフィルに復帰、その地位を残して翌年、東ドイツのライプツィヒ・ゲヴァントハウス管の首席指揮者、ライプツィヒ歌劇場の音楽監督に就任しています。
そしてこの録音を挟んで、68年。
ノイマンにとっても祖国チェコにとっても重要な年となりました。
チェコの自由化をめぐり、ソ連とワルシャワ条約諸国の威嚇が始まり、プラハの街はソ連の戦車でうずまったのです。
チョコフィルの首席指揮者だったアンチェルは、単身旅行中でそのまま帰国せずカナダに亡命。ノイマンは、ゲヴァントハウス管の地位を全て投げうって、プラハに帰国し、チェコフィルの首席指揮者として活動を始めたのです。
このノイマンの祖国愛に溢れる行動は、プラハの人たちを勇気づけました。
ノイマンの音楽もこの68年から変貌を遂げ、その音楽は線が太く逞しくなり、伝統を重んじる曲の解釈、演奏の構成、深い落ち着きを流麗さを獲得して行ったのです。
このマーラーの交響曲全集は、その変貌から約10年間チェコフィルとのしっかり腰を落ち着けての活動の集大成としての録音で完成度の高さと艶やかなチェコフィルの響きを堪能できる名盤です。
第1番「巨人」でも、艶やかさを深さの両方を兼ね備えらチェコフィルのサウンドが堪らない魅力です。
ノイマンの指揮もブルックナーの1番で聴かせた激しさは影を潜め、端正で深い洞察力を持った演奏です。
僕がもっとも感動する、何もしていないのに深い感銘を受ける演奏なのです。
第2番以降も楽しみです。
ノイマン&チェコフィル マーラー交響曲第1番「巨人」
グスタフ・マーラー – Gustav Mahler (1860-1911)
交響曲第1番 ニ長調 「巨人」
Symphony No. 1 in D Major, “Titan”
1.(12:57) I. Langsam, schleppend
2.(08:25) II. Kraftig bewegt, doch nicht zu schnell
3.(10:37) III. Feierlich und gemessen, ohne zu schleppen
4.(18:52) IV. Sturmisch bewegt
total(50:51)
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 – Czech Philharmonic Orchestra
ヴァーツラフ・ノイマン – Vaclav Neumann (指揮)
録音: 8 October 1979, The Dvorak Hall of Rudolfinum, Prague, Czech Republic
マーラー: 交響曲全集、亡き子をしのぶ歌、さすらう若人の歌、他 ヴァーツラフ・ノイマン チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
ノイマン生誕100周年記念企画。チェコ・フィルとの偉大な遺産、マーラーの交響曲全集が全てSACDでセット化!第1,2,5番以外は世界初SACD化。マーラーへの深い共感と説得力をもって描いた彼らの代表的録音のひとつ。チェコ・フィル黄金期の録音を最上の音質で最新復刻!
チェコにおけるマーラー演奏の伝統を受け継ぎ、ボヘミア人であったマーラーの音楽世界を深い共感と説得力をもって描いています。
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