こんにちは、
ともやんです。
パトリシア・コパチンスカヤは、現在僕が一番気になっているヴァイオリニストです。
彼女は、1977年モルドヴァ生まれ。
西側にルーマニア、東側にウクライナに接する東ヨーロッパの小国で、コパチンスカヤが生まれた当時は、ソビエト連邦の一部でした。
ルーマニア系の人口が多く、公用語もルーマニア語。
父親は、当時のソ連では唯一だったと言われるツィンバロン奏者で、母親もヴァイオリニストで、東欧の民族音楽を演奏しながら生活を営んでいたそうです。
今日は、そんなコパチンスカヤのルーツをたどるアルバムを聴きました。
コパチンスカヤ ベートーヴェンの衝撃
コパチンスカヤのデビューアルバム『スーパー・ディオ!』は、トルコ出身のピアニストで作曲家の鬼才ファジル・サイとの共演。
最初のベートーヴェンのクロイツェル・ソナタを聴いてぶっ飛んでしまいました。
まさに怪演。
聴きなれた名曲が、出だしから何が始まったのかわからなくなり迷宮の入ってしまったような錯覚に陥る演奏です。
ある評論家は、バルトークとサイの作品に土着的な響きを感じるのは当然としてベートーヴェンでさえも部分的にそう聴こえると記しているが、僕はこの辺はよくわかりません。
ただ、クロイツェル・ソナタの初演者がブリッジタワーという黒人と白人の混血のヴァイオリニストだったことでそれを意識したものか?と疑問を呈しています。
なお、アルバム『スーパー・ディオ!』に関しては改めてコメントしたいと思います。
とにかく『最新版 クラシック 現代の巨匠たち』ONTOMO MOOKでは、コパチンスカヤという音楽家を理解するためには、まず父母と共演したアルバム『ラプソディ』を聴くべきだろう、という言葉を信じて今回聴きました。
父親のツィンバロン奏者ヴィクトル・コパチンスキーと母親のヴァイオリニスト(アルバムではヴィオラ)エミリア・コパチンスカヤとの共演は聴きものです。
これはジプシー音楽なのか、なんのか?ツィンバロンの音色と無国籍的な音楽を楽しめる一枚です。
コパチンスカヤ ラプソディ ルーツをたどる
伝承 – Traditional
1.(03:57) チョクルリア(ひばり)
Ciocarlia
パトリツィア・コパチンスカヤ – Patricia Kopatchinskaja (ヴァイオリン)
ヴィクトル・コパチンスキー – Viktor Kopatchinsky (ツィンバロン)
マルティン・ジャコノフスキ – Martin Gjakonowski (コントラバス)
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ジョルジェ・エネスク – George Enescu (1881-1955)
2.(03:39) 幼き頃の印象 Op. 28 – 第1番 フィドル弾き
Impressions d’enfance, Op. 28: No. 1. Menetrier
パトリツィア・コパチンスカヤ – Patricia Kopatchinskaja (ヴァイオリン)
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伝承 – Traditional
3.(03:02) ドイナとホラ・マリタ
Doina et hora marita
パトリツィア・コパチンスカヤ – Patricia Kopatchinskaja (ヴァイオリン)
エミリア・コパチンスカヤ – Emilia Kopatchinskaja (ヴィオラ)
ヴィクトル・コパチンスキー – Viktor Kopatchinsky (ツィンバロン)
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ジョルジェ・エネスク – George Enescu (1881-1955)
ヴァイオリン・ソナタ第3番 イ短調 「ルーマニア民俗風で」 Op. 25
Violin Sonata No. 3 in A Minor, Op. 25, “Dans le caractere populaire roumain”
4.(09:16) I. Moderato malinconico
5.(08:44) II. Andante sostenuto e misterioso
6.(08:26) III. Allegro con brio, ma non troppo mosso
パトリツィア・コパチンスカヤ – Patricia Kopatchinskaja (ヴァイオリン)
ミハエラ・ウルスレアサ – Mihaela Ursuleasa (ピアノ)
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ジェルジ・リゲティ – Gyorgy Ligeti (1923-2006)
7.(02:53) バラードとダンス(2つのヴァイオリン編)
Balada si joc (version for 2 violins)
パトリツィア・コパチンスカヤ – Patricia Kopatchinskaja (ヴァイオリン)
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伝承 – Traditional
ドイナとホラ
Doina et hora
8.(04:46) Doina
9.(02:10) Hora
ヴィクトル・コパチンスキー – Viktor Kopatchinsky (ツィンバロン)
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ジェルジ・クルターグ – Gyorgy Kurtag (1926-)
8つのデュオ Op. 4
8 Duos, Op. 4
10.(00:26) No. 1. Poco sostenuto
11.(00:54) No. 2. Agitato, non allegro
12.(00:33) No. 3. Risoluto
13.(01:34) No. 4. Lento
14.(00:40) No. 5. Allegretto
15.(00:26) No. 6. Vivo
16.(01:37) No. 7. Adagio
17.(00:49) No. 8. Vivo
total(06:59)
パトリツィア・コパチンスカヤ – Patricia Kopatchinskaja (ヴァイオリン)
ヴィクトル・コパチンスキー – Viktor Kopatchinsky (ツィンバロン)
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グリゴラス・ディニーク – Grigora? Dinicu (1889-1949)
18.(02:05) ホラ・スタッカート
Hora staccato
パトリツィア・コパチンスカヤ – Patricia Kopatchinskaja (ヴァイオリン)
エミリア・コパチンスカヤ – Emilia Kopatchinskaja (ヴィオラ)
ヴィクトル・コパチンスキー – Viktor Kopatchinsky (ツィンバロン)
マルティン・ジャコノフスキ – Martin Gjakonowski (コントラバス)
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モーリス・ラヴェル – Maurice Ravel (1875-1937)
19.(10:21) ツィガーヌ(ヴァイオリンとチンバロン編)
Tzigane (arr. for violin and cimbalom)
編曲 : 不詳 – Anonymous
パトリツィア・コパチンスカヤ – Patricia Kopatchinskaja (ヴァイオリン)
ヴィクトル・コパチンスキー – Viktor Kopatchinsky (ツィンバロン)
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ホルヘ・サンチェス=チョン – Jorge Sanchez-Chiong (1969-)
20.(01:04) クリン
Crin
パトリツィア・コパチンスカヤ – Patricia Kopatchinskaja (ヴァイオリン)
エミリア・コパチンスカヤ – Emilia Kopatchinskaja (ヴァイオリン)
ヴィクトル・コパチンスキー – Viktor Kopatchinsky (ツィンバロン)
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伝承 – Traditional
21.(01:25) カルシャリ 1
Calusari 1
パトリツィア・コパチンスカヤ – Patricia Kopatchinskaja (ヴァイオリン)
エミリア・コパチンスカヤ – Emilia Kopatchinskaja (ヴィオラ)
ヴィクトル・コパチンスキー – Viktor Kopatchinsky (ツィンバロン)
マルティン・ジャコノフスキ – Martin Gjakonowski (コントラバス)
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22.(02:33) カルシャリ 2
Calusari 2
パトリツィア・コパチンスカヤ – Patricia Kopatchinskaja (ヴァイオリン)
エミリア・コパチンスカヤ – Emilia Kopatchinskaja (ヴィオラ)
ヴィクトル・コパチンスキー – Viktor Kopatchinsky (ツィンバロン)
マルティン・ジャコノフスキ – Martin Gjakonowski (コントラバス)
ミハエラ・ウルスレアサ – Mihaela Ursuleasa (ピアノ)
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23.(01:38) カルシャリ 3
Calusari 3
パトリツィア・コパチンスカヤ – Patricia Kopatchinskaja (ヴァイオリン)
エミリア・コパチンスカヤ – Emilia Kopatchinskaja (ヴィオラ)
ヴィクトル・コパチンスキー – Viktor Kopatchinsky (ツィンバロン)
マルティン・ジャコノフスキ – Martin Gjakonowski (コントラバス)
これがルーツだ! カリスマ・ヴァイオリニスト=パトリシア・コパチンスカヤついに全開!
デビュー盤となったファジル・サイとの強烈な『スーパー・デュオ!』、ピリオド楽器に持ち替えてもやっぱり強烈な『ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲』ですっかり日本のファンの心を捉えたコパチンスカヤ。小柄でキュートな容貌で、どんなヴァイオリニストからも聴けなかった強烈なインパクトを与えてくれます。
ソロ第2作は、高名なツィンバロン奏者の父親や、ヴァイオリニストの母親など、気心の知れた仲間との共演。しかし、内容はみずからのルーツに近い東欧系の音楽とあって、かのラカトシュも真っ青な激烈な音楽が期待されます。
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