ボールトの名盤 ヘンデル・メサイア 平凡の積み重ねを続けた超名演

目安時間:約 7分
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エイドリアン・ボールトは、

1889年にイギリス、チェスターに生まれ、

83年に94才の長寿を全うされました。

 

同世代の指揮者では、

クレンペラー(85年)フルトヴェングラー(86年)

クナッパーツブッシュ、ライナー(88年)

フリッツ・ブッシュ、エーリッヒ・クライバー、クレツキ(90年)

ミュンシュ、シェルヘン(91年)

サーバタ、ロジンスキ(92年)クレメンス・クラウス(93年)

といった20世紀を代表するような巨匠、名指揮者たちが生まれた世代です。

 

その中でもボールトは、SP時代は、

ここの名前の挙げた指揮者たち比べもっとも録音が多かったそうで、

このそうそうたる大物たちの名前を目の当たりにすると意外な気があります。

 

さて、本日はボールトが61年に録音したヘンデルのオラトリオ「メサイア」をご案内します。

 




エイドリアン・ボールトの名盤 平凡は印象だったSP時代

あらえびすこと野村胡堂氏(1882-1963)が、

名著「名曲決定盤」(1939年)のなかで

ボールトを評していますが、なかなか厳しいものです。

 

「この人のレコードは英国風の手堅さはあるけどフランス風のデリケートなところも、ドイツ風の線の太さも無い。何をやらしても手落ちは無いが、非常な傑作も一つも無く、レコードで聴く範囲では、ことごとく無事な演奏であり、どれも同じような出来栄えである。

だからシューベルトの「交響曲=ハ長調」もモーツァルトの「ジュピター」も、バッハの「組曲」も皆同じ気持ちで聴かれる。そういった指揮者である」

 

書かれています。

 

ほとんど酷評の感があります。

 



エイドリアン・ボールトの名盤 ヘンデル・メサイア 平凡こそ偉大なり

 

メサイアは、1961年の録音と言うことで、

古楽器演奏のスタイルでメサイアの演奏が大きく変貌する前であり、

あのクレンペラーの仰ぎ見るような名演が64年ですから、その前の録音です。

 

美しさと繊細さと壮麗さが兼ね備わった演奏で、

メサイアを堪能できる名演です。

 

有名な第2曲などは驚くほど遅く、コーラスも朗々たる声で歌い、
オケもたっぷりした美音を聴かせます。

 

近年の美しく神経質な録音とは対照的な魅力を湛えています。

 

圧倒的な名唱を繰り広げるサザーランドの熱演は、当盤の最大の聴きどころです。

 

ヘンデル:オラトリオ『メサイア』HWV.56 全曲

ジョーン・サザーランド(ソプラノ)
グレース・バンブリー(アルト)
ケネス・マッケラー(テノール)
デイヴィッド・ウォード(バス)
ジョージ・マルコム(チェンバロ)

 

ロンドン交響楽団&合唱団
サー・エードリアン・ボールト(指揮)

録音時期:1961年5月、8月
録音場所:ロンドン、キングズウェイ・ホール
録音方式:ステレオ(セッション)

 

 

ヘンデル: 1. オラトリオ《メサイア》HWV.56

2. 歌劇《エイシスとガラテア》全1幕 HWV.49b/サー・エイドリアン・ボールト

エイドリアン・ボールトの名盤 生涯イギリス音楽の捧げたが、、、

 

ボールトは、生涯にベートーヴェンの交響曲全集もまとめなかったし、

ドイツ系の交響曲、管弦楽などのシンフォニックな曲録音は少なったことも、

日本での評価が今一つなのかもしれません。

 

こういう私もそうですが、

日本ではモーツァルト、ベートーヴェン、ブラームスやブルックナー、

そしてマーラーと言った交響曲の定番で名演、名盤があると知名度、人気も上がると思います。

 

ボールトは、同時代のクレンペラー、フルトヴェングラー、クナッパーツブッシュといった人たちより

そこは完全に負けています。

 

しかし、エルガー、ヴォーン・ウィリアムズなどイギリス音楽では、

圧倒的なスペシャリストで、僕は、これからボールトの演奏で聴いていくのを楽しみにしています。

 

※ロンドンの風景

 

 

最後に

 

ボールトに、ドイツものの録音がないので、

日本での人気が少ないと書きかましたが、

 

少ないながらも残されている録音を聴くと、

この人はやはり凄い人だったということがわかります。

 

真面目に真摯に、仕事に、

しかも長い年月取り組んできた人の功績には、敵わないものがあります。

 

ボールトはまさにそんな人で、70年代前半にロンドン交響楽団と録音した

ブラームスの交響曲全集なんかまさにそんな録音です。

 

最初に聴くと、なんでもないように感じますが、

繰り返し聴くと、聴き進むうちに涙が溢れてきます。

 

ボールトの音楽は、日々の平々凡々の積み重ねが、

気が付くと見上げるような偉業になっていた、ということを感じがします。

 



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