日本で海外のプロのオーケストラが演奏したのは、
第二次大戦後の1955年(昭和30年)に来日した、
アメリカのシンフォニー・オブ・ジ・エアーでした。
このオーケストラの前身は、
ほとんどトスカニーニの専属オーケストラだったNBC交響楽団で、
54年のトスカニーニの引退で、運営側は解散を予定していましたが、
メンバーがそれを拒み、自主運営のオーケストラとして再出発した楽団です。
しかし、結局63年には正式に解散しました。
さて、ここで本場ドイツのオーケストラが、
日本で最初に第九を演奏したのか見てみたいと思います。
第二次世界大戦後、日本で響いた海外オケのベートーヴェン
シンフォニー・オブ・ジ・エアーは、
1955年(昭和55年)に海外の本格的なオーケストラとして、
戦後初めて来日しました。
この時は、ベートーヴェンの交響曲は演奏されましたが、
第3番”英雄”と第7番だけでした。
翌年、1956年、ウィーン・フィルハーモニーが初来日しました。
この時も、第九のプログラムはありませんでした。
翌1957年(昭和32年)にカラヤンとベルリンフィルが来日しましたが、
この時も第九の演奏はありませんでした。
そして、日本でドイツのオーケストラが、初めて第九を演奏したのは、
1961年のフランツ・コンヴィチュニー率いる
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の日本公演でした。
この時は、ベートーヴェンの全交響曲を演奏しました。
コンビチュニー 永遠の名盤 ベートーヴェン交響曲全集
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン – Ludwig van Beethoven (1770-1827)
交響曲第9番 ニ短調 「合唱付き」 Op. 125
Symphony No. 9 in D Minor, Op. 125, “Choral”
作詞 : フリードリヒ・フォン・シラー – Friedrich von Schiller
1.(17:41)I. Allegro ma non troppo, un poco maestoso
2.(12:07)II. Molto vivace
3.(15:53)III. Adagio molto e cantabile
4.(24:55)IV. Finale: Presto
total(70:36)
インゲボルク・ヴェングロル – Ingeborg Wenglor (ソプラノ)
ウルズラ・ゾレンコップ – Ursula Zollenkopf (アルト)
ハンス=ヨアヒム・ロッチェ – Hans-Joachim Rotzsch (テノール)
テオ・アダム – Theo Adam (バス)
ライプツィヒ放送合唱団 – Leipzig Radio Chorus
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 – Leipzig Gewandhaus Orchestra
フランツ・コンヴィチュニー – Franz Konwitschny (指揮)
録音: 1959-1961
【コンヴィチュニーの芸風】
コンヴィチュニーの音楽は、自身の若き日のオーケストラ楽員や弦楽四重奏団員、教育者としての経験に加え、オペラの練習指揮者から叩き上げた指揮者としての揺るぎのない自信が反映されたものと思われ、実際に聴いてみると、楽譜に対して客観的に誠実に取り組んでいるものが多く、ゆったり目のテンポでスケール大きく描きあげられた演奏は、オケの音色もあって実に魅力的。
当時のコンサート・オーケストラは大編成での演奏が主流だったため、存在感ある弦楽サウンドもコンヴィチュニー&ゲヴァントハウス管弦楽団の特徴ともなっており、ベートーヴェンの大フーガやモーツァルトのアダージョとフーガ、そしてブラームスの交響曲第1番など、重量感ある仕上がりが独特の味わいを醸し出しています。また、ライプツィヒ放送交響楽団を指揮した演奏でも同様の傾向があったことが確認できるほか、シュターツカペレ・ドレスデンとの演奏では、さらに柔軟な魅力もあったことがよくわかります。
HMVより
コンヴィチュニーの名盤 大河の流れのような第九
フランツ・コンヴィチュニーは、僕が中学生の頃から親しんだ指揮者でした。
当時、LPレコードは、1枚2,500円から3,000円と
当時の物価からしても非常に高価で、当然中学生や高校生の小遣いでは、
なかなか買えませんでした。
そんな中、フィリップスから
コンヴィチュニー&ゲヴァントハウス管のベートーヴェンが、
1枚1,000円の廉価盤で出ていました。
もちろん1,000円も中学生にとっては高額ですが、
僕は、コンヴィチュニーのベートーヴェン第4、第5、”田園”のLPを購入して楽しんでいました。
コンヴィチュニーが好きなのは、
コセコセしない大らかでスケールの大きな演奏が魅力だからです。
このゲヴァントハウス管との第九もまるで大河の流れを見るかのように、
堂々としてまさに重量級の演奏なのです。
まとめ
長い歴史を誇る、
ライプツィヒ・ゲヴァントハウスの
味わい深く、堂々とした演奏と、
世界最少オケのタッシェンフィルの演奏は、
第九演奏の両極に位置すると思います。
演奏時間だけ取っても13分も違うのです。
タッシェンフィルは、57分で駆け抜けて、
コンヴィチュニーは70分も掛けているのです。
そしてどちらも感銘深いのです。
だから聴き比べは止められないんですね。
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