こんにちは、
ともやんです。
ルネ・レイボヴィッツは、1913年ワルシャワ生まれで1972年でパリで亡くなっています。
享年59歳ということで今の感覚なら若くして世を去っています。
シェーンベルクとウェーベルンに作曲を、ラヴェルに管弦楽法を、モントゥーに指揮を学びました。
新ウィーン学派を崇拝し、教育、作曲、指揮、評論を行っていました。
またLP時代、かのリーダーズ・ダイジェスト社が通信販売した家庭名曲集は、日本にも広く普及しましたが、その企画に前衛的なレイボヴィッツが録音を残しているのが面白いです。
そのレイボヴィッツが リーダーズ・ダイジェストに残したベートーヴェン交響曲全集がとてつもない名演なのがもっと面白いです。
レイボヴィッツ 作曲家 指揮者としての役割
レイボヴィッツは、偉大なるつなぎ役でした。
彼は、1930年代からパリに住み、第二次大戦の前後、シェーンベルク直伝の12音技法を、ブーレーズをはじめとする多くの作曲家たち伝授しました。
その努力が、12音技法をベースとする戦後前衛音楽の隆盛となったのです。
一方、指揮者としてのレイボヴィッツは?というと、
彼の指揮は、師匠モントゥーゆずりの、戦前の古い情趣と、そうした情趣を殺ぎ落とし、音楽を冷たくつかまえ直し、ブーレーズのような指揮者の先駆けたらんとする、戦後の新しい意識とが、混ざっています。
そういう意味で、レイボヴィッツは、作曲家、指揮者としての偉大なるつなぎ役という枠割を演じたのでした。
レイボヴィッツ ベートーヴェン交響曲全集はおすすめ
【曲目】
ベートーヴェン:交響曲全集
【演奏】
レイボヴィッツ(指揮)、ロイヤル・フィル、ビーチャム合唱団
インゲ・ボルク(S)、ルート・ジーヴェルト(A)、リチャード・ルイス(T)、ルートヴィヒ・ヴェーバー(Bs)
【録音】
1961年、ロンドン;ステレオ収録
録音技師:ケネス・ウィルキンソン
デジタル・リマスター:イアン・ジョーンズ
ベートーヴェン:交響曲全集/レイボヴィッツ(指揮)、ロイヤル・フィル、ビーチャム合唱団
この録音でのレイボヴィッツは、作曲者自身のメトロノームによる速度指示を尊重したかのような、快速スピードで演奏をやってのけています。
後年のギーレンなんかのベートーヴェン演奏の立派な先駆けになっているところが偉大なるつなぎ役の面目躍如たるところです。
レイボヴィッツ ベートーヴェンの録音 交響曲全集を聴け!
本セットは、アメリカのリーダーズ・ダイジェストによる通信販売用の録音。
当セットは、出来合いの再使用ではない新規の録音で、製作スタッフの心意気がひしひしと感じさせる演奏と録音になっています。
古楽器演奏に親しんできた現代のリスナーには、それほどではないと思いますが、ベートーヴェンのスコアから伝統、慣習などの垢をそぎ落としたようなスカッとした演奏で、速いテンポで颯爽と進める演奏には、60年代当時のリスナーには、とても斬新に聴こえたことと思います。
例えば、3番“英雄”も普通50分前後を要する演奏時間も43分ほどで駆け抜けています。
最後に
レイボヴィッツ指揮ロイヤルフィル管の演奏は、颯爽とした演奏ですが、テンポが速いにも関わらず、粗さややっつけ感は皆無で、しかも急き立てる感じはなく、細部もきちんと描き切っています。
まさに凝縮した演奏です。
録音も非常に良いので、ベートーヴェン交響曲全集としておすすめのセットです。
聴かずに死ねない名盤です。
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