こんにちは、
ともやんです。
カラヤンは、1966年にベルリン・フィルと来日公演を行い、当時としては驚くような企画、つまり5夜連続でベートーヴェンの交響曲全曲を連続演奏するというコンサートを行いました。
それについてあーだこーだと記したいと思います。
今回で3回目です。
前代未聞のベートーヴェン交響曲連続演奏会1966
CDには、全12ページと読み応え十分の柴田南雄氏の興奮気味のコンサートレビューも付いています。
柴田氏が作曲家でしたが、文筆家としても相当な方で、それによると当時コンサートツアーである都市を訪れ、同地で5夜連続演奏するということもしかもそれがベートーヴェンの9曲の交響曲全てをやるということは前代未聞だったのではないか、と記しています。
つまり前代未聞のベートーヴェン交響曲連続演奏会1966が、1966年(昭和41年)4月12日から16日まで、上野の東京文化会館で行われたのです。
ベルリン・フィルの音に驚き
カラヤンが、フルトヴェングラーの後任としてベルリン・フィルの芸術監督に就任したのが1955年4月のこと。
そして2年後の1957年11月にベルリン・フィルとの最初の来日公演を行っています。
カラヤンは、その2年後の59年にはウィーン・フィルと来日していますが、今回テーマにしているベートーヴェンの全交響曲連続演奏会を行ったのが、ベルリン・フィルとの2回目の来日でした。
今回聴いた第1番のイントロで一番感じたことは、音の響きが明るいことです。明らかにフルトヴェングラー時代のややほの暗く重厚な響きと違います。柴田氏の解説を読むとその理由はわかります。
一つはピッチを上げたこと。aの音程を444ヘルツにしていることです。一般的には442で、古楽器などは440と聞いたことがあります。音程を上げると弦の音は確実に明るくなります。
また当時のコンサートマスターが、シュヴェルヴェというポーランド系ユダヤ人でフランス育ちでしかもアンセルメの下でスイス・ロマンド管のコンマスをやっていた人でした。
アンセルメのベートーヴェンを聴くとわかりますが、響きは明るく粋で感じを受けます。
シュヴェルヴェは、57年にも来日したそうですが、10年近く経って彼の音色が弦楽器群に浸透した結果と柴田氏は想像していました。
なるほど、この辺になると個人の好き嫌いの世界になるので、どっちが良い悪いではない。でも僕個人としては、フルトヴェングラー時代やカラヤンと同時代でもベームが指揮した時のベルリンフィル、また50年代のコンヴィチュニーとゲヴァントハウス管のようなほの暗くゴツゴツとした響きが好きです。
66年はまだ以前の面影はあるようで「英雄」を聴いているとそれを感じました。
ただ後年70年代以降は、ベルリンフィルの響きは、よりカラヤンのめざす磨き込まれたような音に変貌して行ったようです。
カラヤン ベートーヴェン交響曲第1番&英雄 1966
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン – Ludwig van Beethoven (1770-1827)
交響曲第1番 ハ長調 Op. 21
Symphony No. 1 in C Major, Op. 21
1.(07:30) I. Adagio molto – Allegro con brio
2.(06:04) II. Andante cantabile con moto
3.(03:52) III. Menuetto – Allegro molto e vivace
4.(05:49) IV. Finale: Adagio – Allegro molto e vivace
total()
————————
交響曲第3番 変ホ長調 「英雄」 Op. 55
Symphony No. 3 in E-Flat Major, Op. 55, “Eroica”
5.(14:20) I. Allegro con brio
6.(16:41) II. Marcia funebre: Adagio assai
7.(06:16) III. Scherzo: Allegro vivace
8.(12:12) IV. Finale: Allegro molto
total(49:39)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 – Berlin Philharmonic Orchestra
ヘルベルト・フォン・カラヤン – Herbert von Karajan (指揮)
録音:14 April 1966, Tokyo Bunka-Kaikan, Tokyo, Japan
ベートーヴェン交響曲全曲連続演奏会 ヘルベルト・フォン・カラヤン ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
カラヤンとベルリン・フィルは1966年4月12日から16日にわたりベートーヴェンの交響曲の全曲コンサートを行いました。
毎日のプログラミングはカラヤン自身が熟考し、最大の効果があがるように工夫されています。また最初に「コリオラン」、最後の第9の前に「レオノーレ第3番」という序曲を配し、すべてがメインの第9へ向かうように設計されています。
これについては連日会場で聴き詳しくレポートし、カラヤンの意図を分析した柴田南雄氏渾身の名解説をブックレットに全文掲載しているのも無上の価値ありと申せましょう。
コメント