こんにちは、
ともやんです。
『日本のオーケストラを指揮した世界のマエストロ列伝』野崎正俊著(芸術現代社)を読んでいきなり驚いてしまいました。
フェリックス・ワインガルトナー(1863-1942)が来日して日本のオーケストラを指揮していたという事実を知ったからです。
ワインガルトナーと言えば、日本の音楽ファンには録音でしか聴くことが出来ない19世紀生まれの巨匠たちのもっとも古い世代。
そうトスカニーニ(1867-1957)、ワルター(1876-1962)、フルトヴェングラー(1886-1954)の先輩にあたる人で、しかも作曲家マーラーとは3つしか違わない前時代の人が来日して日本のオーケストラを指揮していたなんて信じられませんでした。
ワインガルトナー来日 新交響楽団との特別演奏会
1911年に東京に帝国劇場が開場しました。
この劇場は日本で最初n西洋式大劇場でした。開場してから10年経って、当時世界的なヴァイオリニスト、ミッシャ・エルマン(1891-1967)が来日。その後、クライスラー、ハイフェッツといった世界的なヴァイオリニストが来日しました。
ただ彼らは、ヴァイオリン一丁あればリサイタルが開けます。しかしこと指揮者となればちゃんとしたオーケストラが存在しないと話になりません。
現在のNHK交響楽団の前身である新交響楽団が発足したのが1926年10月。
創立以来の指揮者近衛秀麿に代わってジョセフ・ローゼンストックが常任指揮者として招聘されたのが1936年夏。
その翌年の1937年に早くも世界的指揮者ワインガルトナーが新交響楽団の指揮台に立ったのです。
当時ワインガルトナーは既に70歳を超えていて、1928年まで20年に渡ってウィーンフィルの常任を務め、来日直前までウィーン宮廷歌劇場(現ウィーン国立歌劇場)の総監督を務めていました。
しかし当時のカルメン夫人がユダヤ人だったこともあり、スイスに移住していました。
来日したワインガルトナーは、1937年5月31日にベートーヴェンの交響曲第5番と第6番、そして女流指揮者でもあったカルメン夫人がレオノーレ序曲第3番を振ったと記録されています。
その後、6月から7月に掛けて、名古屋、京都、大阪を精力的に新交響楽団との特別演奏会をこなしました。演奏会は全て東京朝日新聞と日墺協会の主催で行われました。
ワインガルトナー夫妻は、新交響楽団は規律正しく、指揮者に忠実で柔軟な表現力を持つオーケストラとして褒め称え、演奏技術もヨーロッパのオーケストラと比べても遜色がないと高く評価しています。
一方、弦楽器の強化と楽器の改善に余地があるとも指摘しました。
ワインガルトナーの名盤
ワインガルトナーのCDでは、現在入手可能なもので、彼の録音がほとんど網羅されているのがこのセットをご案内します。
↓
The Art of Felix Weingartner フェリックス・ワインガルトナー
ただ、僕が所有している以下のナクソス盤は現在入手困難なようです。
音質は歪みもなく鑑賞に充分です。
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン – Ludwig van Beethoven (1770-1827)
交響曲第5番 ハ短調 「運命」 Op. 67
Symphony No. 5 in C Minor, Op. 67
1.(06:36) I. Allegro con brio
2.(08:36) II. Andante con moto
3.(05:15) III. Allegro
4.(08:46) IV. Allegro
total(29:13)
ブリティッシュ交響楽団 – British Symphony Orchestra
フェリックス・ワインガルトナー – Felix Weingartner (指揮)
録音: 17-18 March 1932, Central Hall, Westminster
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交響曲第6番 ヘ長調 「田園」 Op. 68
Symphony No. 6 in F Major, Op. 68, “Pastoral”
5.(09:01) I. Pleasant, cheerful feelings aroused on approaching the countryside: Allegro ma non troppo
6.(10:56) II. Scene by the brook: Andante molto mosso
7.(02:44) III. Happy gathering of villagers: Allegro
8.(03:06) IV. Thunder-storm: Allegro
9.(07:48) V. Shepherd’s song. Grateful thanks to the Almighty after the storm: Allegretto
total(33:35)
ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団 – Royal Philharmonic Orchestra
フェリックス・ワインガルトナー – Felix Weingartner (指揮)
録音: 18-19 January 1927, Scala Theatre, London
『ナクソス・ヒストリカル・シリーズ - フェリックス・ワインガルトナー指揮』
端正でキリリと引き締まった名演で、ナクソスの復刻盤は音質も悪くありません。80年前の演奏を忘れるくらい現代的な演奏です。
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