こんにちは、
ともやんです。
素晴らしいCDに出会いました。
↓
【CD】 Bach: Brandenburg Concertos / Jascha Horenstein Vienna Symphony Chamber Orchestra
ヤッシャ・ホーレンシュタインが、1954年にウイーン交響楽団の室内楽メンバーと録音したJ・S・バッハの名曲ブランデンブルク協奏曲です。
この演奏には、当時まだ20代でウイーン交響楽団の首席チェリストを務めていたニコラウス・アーノンクールも参加しています。
ヤッシャ・ホーレンシュタインについて
ヤッシャ・ホーレンシュタイン(1898-1973)は、ウクライナのキエフ生まれ。
母親はオーストリア人で、1911年にウィーンに転居。
その後の経歴はよくわかりませんが、のちベルリンでフルトヴェングラーのアシスタントを務めるようになり、1920年代にはウイーン交響楽団やベルリンフィルも指揮しています。
しかしユダヤ系ということでナチスの迫害に遭いアメリカに亡命しアメリカ国籍を取得、ロンドンで生涯を閉じています。
僕は個人的に隠れた名指揮者だと思っていて、若い頃、ホーレンシュタインがロンドン交響楽団を指揮したブラームスの交響曲第1番のLPを一時期愛聴していました。
それはそれは個性的で、ロマンティックな演奏でした。
だから、この人は、大時代的な人なのかと思っていたのですが、今回バッハのブランデンブルク協奏曲に出会って、この人の芸の深さと一筋縄ではいかない多様性に感心しました。
簡単に言うと、のちの古楽器演奏の台頭の胎動を予感させる演奏なのです。
1950年代当時は、フルトヴェングラー、クレンペラー、ワルターという20世紀の巨匠たちがバリバリ頑張っていた時代で、長大重厚な演奏が多く、バッハも例外ではありませんでした。
しかし、ホーレンシュタインは、小編成ですっきりした演奏を展開しています。
この響きを聴いていると明らかに古楽器と思わる響きも感じます。
しかも後に古楽器演奏の急先鋒として指揮活動を行うアーノンクールがチェリストとして参加しているのが凄いです。
ちなみにホーレンシュタインは、現代音楽の擁護し、ブームになる前からブルックナー、マーラーの曲を取り上げていた人なので、革新的な人だったのだと思います。
録音当時すでに50代半ばでしたが、若い奏者たちとあーでもない、こーでもないと議論を戦わせ、高みをめざしていた風景が想像できます。
ぜひ聴いてみてください。
ホーレンシュタイン バッハ ブランデンブルク協奏曲
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ – Johann Sebastian Bach (1685-1750)
ブランデンブルク協奏曲第2番 ヘ長調 BWV 1047
Brandenburg Concerto No. 2 in F Major, BWV 1047
1.(05:16) I. [Allegro]
2.(03:44) II. Andante
3.(03:02) III. Allegro assai
total(12:02)
ブランデンブルク協奏曲第4番 ト長調 BWV 1049
Brandenburg Concerto No. 4 in G Major, BWV 1049
4.(07:17) I. Allegro
5.(02:58) II. Andante
6.(05:18) III. Presto
total(15:33)
ブランデンブルク協奏曲第5番 ニ長調 BWV 1050
Brandenburg Concerto No. 5 in D Major, BWV 1050
7.(10:05) I Allegro
8.(05:43) II. Affettuoso
9.(05:43) III. Allegro
total(21:31)
ブランデンブルク協奏曲第1番 ヘ長調 BWV 1046
Brandenburg Concerto No. 1 in F Major, BWV 1046
1.(04:20) I. –
2.(04:14) II. Adagio
3.(04:39) III. Allegro
4.(01:27) IV. Minuet
5.(01:42) V. Trio I
6.(00:45) VI. Minuet da capo
7.(02:02) VII. Polacca
8.(00:46) VIII. Minuet
9.(00:33) IX. Trio II
10.(00:47) X. Minuet da capo
total(21:15)
ブランデンブルク協奏曲第3番 ト長調 BWV 1048
Brandenburg Concerto No. 3 in G Major, BWV 1048
11.(05:48) I. –
12.(00:17) II. Largo
13.(02:59) III. Allegro
total(09:04)
ブランデンブルク協奏曲第6番 変ロ長調 BWV 1051
Brandenburg Concerto No. 6 in B-Flat Major, BWV 1051
14.(05:55) I. –
15.(06:14) II. Andante, ma non tanto
16.(05:07) III. Allegro
total(17:16)
ウィーン交響楽団室内管弦楽団 – Vienna Symphony Orchestra Chamber Orchestra
ヤッシャ・ホーレンシュタイン – Jascha Horenstein (指揮)
その後の古楽器奏者たちの過激で鮮烈な演奏に比べれば、穏健派ですが、明らかに次の時代の予感を感じさせます。
僕が最近聴いた、2009年、つまりこの演奏から55年に録音されたガーディナー盤でブランデンブルク協奏曲を聴いたのですが、まさにジャズかロックかと思わせる演奏で、明らかにジャンルを超えていました。
次回が、ガーディナー盤についてレビューしたいと思います。
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