マタイ受難曲の聴きどころを実際に歌った合唱団員が伝えます

J.S.バッハ
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こんにちは、
ともやんです。

今回は、バッハの傑作「マタイ受難曲」の聴きどころについてご案内します。

僕自身「マタイ受難曲」の公演には、2019年7月に合唱団の一員として参加した経験があり、現在も所属している合唱団で、2025年11月の公演を目指して日々練習に取り組んでいます。

ヨハン・セバスティアン・バッハ(1685-1750)は、「音楽の父」と言われるほど後世の音楽界に大きな影響を与えた人です。

その恩恵を受けた音楽ジャンルは、クラシックに留まらずジャズやポピュラーなどの幅広いジャンルに浸透しています。

バッハは、その65年の生涯に膨大な作品を残しています。
その中でも、その規模や内容の充実度、完成度からして「マタイ受難曲」が最高傑作のひとつだと思います。

しかし、なにせ聴き通すだけで3時間前後も掛かる大曲で、しかも難しい部分もあるので、ちょっと近寄りがたい作品であることも確かです。

そこで、僕が友人たちをコンサートに招待するとして、この部分を聴いておいたらといいよ、そうすれば結構楽しめるよという「聴きどころ」をお伝えしたいと思います。

合唱団の一員として実際のコンサートで歌い、次の公演に向けて日々の練習をこなし、また独唱ソリストやオーケストラの演奏を間近で聴いてきた人間だから言える「聴きどころ」をお伝えできれば幸いです。

マタイ受難曲の聴きどころを5つご紹介

「マタイ受難曲」は、全曲を通して演奏すると3時間前後もかかる大曲です。
ベートーヴェンの第九交響曲が約70分前後ですから、その巨大さがわかるかと思います。
そこで特に聴いて欲しい「聴きどころ」を5つご紹介します。

「マタイ受難曲」は、聖書のマタイ伝のドイツ語訳をもとにした宗教劇です。
エヴァンゲリスト(聖書朗読者)とキリストのレシタティーヴォ(語るような歌)を中心とした物語です。

その物語の進行は、群集の合唱や信者の独唱を加えて進み、有名なユダやペテロの裏切り、キリストの逮捕、ピラト総督による裁判、十字架上の処刑、復活と続きます。

敬虔なるプロテスタントだったバッハは、キリストとともに苦しみ、民衆とともに怒り、涙を流しそれを作品の中で表現しています。

もっとも有名な部分は冒頭の第1曲

「マタイ受難曲」最大の聴きどころにしてもっとも有名な部分は、いきなり冒頭の第1曲から訪れます。

この第1曲は、長い「マタイ受難曲」の中でも、もっとも長い曲で10分前後を要します。

物語は、十字架を背負ったキリストがあえぎながらゴルゴダの丘の処刑場に連行される場面です。
それを深い悲しみを持ってみまもる信者たちが、シオンの娘に「来なさい、娘たち、ともに嘆きましょう。ご覧なさい!」(Kommt, ihr Töchter, helft mir klagen,Sehet)とうたいかけます。

この第1曲の素晴らしさは、内容だけではなく合唱の編成も壮大になるからです。
混声四部のコーラスが左右に分かれて八部になり、さらにボーイ・ソプラノのパートが加わって九部の壮麗な大合唱になるのです。

舞台中央に並んだ少年合唱の響きは、あたかも天の一角から射し込む光のようにも感じます。

バッハは見事にこの情景を写実画のように表現しています。

Image by Gerd Altmann from Pixabay

合唱パートが始まる前のオーケストラによる16小節の序奏部分では、通奏低音パートの引きづるような音型が象徴的です。

処刑場となるゴルゴダの丘を重い足どりで連行されるキリストの歩み、そして特にハッとさせられるのが、6小節目に現れる13度上向して14音目で1オクターブ落ちる部分
まるで13階段を昇って、ドンと下に落ちるシーンが目に浮かび、嗚呼と思わず息を飲んでしまいます。

だから「マタイ受難曲」をこれから聴こうとする人は、まずこの第1曲を何度も繰り返して聴いて欲しいです。
ここには「マタイ受難曲」の感情が集約されているので、第1曲を何度も聴いてから全曲を聴くようにするとより親しみやすくなると思います。

コラールのおすすめは第1部の終曲

僕が次におすすめしたい部分は、第1部の終曲のコラール「O Mensch, bewein dein Sünde groß」です。

規模的には、冒頭の第1曲に匹敵するものですが、曲の雰囲気が全然違います。
もっと楽天的で広がりと希望を感じさせる曲になっています。

研究者によっては「マタイ受難曲」らしくないという意見もあるようですが、僕は重苦しさから開放されたようなこのコラールが大好きです。

最後を締めくくる終曲に涙あふれ

そして最後の最後にバッハは、超感動的な終曲を用意しています。

全曲の最後を締めくくる「Wir setzen uns mit Tränen nieder」(私たちは涙を流しながらひざまずき)です。
僕は、練習で初めてこの曲を歌った時、歌詞の内容も理解していないのに、旋律を追いかけているだけで、なぜか分かりませんが涙が溢れてきてしまいました。

コンサートの本番でも合唱団の中には、この部分で感極まる人は多いと聞きます。
実は僕もその一人だったのです。

この最後の曲の前に置かれている「Mein Jesu, gute Nacht!」(私のイエスよ、おやすみなさい)という歌詞のレチタティーヴォと合わせて、墓所に憩うイエスへの思慕の感情と別れの挨拶が込められているのです。

Image by Andreas Ehret from Pixabay

ソリストが歌う有名なアリアは?

さて、合唱部分の聴きどころ以外にも独唱ソリストが歌う素晴らしいアリアがいくつもあります。
その中から、一度聴いたら忘れられない曲をいくつかご紹介したいと思います。

  1. 第8曲の「Blute nur, du liebes Herz!」(血を流されよ、いざ、いとしい御心よ!)
    ソプラノ独唱によるこのアリアは、ため息を交じえての哀切を湛えた曲調が印象的です。
  2. 第13曲「Ich will dir mein Herze schenken,」(この心をあなたに捧げましょう)。
    ソプラノ独唱の明るいト長調のアリアです。
    2本のオーボエ(原曲はオーボエ・ダモーレ)のチャーミングな旋律が印象的です。
  3. 第20曲「Ich will bei meinem Jesu wachen」(イエスのもとで目覚めていよう)
    テノール独唱と合唱との掛け合いのアリアです。
    オーボエのさわやかな旋律と伸びのあるテノールの歌声に魅了される曲です。

これらの3曲は、登山の途中などでふと目にする可憐な高山植物のように心を和ませてくれます。

神よ、憐れんでくださいにむせび泣き

第2部の中にある第39曲の「Erbarme dich,Mein Gott」(憐れんでください、神よ)は、アリアの中でも聴きどころとして有名です。

イントロのヴァイオリン独奏により哀切極まりない旋律から、ぐっと心を惹きつけられます。

クラシック音楽専門誌「モーストリー・クラシック2024年4月号」の中で、バッハ・コレギウム・ジャパンのコンサートマスター若松夏美さんは、聴き手の質問に次のように答えています。

聴き手:ヴァイオリンの2つのアリア(第39番と第42番)は、「マタイ受難曲」の聴きどころの一つです。これらの曲について教えてください。

若松さん:39番は、ペトロがイエスを知らないと否認した後「激しく泣いた」という福音記者の言葉の後ではじまります。
その言葉通り、「涙」がこのアリアの核になっていて、「あわれみたまえ」という祈りが何度も繰り返されます。
人は弱いものだ、という思いで弾いています

実際、このアリアのヴァイオリン独奏の旋律は印象的で、一度聴くと忘れることができません

メンゲルベルク指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管他による1939年の古いライブ録音では、感極まった観客のむせび泣きが収録されているくらいです。

マタイ受難曲の素晴らしさと愛らしさ

Image by Rainer Kuster from Pixabay
※バッハが生涯の後半を送ったライプツィヒの風景

「マタイ受難曲」は、18世紀前半に世に送り出された壮大で崇高な音楽で、現代人の心をも魅了して止まない作品です。

僕自身、普段から宗教心はあまりないし、キリスト教には全く無縁なのですが、「マタイ受難曲」を歌っていると何か心が浄化され、歌いながら感動して終曲になると涙が溢れて止まらなくなるくらいです。

しかし、こんなことを書くと「素晴らしいのはわかるけど、親しむには敷居が高すぎる」と感じる方もいらっしゃるでしょう。

そこで「マタイ受難曲」の素晴らしさと親しみやすさや愛らしさをご案内したいと思います。

バッハの最高傑作のひとつ

ある音楽評論家がその著書の中で、クラシック音楽の最高傑作は何か、と質問を受けたら、バッハの「マタイ受難曲」と答える人はとても多いだろうと記しています。
評論家は続けて、では第一位かというと躊躇するが、有力候補のひとつには間違いないと結論を避けていました。

そもそも音楽は嗜好性の要素が強いので、作品の好き嫌いは人それぞれですから、結論を出せるものではないと思います。

僕自身も「マタイ受難曲」が、クラシック音楽の最高傑作とまでは言えなくても、バッハの最高傑作のひとつには間違いないと思います。

バッハの研究に生涯を捧げた音楽学者礒山雅さん(いそやま ただし1946-2018)の代表作にして名著「マタイ受難曲」があります。

文庫版のあとがきまで入れて550ページを超す大著です。
この本の冒頭の「はじめに」の中で礒山さんは、次のように書いています。

私は、構想の雄大さと親しみやすさ、人間的な問題意識の鋭さにおいて、《マタイ受難曲》こそバッハの最高傑作であると思っている。

この作品には、罪を、死を、犠牲を、救済をめぐる人間のドラマがあり、単に音楽であることをはるかに超えて、存在そのものの深みに迫ってゆく力がある。

それはわれわれをいったん深淵に投げ込み、ゆさぶり、ゆるがしたあげく、すがすがしい新生の喜びへと解き放ってくれる。

礒山さんは、働き盛りの40代を「マタイ受難曲」の研究に費やされました。

メンデスゾーンが100年後に復活上演

マタイ受難曲の初演は、1727年4月11日にライプツィヒの聖トーマス教会で行われたと記録されています。

バッハ42歳の時です。

バッハの死後、「マタイ受難曲」はしばらく上演されずに忘れられていたようです。
しかし、初演から約100年後の1829年3月11日に作曲家で指揮者のフェリックス・メンデルスゾーン(1809-1847)によって復活上演されました。
この上演は大成功を収め、バッハの再評価に繋がり現代に至っています。

余談ですが、メンデルスゾーンは著名な作曲家の中では、特に裕福な家庭に生まれ、しかも才能豊かで、十分な教育も受けました。

得てすれば金持ちの御曹司で終わるところ、その財力と才能を無駄使いすることなく、音楽の普及に尽力した人です。

作曲家として数多くの名作を遺した他、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の指揮者としてもオーケストラ団員の地位向上に努めました。

メンデルスゾーンがそこまでして「マタイ受難曲」の復活上演に力を注いだのも、その内容が素晴らしくバッハの最高傑作だったからに他ならなかったからでしょう。

バッハの音楽は愛らしく親しみやすい

バッハというと音楽室に飾られていた肖像画からして、何か近寄りがたく堅苦しいイメージがあります。

クラシック音楽が大好きな僕でも、あの肖像画からは気難しそうな人だなと感じていました。

でも、一旦バッハの音楽に親しみ、様々な作品に接するようになるとバッハの音楽の親しみやすさとその愛らしさがわかってきたのです。

バッハの音楽はとっても愛らしく親しみやすいのです

バッハの作品には「G線上のアリア」やオルガン曲の「トッカータとフーガ」のような親しみやすい曲がたくさんあります。

TVCMやショッピングセンターなどの店内BGMなどを聴いているとバッハの曲が日常的に使われているのがよくわかります。

「マタイ受難曲」という巨大な作品を前にすると、どうしてもたじろいでしまいますが、構成している多くの曲の中には、愛らしく親しみやすい曲がたくさん含まれています。

だから「マタイ受難曲」を聴いていると自然にメロディーを口ずさんでいることもあるくらいです。

また歌詞はドイツ語ですが、その訳を読めば、物語の流れをある程度つかむことができ、キリスト教の知識があまりなくても大丈夫なのです。

マタイ受難曲の聴きどころがわかるCD

マタイ受難曲は、大曲にもかかわらず音楽史上最高の傑作のひとつとも言われているだけに多くの録音が残されています。

その中には、録音から70年も80年も経った現代でも聴き継がれているものがあります。
また演奏者とくに指揮者の解釈によって、時代と共に演奏スタイルも大きく変化してきました。

ここでは「マタイ受難曲」の聴きどころとして演奏スタイルの変遷とそれぞれの時代の名演が聴かれるCDをご紹介いたします。

往年の2つの歴史的ライブ

現代では、古楽器系の指揮者や団体による演奏が次々と出てきて好き嫌いは別にして、演奏スタイルが大きく変わったなと感じずにはいられません。

しかし、19世紀生まれの往年の大指揮者による2つの歴史的ライブ録音が、現在も現役盤として聴くことが出来るのは嬉しい限りです。

ひとつは、1939年のメンゲルベルク指揮コンセルトヘボウ管弦楽団のもので、もうひとつは、1954年4月のフルトヴェングラー指揮ウィーン・フィルによる演奏です。

どちらも19世紀に連なるロマン的な演奏スタイルです。
テンポの動きや濃厚な歌い回しなど、激しい感情の表現が目立ちます
また当時は指揮者の力が強かったのか独自のカットも行って演奏しています。

現代の感覚で聴くと大げさに感じられる部分も多々ありますが、受難の悲劇性とそれを呼び起こす人間感情に主眼をおいたアプローチです。
だから現代の端正な演奏に慣れた耳には、かえって刺激的に聴こえ、聴く人の心を揺さぶってくれる演奏だと思います。

メンゲルベルク指揮コンセルトヘボウ管

ウィレム・メンゲルベルク 、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

オランダの大指揮者ウィレム・メンゲルベルク(1871-1951)は、第二次大戦前に活躍した指揮者で、ナチに協力したとして戦後は活動を禁止され、不遇の内に亡くなった音楽家です。
しかし、戦前はもっとも著名な指揮者として活躍し、その主観的な演奏には好き嫌いがありますが、レコード録音もそれなりに残っています。
その中でも、マタイ受難曲のライブ録音は、この作品を愛する人にはぜひ聴いて欲しい録音です。

フルトヴェングラー指揮ウィーン・フィル

ヴィルヘルム・フルトヴェングラー ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 ウィーン・ジングアカデミー ウィーン少年合唱団 J.S.バッハ: マタイ受難曲

20世紀前半を代表する大指揮者ヴィリヘルム・フルトヴェングラー(1886-1954)の1954年4月14~17日ウィーン、コンツェルトハウス大ホールにおけるライヴ録音です。
亡くなって70年以上経つのに今も多くのファンがいて、20世紀最高の指揮者のひとりとして語り継がれています。

ロマン的なスタイルからの決別

20世紀も半ばになると、それまでのロマン的なスタイルから決別して、感情に任せた演奏から、楽譜に忠実であることが重視される時代になりました。

代表的な録音としては、フルトヴェングラーと同時代の指揮者でありながら、感情に流されない堅固な造形を重視したオットー・クレンペラー(1885-1973)のステレオ録音です。

質実剛健にして温かい人間性を感じさせてくれるオイゲン・ヨッフム(1902-1987)の演奏も素晴らしいです。

美麗なレガートを豊穣な響きで活かしたヘルベルト・フォン・カラヤン(1908-1989)などの名演があり、それぞれ違う解釈ですが、往年のロマン的なスタイルから決別した点では共通しています。

クレンペラー指揮フィルハーモニア管

オットー・クレンペラーワーナークラシックス・リマスター・エディション2 (オペラ&宗教的作品録音全集)

2025年は、20世紀を代表する巨匠オットー・クレンペラー(1885-1973)の生誕140年の年。
それを記念してワーナー・クラシックスからは、宗教曲とオペラの録音のCD29枚組が出ています。
その最初の3枚に収録されているのが「マタイ受難曲」です。

ヨッフム指揮コンセルトヘボウ管

オイゲン・ヨッフム 、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 J.S.バッハ: マタイ受難曲<タワーレコード限定>

録音は1965年11月 アムステルダムのコンセルトヘボウで行われました。

カラヤン指揮ベルリン・フィル

ヘルベルト・フォン・カラヤン 、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 J.S.バッハ:マタイ受難曲 抜粋

録音は、1972年2月-11月と1973年2月にベルリンで行われました。

バッハ演奏に特化した指揮者

いままで挙げた録音は、バッハのスペシャリストではない20世紀を代表する大指揮者たちの録音でした。
それに対して、バッハ演奏に特化して活動を続けていたのが指揮者のカール・リヒター(1926-1981)です。

自らミュンヘン・バッハ管弦楽団と合唱団を組織して1950年代に活動を始めました。
当時の流れを受けてロマン的な解釈を排して新しいバッハを追求した指揮者です。
またリヒターは、バッハの研究者でチェンバロ奏者としても著名で、彼の演奏は、60年以上前の録音ながら「マタイ受難曲」の決定盤として長く親しまれてきました。
これからも色褪せない名演だと思います。

カール・リヒター ミュンヘン・バッハ管弦楽団 ミュンヘン・バッハ合唱団 ミュンヘン少年合唱団

「マタイ受難曲」は傑作だけに、イメージの違うCDをいくつか持って聴き比べてみるのも面白いと思いますが、そこまではという方にはイチ押しのCDです。

古楽器スタイルの台頭

古楽器演奏の先駆者ニコラウス・アーノンクール(1929-2016)は、カール・リヒターが全盛だった1970年に初めて古楽器による「マタイ受難曲」を録音しました。

ノン・ヴィブラート、細かなアーティキュレーション、語るような抑揚、力動的な声部のやりとりなど、古楽器奏法を前面に打ち出した演奏でした。

また18世紀当時の教会では女声を用いなかったという慣習からウィーン少年合唱団を起用するなど徹底していました。

しかしその後古楽器スタイルの演奏が定着してくると、前衛的で刺激的なものから自然な演奏スタイルに変化してきました。

その代表盤が、アーノンクールから18年後に録音されたガーディナー指揮イギリス・バロック管の録音です。
ガーディナーは合唱団に女声も取り入れ、より自然は響きを追求しています。

これは1970年代から80年代にかけて、古楽器スタイルが浸透してきてこなれてきた結果ではないかと思います。

アーノンクール&ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス

ニコラウス・アーノンクール 、ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス J.S.バッハ: マタイ受難曲 (2000年録音)

残念ながら1970年当時の録音が現在廃盤のようなので2000年の録音をご紹介しておきます。
この録音でもウィーン少年合唱団を起用しています。

ガーディナー指揮イギリス・バロック管

ジョン・エリオット・ガーディナー 、イギリス・バロック管弦楽団 J.S.バッハ: マタイ受難曲

ジョン・エリオット・ガーディナー(1943-)指揮の録音は、アーノンクールから18年後の1988年4月に、スネイプ・モルティングス(イギリス)のコンサートホールにて行われました。

日本人によるマタイ受難曲

最後に日本人のよる「マタイ受難曲」の名演の録音をご案内します。

バッハ・コレギウム・ジャパンは、世界的にも注目され高く評価されている団体です。

昨年亡くなった小澤征爾さんに関しては改めて記す必要はありませんが「世界のオザワ」として、ベルリン・フィル、ウィーン・フィルといった世界最高峰のオーケストラを指揮し、ウィーン国立歌劇場の総監督も歴任した方です。

バッハ・コレギウム・ジャパン

鈴木雅明 、バッハ・コレギウム・ジャパン

日本を代表するバッハの演奏家たちによるバッハ・コレギウム・ジャパン創立30周年記念アルバムです。

今回の録音を機に大胆な試みに挑戦したい、という鈴木雅明率いるバッハ・コレギウム・ジャパンの思いが詰まっています。

小澤征爾&サイトウ・キネン

小澤征爾 、サイトウ・キネン・オーケストラ

小澤征爾と親交が深かった作曲家・武満徹の提言により、1997年のフェスティバルで実現した演奏です。

綿密な研究の結果モダン楽器にバロック弓を使用するなど、今までとはひと味違う弾力がありながらも抑制のきいた音楽を作り出しました。

人間のあらゆる感情が、真直ぐに響き渡る壮大なドラマとして渦巻く密度の高いアルバムです。

まとめ

マタイ受難曲の聴きどころをご紹介してきました。

マタイ受難曲のような大曲になると、入場料を払っていきなりコンサートに行っても、多くの方は、十分楽しめるまでにはいかないのではと思います。

だから、ある程度予習をして、耳を慣らしておいた方が良いと思います。
そのためにCDや音楽配信のサブスクを利用して、親しみやすいところだけでも聴いておくことをおすすめします。

またアマチュアの市民合唱団でも、バッハの「マタイ受難曲」を取り上げている団体がいくつもあります。

なんと言っても「マタイ受難曲」を知るには自分で歌うのが一番です。

そんな機会があれば、ぜひ挑戦されることをおすすめいたします。



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