こんにちは。
ともやんです。
2015年にアルトゥス・レーベルから15周年記念の限定盤として発売された、
ウィーンフィルハーモニー管弦楽団ライヴ録音集は第1集(11CD)と第2集(10CD)のセットで発売され、貴重な録音が多いおすすめのセットです。
2つのセットで2万円でしたが、この機会を逃さなぞ、と僕は大金を叩いて購入しました。
今週は、このセットからの名演をお届けします。
3大巨匠の記念碑的録音満載
アルトゥス・レーベルは、過剰な編集を避け、出来るだけ原音を大切にしたリマスターを行うということで評判の高いレーベルです。
第1集の方が、フルトヴェングラー、クナッパーツブッシュ、シューリヒトと3大巨匠でしかも名曲揃いでテンションも上がりました。
しかし、出力レベルが低いというか、音量を上げないと音が小さいという状態で、録音自体は、それほど悪くないので少し残念です。
そんなこんなで少し棚上げしていたのですが、ここにきてやはり1セット1万円も出して買ったのだからきちんと聴こうと思い直し、全て聴きました。
結果、やはり素晴らしい!しかも前後に観客の拍手が全ての演奏に入っていて、購入して良かったと再認識しました。
シューリヒトのシューベルト
カール・シューリヒトは、1880年ドイツのダンツィヒ(現ポーランド・グダニスク)で生まれで、1967年1月にスイスで亡くなっています。
最後の指揮が、1965年のザルツブルク音楽祭ということですから、これから紹介するシューベルトとブラームスは、1965年4月で最後の指揮のわずか2ヶ月ほど前ということになります。
フランツ・シューベルト(1797-1828)
交響曲第5番変ロ長調D.485
Ⅰ(05:22)Allegro
Ⅱ(09:34)Andante con moto
Ⅲ(04:43)Menuetto.Allegro molto
Ⅳ(05:05)Allegro vivace
カール・シューリヒト指揮
ウィーンフィルハーモニー管弦楽団
1965年4月24日 ウィーン・ムジークフェライン大ホール
83歳のシューリヒトが瑞々しく描き上げるシューベルトです。
シューリヒトの演奏には、フルトヴェングラーから感じるような圧力はなくてどこか風通しがよく清々しく、チャーミングな印象を受けます。
だからこのシューベルトの曲はまったく打ってつけという感じですね。
シューリヒトのブラームス
ヨハネス・ブラームス(1833-1897)
交響曲第4番ホ短調作品98
Ⅰ(12:47)Allegro non troppo
Ⅱ(10:53)Andante moderato
Ⅲ(09:49)Allegro giocoso-Poco meno presto
Ⅳ(10:11)Allegro energico e passionato-Piu allegro
カール・シューリヒト指揮
ウィーンフィルハーモニー管弦楽団
1965年4月24日 ウィーン・ムジークフェライン大ホール
これは凄い演奏です。
シューリヒトの気迫も凄し、それに応えるウィーンフィルもさすがという演奏です。
堅牢な構成の中にいっぱいのニュアンスを詰め込んだ感じで、それでいて、まったく息苦しくないところがシューリヒトの素晴らしさでしょうか。
録音は65年のモノラルながら音の分離は良く、ウィーンフィルの木管のチャーミングな響き、くぐもったホルンの音色、柔らかな弦の響きが良く収められていて聴き惚れていしまします。
シューリヒトもブラームスと同じ北ドイツの出身ですから、メンタリティー的にもシンクロするのでしょうか。フルトヴェングラーの描く悲劇的な情熱とは別のしみじみとした味わいがあります。
まとめ
フルトヴェングラー、クナッパーツブッシュ、シューリヒトは共に19世紀生まれで、20世紀前半から中盤に活躍した大指揮者です。
しかも3人ともナチスドイツの下での過酷な状況下を生き延びてきました。
政治と音楽は関係ないと言う人もいますが、戦時下もドイツに留まり、演奏を続けたことが戦後も活躍できた理由かもしれません。
3人とも来日はしませんでしたが、録音を通じて日本でも根強いファンを獲得しています。僕もその一人なんですが、いつもその理由を考えます。
50年以上前の古い録音から感じるのはその1回限りの演奏に賭ける情熱と真剣さが録音を通して感じられるからではないでしょうか?
その答えはよくわかりませんが、彼らの古い録音に魂を掻き立てられるのだけは確かです。
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