こんにちは、
ともやんです。
ヨーゼフ・マルティン・クラウスという作曲家をご存知でしょうか?
私は、アリアCD店主
松本大輔著『このNAXOSを聴け!』を読むまで全く知らない作曲家でした。
この作曲家の紹介は、この本のいきなり最初に登場します。
しかも松本氏の紹介は、かなりテンション高いです。
ちょっとその松本氏のハイテンションな解説をご紹介しましょう。
“せっかくなので、その「ヨーゼフ・マルティン・クラウスの第3集』、買って聴いてみた。
そしたらドカーン、大爆発。
すごかった。むちゃくちゃかっこよかった。
古典派、超・疾風怒濤音楽。血沸き肉躍る、ある種ロマン派をも凌駕する激情的表現の大行進。
ハイドンの荒れ狂った中期のシンフォニー、モーツァルトの『交響曲第25番』などを髣髴とさせて、ときにそれら以上の快感と興奮を味わわせてくれる。壮絶。”
こんな文章に接すれば聴かずに要られません。
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松本大輔著『このNAXOSを聴け!』
『クラウス: 交響曲全集 第3集』
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『クラウス: 交響曲全集 第3集』
【曲目】
交響曲 嬰ハ短調 VB140
交響曲 ハ短調 VB148 「葬送交響曲」
序曲 ニ短調 VB147
交響曲 ホ短調 VB141
【演奏】
ペッター・スンドクヴィスト(指揮)、スウェーデン室内管弦楽団
ヨーゼフ・マルティン・クラウスについて
ここで簡単に、作曲家ヨーゼフ・マルティン・クラウスについて書きます。
モーツァルトと同じ1756年、ドイツ生まれ。
ただ、早くからスウェーデンで活動し、時のスウェーデン国王グスタフ3世に認められ、一気にストックホルムの宮廷副学長に就任。
しかも就任前に国王の指示で、5年間に渡って、ドイツ、オーストリア、イタリア、フランス、イギリスで音楽的研鑽を積みました。
国王からの信任の厚さが分かります。
しかもこのスウェーデン国王グスタフ3世が凄い人でした。
というよりもヨーロッパの歴史の中でも秀逸な人でした。
国王の地位に就くと、当時貴族が握っていた国政の権力をクーデターによって奪取。
その後、ロシア、デンマークとの戦争で勝利を収めヨーロッパでの確固たる名声を手に入れました。
同時に拷問の廃止、言論の自由、さらに社会福祉まで手がけたと言いますから、国王の鑑でした。
また、芸術・文化への理解と愛情も深く、ヨーロッパ各国の芸術家・文化人をスウェーデンに集めて、優れた文化の浸透に尽くしました。
ヨーゼフ・マルティン・クラウスは、その音楽分野の最高幹部だったのです。
彼は、そんな賢帝のもと伸び伸びと創作活動を続け、ハイドン、モーツァルトを超えるような名曲を生み出していきました。
しかし、1792年、国王は愛する劇場にて背後からの凶弾に倒れたのです。
享年46歳。
もしあと20年、30年長生きしていたら、スウェーデンはヨーロッパの大国となっていたかもしれません。
ヨーゼフ・マルティン・クラウス 交響曲全集第3集
ヨーゼフ・マルティン・クラウス – Joseph Martin Kraus (1756-1792)
シンフォニア 嬰ハ短調 VB 140
Sinfonia in C-Sharp Minor, VB 140
1.(07:37) I. Andante di molto
2.(04:09) II. Andantino
3.(02:01) III. Minuetto I
4.(05:58) IV. Allegro
total(19:45)
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ヨーゼフ・マルティン・クラウス – Joseph Martin Kraus (1756-1792)
交響曲 ハ短調 「葬送交響曲」 VB 148
Symphony in C Minor, VB 148, “Symphonie funebre”
5.(07:06) I. Andante mesto
6.(02:41) II. Larghetto
7.(00:44) III. Chorale
8.(07:27) IV. Adagio
total(17:58)
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ヨーゼフ・マルティン・クラウス – Joseph Martin Kraus (1756-1792)
9.(10:05) Overture in D Minor, VB 147 9.
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ヨーゼフ・マルティン・クラウス – Joseph Martin Kraus (1756-1792)
交響曲 ホ短調 VB 141
Symphony in E Minor, VB 141
10.(05:06) I. Allegro spiritoso
11.(04:49) II. Adagio non tanto ma con espressione
12.(05:20) III. Presto
total(15:15)
スウェーデン室内管弦楽団 – Swedish Chamber Orchestra
ペッテル・スンドクヴィスト – Petter Sundkvist (指揮)
既出盤が世界の音楽ジャーナリスト絶賛の、「スウェーデンのモーツァルト」クラウスの交響曲全集、第3集は何と全曲短調、ただならぬ雰囲気が漂います。
中でも特異なのが、快速楽章が無い「葬送交響曲」で、友人でもあった国王グスタフ三世の暗殺(作曲者も同じ年に没)への悲嘆の叫びとなりました。
本家モーツァルトが大嫌いだった調性の嬰ハ短調を用いたベートーヴェン的世界の創出、序曲ニ短調9での押しの強いフーガの展開、ホ短調のフィナーレ12での一気呵成のたたみかけ、まさに本物の才能です。交響曲ファンの貴方には、一日でも早くクラウスを知っていただきたいのです。
CD帯紹介文
最後に
ヨーゼフ・マルティン・クラウスが、その国王の暗殺を悲しんで作曲したのが
このCDにも収録されている『葬送交響曲』。
そして作曲後、国王の後を追うように世を去りました。
享年36歳。
モーツァルトが死んだ翌年でした。
『葬送交響曲』は、全4楽章、快速楽章がありません。
しかも当時としては珍しいハ短調。
モーツァルトも使わなかった調性で、まさにベートーヴェンの世界観です。
クラシック音楽、そして交響曲を愛する人にはぜひ聴いて頂きたい一枚です。
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