こんにちは、
ともやんです。
今年7月28日で81歳になった現代の巨匠リッカルド・ムーティ指揮ウィーン・フィルの演奏で、ハイドンの交響曲「マリア・テレジア」とベートーヴェンの「英雄」を聴きました。
1992年6月のライブ録音で、ムーティも50歳を超え円熟期に入った頃の演奏で、颯爽とすっきりした演奏をする印象を持っていた僕としては、期待を裏切られて嬉しさを感じる演奏でした。
今日は、1992年6月21日にムジークフェラインザール大ホールで行われたコンサートについて記します。
ウィーンフィル 創立150周年 1992年
このムーティ&ウィーン・フィルのライブ録音は、1992年はウィーン・フィルにとって創立150周年の年でした。
当時の第1コンサートマスターのG・ヘッツェルは「1992年に行われるコンサートはすべてウィーン・フィルの創立150年の記念コンサートだと考えて取り組んでいく」と意気込みを語っていたそうです。
ただこのヘッツェルも同年7月29日にザルツブルクで登山中の事故で亡くなっています。
さて、ウィーン・フィルの創立150年を迎えるに当たり、その少し前から有力視されていたんがクラウディオ・アバドでした。しかし、彼は89年にカラヤンの後任としてベルリン・フィルの常任指揮者となり、ウィーン国立歌劇場のポストも辞任しています。
このような状況の中でウィーン・フィルが選んだのがリッカルド・ムーティでした。
彼とはその時点で20年以上のオペラやコンサートで信頼関係が結ばれていましたし、ムーティもスカラ座以外のポストを整理してウィーン・フィルの期待に応えたのです。
ムーティ&ウィーン・フィル ベートーヴェン 英雄
ムーティによるベートーヴェンは、80年代にフィラデルフィア管と録音した全集があります。素晴らしい全集で、第3番「英雄」でも名演を残しています。
福島章恭氏の名著『交響曲CD 絶対の名盤』では、絶賛しています。
一部以下に引用してみます。
“第1楽章は無限の未来に向って開かれた開放性が爽やかな感動を呼ぶ。弦のしなやかな美しさはそのまま金管群の思い切った強奏が心地よい。”等々。
そしてフィラデルフィア管から数年経ったウィーン・フィルとのライブは、より貫禄とスケールの大きさを感じさせてくれる名演です。
僕が特に感じたのはウィーン・フィルの有機的な響きで、メカニックで緻密なアンサンブルではなく、微妙な呼吸で共鳴して響き合うようなサウンドが心地よい。
ぜひ聴いてほしい名演の名盤です。
ムーティ 名盤 ベートーヴェン「英雄」&ハイドン「マリア・テレジア」
フランツ・ヨーゼフ・ハイドン – Franz Joseph Haydn (1732-1809)
交響曲第48番 ハ長調 「マリア・テレジア」 Hob.I:48
Symphony No. 48 in C Major, Hob.I:48, “Maria Theresa”
1.(08:33) I. Allegro
2.(09:29) II. Adagio
3.(05:06) III. Menuetto: Allegretto
4.(03:31) IV. Finale: Allegro
total(26:39)
————————–
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン – Ludwig van Beethoven (1770-1827)
交響曲第3番 変ホ長調 「英雄」 Op. 55
Symphony No. 3 in E-Flat Major, Op. 55, “Eroica”
1.(19:35) I. Allegro con brio
2.(17:48) II. Marcia funebre: Adagio assai
3.(05:58) III. Scherzo: Allegro vivace
4.(13:00) IV. Finale: Allegro molto
total(56:21)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 – Vienna Philharmonic Orchestra
リッカルド・ムーティ – Riccardo Muti (指揮)
録音:1992年6月21日 ムジークフェラインザール大ホール(ライブ)
アルトゥス15周年記念完全限定盤
ウィーン・フィルボックス第2弾最終回
ワルター、クリュイタンスのほかは全てステレオ集成!テンシュテットの濃厚なマーラー、ジュリーニの超重量級ベートーヴェン、ムーティの美しいイキ、ヨッフム翁の味わいの極みのブラームス、クリュイタンスのエレガントなラヴェル、ワルターのしたたる美音のモーツァルトなど恐ろしく充実したセット内容となっています。解説は約30ページの読み応えのある冊子。どのディスクもロングセラーの名盤ぞろい。最終回にふさわしいBOXです。
コメント