こんにちは、
ともやんです。
カルロ・マリア・ジュリーニ(1914-2005)は、イタリア出身の名指揮者。
特定のポストに長く就かず、孤高の巨匠とも言われていました。
先日、ジュリーニとウィーンフィルのブラームスの1番のレビューを書いた時、ジュリーニは少し苦手だと書きました。
ただ、ロサンゼルスフィルとの録音には、僕の好きな演奏がありました。
例えば、ベートーヴェンの“英雄”とか第5番とかです。
特に第5番は、ジュリーニの特徴である遅いテンポで細部まで精緻に描く感よりも推進力を重視した演奏で、その颯爽としたテンポの表現は、ジュリーニの録音の中でも特異な演奏で感銘深いものでした。
さて、今日は、ロサンゼルススフィルとのブラームスの第2番について記します。
ジュリーニ&ロス・フィル ブラームス交響曲第2番
ヨハネス・ブラームス – Johannes Brahms (1833-1897)
交響曲第2番 ニ長調 Op. 73
Symphony No. 2 in D Major, Op. 73
1.(22:35) I. Allegro non troppo
2.(10:44) II. Adagio non troppo – L’istesso tempo, ma grazioso
3.(05:43) III. Allegretto grazioso (quasi andantino) – Presto ma non assai
4.(09:45) IV. Allegro con spirito
total(48:47)
ロサンゼルス・フィルハーモニー管弦楽団 – Los Angeles Philharmonic Orchestra
カルロ・マリア・ジュリーニ – Carlo Maria Giulini (指揮)
1980年11月ロサンゼルス
ブラームス 交響曲第2番 カルロ・マリア・ジュリーニ ロサンゼルス・フィルハーモニー管弦楽団
指揮者カルロ・マリア・ジュリーニの生誕100年(2014年時)記念盤。本作は、ジュリーニが1978年から1984年まで音楽監督を務めたロサンゼルス・フィルハーモニー管弦楽団との名演揃いの録音の中から、ディテールの隅々まで細心の注意が払われた入念な演奏によるブラームスの交響曲第2番を収めたアルバム。
10年後のウィーン・フィル盤と聴き比べたい一枚。1980年11月ロサンゼルスにて録音。
ブラームス 交響曲第2番について
ブラームスの真骨頂は、センチメンタリズムだと思います。
つまり感傷的な表現、いやブラームスの内面から滲み出るもので、ブラームスが意図してそのセンチメンタルな表現をしていいるというよりも、彼の人間性が作品を通して、聴くものに伝わってくると感じています。
ブラームスは、北ドイツハンブルクの出身。彼は生涯独身でしたが、想いを寄せる女性にも上手く気持ちを伝えられないタイプだったと推測されます。
僕は、雪深い北陸の出身。そして同じように好きな女性のまでは引っ込み思案になるなどブラームスの曲に魅かれるのは、同じような内向的な性格からかと思います。
朝比奈隆氏は、ブラームスの曲は、年を重ねて初めて分かる、と言われたそうですが、
それはブラームスの曲全体に流れる、センチメンタルな部分を指していると思います。
ブラームスの交響曲ぜん4曲の中で、第2番は比較的明るい印象を与えます。
第1番を世に出すまで20年の歳月を要したのとは逆に、わずか4ヶ月で書き上げています。
ある人は、ブラームスの田園交響曲と言う人もいます。
多くの解説では、風光明媚な避暑地ペルチャハで一気呵成に書かれたことから、美しい自然を反映してブラームスには珍しい明朗な気分に溢れた曲、と紹介されることがあります。
僕は、そんな解説を読みながら、聞きながら、いや違うと思うな、どこもうつむき加減で、気持がいつも晴れない感じが、僕には伝わってくる、と思うのです。
避暑地で独身の40男が、青春の日々を邂逅するような切なさが全編に感じられます。
でも僕はそこにとても同調するのですが。
ブラームス交響曲第2番 ジュリーニ指揮ロスフィルの名演
カルロ・マリア・ジュリーニのブラームスのCDを購入すべく、ディスクユニオンに行き、第1番から第4番まで4枚をウィーンフィルの演奏で購入したつもりが、間違って第2番だけ、ロサンゼルスフィルのものを購入してしまいました。
しまったと思いましたが、これも縁と割り切って聴いてみると、これがまたとんでもない名演なのです。
先日、このブログでもレビューした全編オペラかと思うようなウィーンフィルとの後年の演奏にみる濃厚さは控えめ、細部の精緻さと全体の構成力はそのままで、もっと瑞々しく清々しい演奏となっています。
苦手意識のあるジュリーニでも、ロサンゼルスフィルとの演奏の魅かれるのは
そんなフレッシュな部分があるのがいいからだと思います。
まとめ
ジュリーニは、完全主義と言われています。
ロサンゼルスフィルとの契約においても、十分なリハーサルを要求しています。
だからジュリーニの録音には、どれも十分練られて未解決な部分のないことがよくわかります。
でも、後年のウィーンフィルとの濃厚ブラームスには、胸やけ感や息詰まり感がなくもなくありません。
でも、ロサンゼルスフィルとの演奏には、もっと開放感があり、瑞々しさがあります。
ジュリーニのロサンゼルスフィルとの名演は、改めてこのブログでご紹介して行きます。
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