こんにちは、
ともやんです。
昨年91歳で亡くなったドイツ生まれの名指揮者ミヒャエル・ギーレン(1927-2019)の録音から、『ミヒャエル・ギーレン・エディション第2集~ブルックナー』の第1番を聴きましたのでレポートします。
ブルックナーの交響曲全9曲を10枚のCDに収めたボックスセットです。
ただ録音年を見ると一番古い録音が第2番の1968年3月で、一番新しい録音が第9番で2013年12月ですから、その差45年もあるので、企画としてスタートしてものではないことがわかります。
ただ、オーケストラは、第2番のザールブリュッケン放送響以外は、バーデン・バーデン南西ドイツ放送響です。
ギーレンの演奏を称して地域性、ロマン的情念、演奏習慣を排した、楽譜からのリアルな再現から「冷血」「外科医」「辣腕マネージャー」など言われることが多く、ついつい先入観を持って聴いてしまいます。
ただ、個人的には正攻法のまっとうな演奏を人で、外見的容貌からなんかマッドサイエンス的なイメージを作り上げられているように思ってしまいます。
ギーレン ブルックナーの交響曲第1番を聴いて
ギーレンと言うと、彼を取り上げる評論家にもよりますが、どうしても猟奇的な演奏をイメージしてしまいます。では猟奇的な演奏と何か?
温かみのない冷たい演奏ということでしょうか?
昨日のブラームスの交響曲第1番に続いて、今朝はブルックナーの交響曲第1番を聴きました。
2009年という録音年。ギーレンも80歳を超えていて、やや遅めのテンポによるとても丁寧な演奏です。
そこには、ギーレンに形容詞のような冷徹さはあまり感じない。かと言って、晩年のベームのような好々爺として演奏でもなく、スコアを凝視し、丁寧に一つ一つの音符を大切にしながら再現して行く様は、感銘深い演奏となっています。
ミヒャエル・ギーレンの録音は、膨大なものがあります。
ブラームスとブルックナーの共に第1交響曲を聴いたのは、やっと入口に立ったようなものです。
しばらくギーレン・サウンドを楽しんでみようと思います。
ギーレン ブルックナー 交響曲第1番 南西ドイツ放送響
アントン・ブルックナー – Anton Bruckner (1824-1896)
交響曲第1番 ハ短調 WAB 101 (1891年ウィーン稿・G. ブロッシェ版)
Symphony No. 1 in C Minor, WAB 101 (1891 Vienna revision, ed. G. Brosche)
1.(13:53) I. Allegro
2.(12:59) II. Adagio
3.(10:40) III. Scherzo: Lebhaft
4.(15:45) IV. Finale: Bewegt, feurig
total(53:17)
バーデン・バーデン&フライブルク南西ドイツ放送交響楽団 – South West German Radio Symphony Orchestra, Baden-Baden and Freiburg
ミヒャエル・ギーレン – Michael Gielen (指揮)
録音: 25 January 2009, Freiburg Konzerthaus, Germany
ミヒャエル・ギーレン・エディション第2集~ブルックナー: 交響曲第1番-第9番
2017年に生誕90年を迎えるドレスデン生まれの指揮者ミヒャエル・ギーレン(1927-)。
これを記念して制作された集大成BOXの第2弾は、彼が最も得意とするブルックナーの交響曲全集です。
第1集(SWR90017CD)では、バッハ、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルトの5人の作品が収録されていて、こちらも「切れ味鋭い」とされる彼の持ち味が存分に堪能できるものでしたが、このブルックナーはまた別格です。
彼にとってはブルックナーは大切なレパートリーであり、1960年台から始めた放送録音でも、最初からその交響曲の何曲かが取り上げられています。
ギーレンは長い期間をかけてその解釈に磨きをかけ、使用するスコアも標準的なヴァージョンではなく、その時点で最も「音楽的に面白い」ものを選択、もちろん曲に対するアプローチも彼の特徴(怜悧さ、精緻な響きの探求など)を備えたものです。
このBOXには1968年の第2番から2013年の第9番までと、およそ45年に渡るギーレンの演奏の変遷が刻まれています。
交響曲 第1番,第2番,弟8番,第9番はこのBOXが初リリースとなります。
ナクソス・ジャパン
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