バッハ《ロ短調ミサ》を歌って:祈りと感謝に満ちた横浜の夜

クレンペラー
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こんにちは、ともやんです。

2025年11月27日(木)の夜、横浜みなとみらいホールにて開催されたJ.S.バッハ《ロ短調ミサ》の演奏会に、合唱団の一員として出演しました

今年に入り8回目のステージで、昨年の9回には届かなかったものの、ニューヨークのカーネギーホールで歌う機会に恵まれ、所属する4つの合唱団すべての定期演奏会に出演し、そのどれもが大曲揃い。

振り返れば健康を崩すことなく駆け抜けることができたことに、音楽の巡り合わせと周囲の支えに感謝せずにはいられません。

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バッハ《ロ短調ミサ》との再会、そして2026へ

今回歌ったバッハ《ロ短調ミサ》は、10月に別の合唱団でも取り組んだため、私にとっては今年2度目の挑戦です。

そして来年は4月に再演、さらに5月にはバッハゆかりの地、ライプツィヒのトーマス教会で歌う機会が予定されています。

バッハが少年時代を過ごし、後年トーマスカントルとして生涯の多くを捧げた場所でこの作品を歌えることを思うと、今から胸が熱くなります。

バッハ最後の大曲《ロ短調ミサ》とは?

この《ロ短調ミサ》は、バッハが晩年に取り組んだ最後の大作と言われています。

若き日の作品「ミサ曲ロ短調」の部分を再構成し、過去のカンタータから音楽を転用しながら、30年以上の歳月をかけて完成させた、まさに集大成と言える作品です。

「ミサ曲」というタイトルながら、カトリック、プロテスタントの枠を超え、人類普遍の祈りを音楽に昇華したバッハ最晩年の境地が結晶しています。

躍動と祈りが共存する音楽

ロ短調という調性から受ける印象とは裏腹に、この作品には躍動感と生命力が満ちています。

荘厳な「Kyrie」に始まり、「Gloria」では光が射し込むような明るさと祝祭の響きが広がり、「Credo」の重厚な対位法、そして「Sanctus」の天上を思わせる輝き。

歌うたびに、バッハの音楽がただの宗教作品に留まらず、時代や宗派を超えて響く普遍的な力を持っていることを実感します。

終曲《Dona nobis pacem》に込めた願い

とりわけ、終曲の「Dona nobis pacem(私たちに平和を与えたまえ)」は、今歌うべきメッセージだと強く感じました。

争いや不穏なニュースが絶えない現代社会を前に、バッハの音楽が書かれてから300年近く経った今でも、この祈りが失われていないことに胸が詰まります。

感情ではなく、音楽そのものに込められた祈りを丁寧に届けたい。
そんな思いで、ステージの最後の一音まで声を重ねました。

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クレンペラーのロ短調ミサを聴いて

僕がもう何十年と慕って聴いている指揮者にオットー・クレンペラー(1885-1973)という方がいます。

僕は、この人のロ短調の演奏をCDで聴いて、ぜひ歌いたいと思ったのです。

いやロ短調ミサだけではありません。

同じバッハの「マタイ受難曲」、ヘンデル「メサイア」、そしてベートーヴェンの「ミサ・ソレムニス」といった宗教曲の大曲もです。

クレンペラーの宗教曲に出会って

クレンペラーの演奏は、わかりやすく心地いいものではありません。
むしろ逆で特に上記の4曲は、高齢になってからの録音で、遅いテンポのノミで大理石を削るような克明な表現。
まるで峻厳はアルプスを望むかのような演奏とでも言えるでしょうか。

だから最初は、なんだこの難儀な演奏は!?と感じますが、聴いていくうちにこれは凄い演奏だと霧に晴れるようにわかるような感じになりました。

そして、その魅力に取りつかれる、もう離れ難いものになるのです。

20世紀を代表する指揮者だが

クレンペラーは、20世紀を代表する指揮者の一人には間違いないですが、変わった人です。

簡単に言えば、あのヘルベルト・フォン・カラヤンとは真逆な印象の方ということでしょうか。

共に音楽的才能に恵まれているのは言うまでもありませんが、ビジネスセンスによって、多くの重要なポストに付いていったカラヤンとは別に、クレンペラーは、自分のやりたい音楽を無骨に愚直に押し通していき、それに感動した人たちが、この人は凄いということで応援していったという印象があります。

だからスタイルは、特にクレンペラー自身が70歳を過ぎ年齢的にも老境に入り、身体的にも不自由になってから恐ろしく深く畏敬を発した音楽になったと僕は感じます。

そんな分かりにくいクレンペラーの演奏で、ロ短調ミサ、マタイ受難曲、メサイア、ミサ・ソレムニスと聴いたら、これは自分で歌ってみないとわからないと強く思ったのです。

おかげで、これら4曲は複数回歌うことが出来ました。
今後も機会があればぜひ歌いたいと思います。

クレンペラーのCD紹介

上記に挙げた僕が、感動したクレンペラーの演奏による宗教曲の大曲とオペラをまとめて収録したセットは、現在販売されています。

なんと言ってもロ短調のリハーサルが収録されているのが魅力で、僕は重複しているにも関わらず、リハーサルだけでも聴く価値があると思い注文してしまいました。

クレンペラーの名演:バッハのロ短調ミサ

ヨハン・ゼバスティアン・バッハ – Johann Sebastian Bach (1685-1750)
ミサ曲 ロ短調 BWV 232
Mass in B Minor, BWV 232
演奏時間(135:10)

作詞 : ミサ典礼文 – Mass Text
アグネス・ギーベル – Agnes Giebel (ソプラノ)
ジャネット・ベイカー – Janet Baker (メゾ・ソプラノ)
ニコライ・ゲッダ – Nicolai Gedda (テノール)
ヘルマン・プライ – Hermann Prey (バス・バリトン)
フランツ・クラス – Franz Crass (バス)
BBC合唱団 – BBC Chorus
ニュー・フィルハーモニア管弦楽団 – New Philharmonia Orchestra
オットー・クレンペラー – Otto Klemperer (指揮)

ワーナークラシックス・リマスター・エディション2 (オペラ&宗教的作品録音全集)

巨匠指揮者オットー・クレンペラー没50年。ワーナークラシックスのカタログに収録されている彼の完全な録音全集が、オリジナル・マスターテープより2023年24bit/192kHzリマスター音源(一部除く)による2つのボックスとして発売いたします。その第2弾として《オペラ&宗教的作品録音全集》の発売です。
先行して発売された《シンフォニック作品&協奏曲作品録音全集(95CD)》に続き、この《オペラ&宗教的作品録音全集(29CD)》とのボックスを合わせて《オットー クレンペラー/ワーナークラシックス・リマスター・エディション》の全体が形成されます。
これは、偉大なるクレンペラーのワーナークラシックスが現在権利を持つカタログの全てです。元々は 旧EMI コロンビア、HMV、エレクトローラ、パーロフォンのために録音されたものです、今回の《オペラ&宗教的作品録音全集》では、「魔笛」と「さまよえるオランダ人」は2017年にアビイロード・スタジオにおける十分なリマスターが行われたため、またドキュメンタリーサウンド、リハーサルなどは除き、オリジナル・マスターテープ、または入手可能な最良のソースから、2023年Art & Son Studioにおいて新たに24bit/192kHzでリマスターされたもので、バッハ、ベートーヴェン、ブラームス、ヘンデルの宗教的作品に、ベートーヴェン、モーツァルト、ワーグナーのオペラを収録しています。オットー・クレンペラーは、オペラの演劇性とオラトリオの精神性の両方を深く愛しており、彼が生涯をかけてこのレパートリーについて考え、経験した成果となっています。
モーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」録音のリハーサル、クレンペラーのオペラ公演で歌ったアーティストの回想録などを収録したボーナスCD(CD16)も収録。
ワーナーミュージック・ジャパン

なお、クレンペラーのロ短調だけのCDならこちらをご案内いたします。

J.S.バッハ:ミサ曲 ロ短調

アナログ録音の名盤をSACDハイブリッド化にて発売する”レジェンダリー・シリーズ”第2回。最晩年のオットー・クレンペラーが精魂を傾けつくした、文字通りの大作。バッハのミサ曲ロ短調を収録。
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仲間と分かち合う演奏後の喜び

終演後は聴きに来てくれた音楽好き仲間たちと杯を交わし、音楽談義に花を咲かせました。歌い終わった満足感、そして次の舞台に向けた意欲が自然と湧いてきます。

合唱は団体競技。

息が合った瞬間の喜び、役割を果たせた達成感は何物にも代えがたいものです。
また観客として聴いてくれたホールにいたすべての方たちは、音楽を共有する仲間です。
そんな多くの仲間たちをいる幸せをあらためて感じた一日でした。



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