こんにちは、
ともやんです
ハンス・ロットという作曲家の名前は、つい最近初めて聴きました。
ハンス・ロット(1858-1884)。ウィーン近郊の生まれですが、出生から訳ありでした。母は美貌の人気女優で歌手でしたが不倫の末ハンスを身ごもり18歳で出産。
父親は、33歳も年上の喜劇俳優で、当時先妻がいて、ハンスは、数年間は認知されず私生児として過ごすことになります。
その後、両親は結婚しますが、母は32歳の若さで亡くなり、父もその4年後に亡くなってしまいます。
しかし、ロットは音楽的才能の恵まれ、技量と経済的理由から学費が免除され、ウィーン音楽院で学びます。その時の学友にグスタフ・マーラーがいました。一時期同居もしていたようです。
また、ブルックナーにオルガンも師事し、ブルックナーによるとかなりの技量で、バッハを巧みに奏で、即興演奏も見事だったそうです。
ハンス・ロット 25年の生涯
ハンス・ロットは、出生こそ苦難多きものでしたが、学生時代には、ブルックナーを師とし、のちに大指揮者となり後世に傑作を残したマーラーと席を並べるなど、運命を好転させるような出会いがありました。
しかし、その後音楽院の最終年次の作曲コンクールに提出した交響曲第1番ホ長調の第一楽章が、ブルックナー以外から多くの審査員から酷評され、それにも負けず完成させて、指揮者のハンス・リヒターとブラームスに演奏してもらおうと見せるも認められず、自信を失います。
そして失意のもと田舎の音楽教師になろうとしますが、精神を病みうつ病となり、最後は結核で25歳の若さで亡くなりました。
そして時は約100年が過ぎます。
折からのマーラー・ブームと、没後100年ということで、演奏されるようになったようです。
また、ハンス・ロットが忘れられたいのは、マーラーがその楽譜を所有していたからではないか?という説もあります。
またロットの曲を聴くとわかりますが、マーラーの影響、いやマーラーが引用したのではないかと思われる部分も出てきます。
何と言ってもロットの方が、マーラーよりもずっと早く交響曲を書いていたのですから、ロットがマーラーに影響を与えたわけです。
若干20歳を僅かに過ぎたばかりなのにこんな管弦楽曲を作ったなんてその才能の凄さに感嘆させられます。
またその才能を認めなかった音楽院の審査員やブラームスの保守性には残念です。
そう言えば、師のブルックナーも学友のマーラーも生前よりも亡くなってからの評価の方が圧倒的に高いです。
ハンス・ロットの曲を聴いていて、もし彼が現代に生まれていたら、ジョン・ウイリアムズと並ぶ映画音楽の大家になっていたのでは、という妄想も浮かびます。
それくらい可能性を秘めた人だったと思います。
ぜひ、聴いてみてください。
ハンス・ロット 管弦楽曲集1
ハンス・ロット – Hans Rott
ハムレット序曲(J.V. シュミットによる復元版)
1.(10:47)Hamlet Overture (reconstructed by J.V. Schmidt)
編曲 : Johannes Volker Schmidt
————————-
組曲 ホ長調
Suite in E Major
2.(03:45) I. Praludium: Nicht zu langsam
3.(05:19) II. Langsam
total(09:04)
————————-
「ジュリアス・シーザー」のための前奏曲
4.(07:19)Julius Casar: Prelude
————————-
管弦楽のための前奏曲 ホ長調
5.(03-57)Orchestral Prelude in E Major
————————-
組曲 変ロ長調(抜粋)
Suite in B-Flat Major (excerpts)
6.(03:36) II. Scherzo
7.(02:32) IV. Finale: Sehr schnell
————————-
14:29田園風前奏曲 ヘ長調8.
Pastorales Vorspiel (Pastoral Prelude) in F Major
ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団 – Cologne Gurzenich Orchestra
クリストファー・ウォード – Christopher Ward (指揮)
録音: 23-25 January 2020, Studio Stolberger Strase, Koln
ハンス・ロット: 管弦楽作品集 第1集 クリストファー・ウォード ケルン・ギュルツェニッヒ管弦楽団
幻の天才、ハンス・ロットの管弦楽作品シリーズ、始動!ウィーン近郊に生まれ、ウィーン音楽院で学んだハンス・ロット。
音楽院ではマーラーと机を並べる傍ら、ブルックナーにオルガン演奏を学び、音楽家の道を志しました。
しかし1878年には音楽院の作曲コンクールに「交響曲第1番」の第1楽章を提出するも、審査員たちに酷評されてしまいます。唯一、彼の師であったブルックナーは擁護しましたが、結果は落選。
卒業後はブラームスに作品を見せるなど再起をはかりましたが、ここでも酷評され、ついには精神を病んでしまったロットは25歳の若さでこの世を去ってしまいます。
20世紀後半になってようやく注目された彼の交響曲第1番は、長い間「マーラーのエピゴーネン(亜流)」と言われていましたが、最近の研究では、マーラーがロット作品からの引用を行っていたことがわかり、彼の独自性が評価され始めました。
このCapriccioのシリーズは、再構築版を含むロットのオーケストラ作品を録音することで、ロットの魅力的な遺産を後世に残すことを目論んだもの。
第1集には世界初録音となる「ハムレット」序曲を含む全6作品が収録されています。
師ブルックナーを思わせる厚みのある響きが存分に楽しめるロットの作品をお楽しみください。CD帯紹介文
コメント