こんにちは、
ともやんです。
恐る恐る、クナッパーツブッシュのジュピターを聴いてみました。
聴き終わって、変な演奏ではないか?なんて疑った自分を大いに恥じました。
クナッパーツブッシュは、別にいつもトンでも演奏をしている訳ではなく、正攻法でも感動的な演奏が出来るから、トンでも演奏が映えるんですね。
さてジュピターは、それはそれは素晴らしい演奏なのです。
第1楽章。少し素っ気ないかなとは思いますが、造型のしっかりした演奏で、ベームの全盛期を彷彿とさせます。
そして、第2楽章は、テンポも遅めに取り、滋味あふれる演奏で、思わず聴き惚れてしまいます。
そして、第3楽章から終楽章へ。
終楽章がこの演奏の白眉で、速めのテンポで、フーガが颯爽と壮麗に響きます。終わったら思わず、再生装置に向かって拍手してしまいました。
クナッパーツブッシュ モーツァルト「ジュピター」の背景
1941年のヨーロッパ
1941年6月22日にドイツ軍はソ連領内へ宣戦布告なしに侵攻しました。
自国民の命などなんとも思っていない、史上最悪の独裁者が始めた独ソ戦は、史上最多の犠牲者を出す、最大にして最悪の戦争に突入したのです。
緒戦こそドイツ軍の圧倒的勝利が続きましたが、その内、ソ連軍の抵抗が激しくなり侵攻スピードは落ちます。
当時35才のショスタコービッチは、軍に入隊を志願しますが、見るからにひ弱な彼は、入隊を断られてしまいます。
そこで彼は、祖国ソ連の戦争のために、交響曲をつくることにしました。
それが、のちの交響曲第7番「レニングラード」です。
バイロイト音楽祭は、ソ連との戦争が始まっても開催されました。
ヒトラーは来ませんでしたが、ゲッペルスが着て、次の日記を残しています。
この町は平和そのものといった様子で、まさしく心安らぐ牧歌的な雰囲気にしてくれる。ここでは戦争中であることが、それほど感じられない。
ふざけるなですね。誰が戦争を始めたんですか?
ザルツブルク音楽祭も41年8月5日から30日まで開催され、「ばらの騎士」「魔笛」「ドン・ジョバンニ」「フィガロの結婚」が上演され、クナッパーツブッシュはベーム、クレメンス・クラウス、オランダのヴィレム・ヴァン・ホーフストラーテンと指揮をしました。
クナッパーツブッシュは、その後戦争中は、1944年9月9日にベルリンフィルとのブラームス第3番の録音を残して、消息がつかめなくなります。
そして戦後の非ナチ化裁判から完全復活するのが、47年1月。
このジュピターには、いつどうなるかわからない時代の一回限りの演奏に賭ける、クナッパーツブッシュの真剣さが聴こえてきます。
クナッパーツブッシュ モーツァルト 交響曲第41番「ジュピター」
ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)
交響曲第41番ハ長調K551“ジュピター”
Ⅰ:Allegro vivace 07:17
Ⅱ:Andante cantabile 09:17
Ⅲ:Menuetto & Trio: Allegretto 05:03
Ⅳ:Molto allegro 06:25
ハンス・クナッパーツブッシュ指揮
ウィーンフィルハーモニー管弦楽団
録音:1941年9月11日
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト – Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791)
交響曲第41番 ハ長調 「ジュピター」 K. 551
Symphony No. 41 in C Major, K. 551, “Jupiter”
1.(07:19) I. Allegro vivace
2.(09:20) II. Andante cantabile
3.(05:05) III. Menuetto: Allegretto
4.(06:27) IV. Molto allegro
totl(28:11)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 – Vienna Philharmonic Orchestra
ハンス・クナッパーツブッシュ – Hans Knappertsbusch (指揮)
録音: 9 November 1941, Vienna, Austria
ハンス・クナッパーツブッシュの芸術 with ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
クナッパーツブッシュのモーツァルト?と聴いて、えっ、大丈夫?変な演奏じゃないね。
ジュピターのイントロがめっちゃ遅かったりしないよね。
とまず反応しました。
でも、録音時が1941年という戦時中ということもあり、いや、意外(失礼)とちゃんとしているかも、とCDを聴き始めました。
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