こんにちは、
ともやんです。
来月6月5日に80歳を迎えるマルタ・アルゲリッチの録音を振り返っています。
今回は1960年19歳の時のモーツァルトをご案内します。
アルゲリッチは、1941年6月5日にアルゼンチン・ブエノスアイレス生まれ。
父親は外交官で、のちにヨーロッパにも渡ってピアノ教育を受けているので、音楽の教育環境は素晴らしかったようです。
5歳から、ヴィチェンテ・スカラムッツァにピアノを学びます。
この教師は、1885年イタリア生まれで2007年にアルゼンチンに移住。
アルゼンチンを代表するピアノ教師でした。
実際、アルゲリッチに加え、同世代のダニエル・バレンボイム、ブルーノ=レオナルド・ゲルバーという名ピアニストを育てています。
アルゲリッチとモーツァルト
アルゲリッチは14歳まで、スカラムッツァに学び、55年に外交官に父親に連れられヨーロッパに渡りました。
ここでも、グルダ、リパッティ夫人、ミケランジェロ、マガロフという名だたる名ピアニストのレッスンを受け、研鑽を積みます。特にグルダには12年間も師事しました。
アルゲリッチのモーツァルトの録音が、キャリアの割に少ないと思われるのは、師グルダがモーツァルトを得意としていたためのようです。
グルダ健在の時には「彼の演奏がある限り私は弾かない」と語っていたそうです。
さて、アルゲリッチとしては貴重なモーツァルトの録音が、1960年当時19歳のものが残されています。
歴史的に偉大な演奏家の貴重な録音をリリースしているカナダのDOREMIレーベルが出しているCDで、タワーレコードでもお取り寄せで入手可能です。
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アルゲリッチのデビューの年に収録されたモーツァルト
まず、当時売り出し中の名指揮者ペーター・マークとの共演のピアノ協奏曲第21番。
マークの伴奏も陰影に富んだ素晴らしいもので、特に第2楽章のしっとり感が素敵です。
3曲のソナタの中でも短調で書かれた第8番が素晴らしいです。
モーツァルトでは珍しい短調で書かれた曲で、ピアニストによっては、感情移入しすぎたり、逆に硬い演奏になったり、と感じます。
しかしアルゲリッチは、あくまで自然にしなやかに抜群のバランス感覚で演奏しています。
アルゲリッチの魅力は何と言っても、奔放で情熱的な中にも確かなテクニックに裏付けられた構成力を常にバランスよく持っているところだと思います。
だから、感興の赴くまま自由奔放に演奏しているようでも、決して崩れない絶妙のバランス感覚があると感じるのです。
アルゲリッチの若き日のモーツァルトは、レアの録音でもあり超おすすめです。
アルゲリッチ モーツァルト ピアノ協奏曲&ソナタ
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト – Wolfgang Amadeus Mozart (1756-1791)
ピアノ協奏曲第21番 ハ長調 K. 467
Piano Concerto No. 21 in C Major, K. 467
1.(12:57) I. Allegro maestoso
2.(07:35) II. Andante
3.(06:13) III. Allegro vivace assai
total(26:45)
ケルン放送交響楽団 – Cologne Radio Symphony Orchestra
ペーター・マーク – Peter Maag (指揮)
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ピアノ・ソナタ第8番 イ短調 K. 310
Piano Sonata No. 8 in A Minor, K. 310
4.(05:01) I. Allegro maestoso
5.(08:47) II. Andante cantabile con espressione
6.(03:06) III. Presto
total(16:54)
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ピアノ・ソナタ第13番 変ロ長調 K. 333
Piano Sonata No. 13 in B-Flat Major, K. 333
7.(06:31) I. Allegro
8.(04:44) II. Andante cantabile
9.(06:08) III. Allegretto grazioso
total(17:23)
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ピアノ・ソナタ第18番 ニ長調 K. 576
Piano Sonata No. 18 in D Major, K. 576
10.(04:47) I. Allegro
11.(04:48) II. Adagio
12.(04:11) III. Allegretto
total(13:46)
マルタ・アルゲリッチ – Martha Argerich (ピアノ)
録音: 1960
歴史的に偉大な演奏家の貴重な録音をリリースしているカナダのDOREMIレーベルが、「生ける伝説」現代最高のピアニスト、マルタ・アルゲリッチのシリーズをスタートさせました。
第1弾は1960年にケルンとミュンヘンの放送局スタジオで録音された音源。どの曲も正規盤ではリリースはなく、貴重な音源です。1960年といえばドイツ・グラモフォンからデビューレコードをリリースした年。
アルゲリッチ19歳、ショパン・コンクールで優勝する前の演奏で、若いアルゲリッチの瑞々しい感覚が発揮され、輝く才能に溢れた生き生きとした演奏を聴かせてくれます。モーツァルトのピアノ協奏曲第21番。前作20番とは対極的で、調性もハ長調という明るく伸びやかな歌心溢れた作品。
美しい旋律で有名な第2楽章では、アルゲリッチの感性に訴えかけてくる演奏に心を動かされます。またアルゲリッチのモーツァルトのピアノ・ソナタは、2台ピアノや4手のためのソナタの録音はありますが、通常のピアノ・ソナタの録音は正規盤ではありませんでしたし、アルゲリッチはモーツァルトの録音自体多くありません。
それは師であったグルダが最も得意としていた作曲家でもあり、アルゲリッチは以前「彼の演奏がある限り私は弾かない」と語ったほど。ここに収録されている3曲のソナタは、モーツァルトの純粋な音楽世界を、アルゲリッチのインスピレーションが赴くまま自由奔放な演奏で聴くことができます。
キングインターナショナル
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