こんにちは、
ともやんです。
クナッパーツブッシュのライブ録音で、1957年10月27日のウィーンフィルとのものをご案内します。
歴史的録音で、しかも音質も悪くなく、よく残してくれたものだ、と感謝します。
演奏は超弩級の名演です。
フランツ・シューベルト(1797-1828)
交響曲第9番ハ長調「ザ・グレート」
ハンス・クナッパーツブッシュ指揮
ウィーンフィルハーモニー管弦楽団
1957年実況録音
まずイントロの有名なホルンのソロによる旋律が、なんと観客の拍手が終わらないうちに始まりま
えっ、と思うけどクナッパーツブッシュには、よくあるようで、同じシリーズの中に収められているブルックナーの交響曲第3番も同様の開始をしています。
クナッパーツブッシュの名盤、迷盤はいろいろありますので、このブログでも積極的に取り上げて行きますね。
さて、クナッパーツブッシュが、観客の拍手が終わらない内に曲を始めるとはどういうことか、先日日本フィルのコンサートに行ったときに、観察してみました。
拍手が終わる前に曲が始まるということは、観客側からみれば、始まりに気づかないということです。
日本フィルの指揮者は、インキネンでした。明快な棒さばきの指揮者です。
インキネンは、曲を始める際さっと構えます。
それに合わせて、オーケストラもさっと合わせます。
そして観客も拍手を止め、息を止めて演奏の開始を待ちます。
そしてインキネンの指揮棒がピッと一閃して、曲がスタートするわけです。
構えてから曲がスタートするまで、1~2秒、緊張の瞬間です。
つまりクナッパーツブッシュの指揮ではこの儀式がないのです。
観客も気付かないのです。
オーケストラは慣れているのかもしれません。
もう少し深堀してみると、僕が拍手が終わらない内に始まることを確認した曲は、シューベルトの交響曲第9番”ザ・グレート”とブルックナーの交響曲第3番です。
シューベルトがホルンのソロ、ブルックナーがトランペットのソロ(正確には弦の伴奏から始まります。)で始まります。
つまり、クナッパーツブッシュは、さりげなく奏者に合図を送るだけなのでしょう。
だから観客も気付かないし、もしかしてオーケストラも、「お、始まったぞ」なんて少し慌てているかもしれません。
いや、さすがにプロ集団のウィーンフィルに至ってはそんなことはないし、「今日はシューベルトのザ・グレートだから、拍手終わる前に始まるぜ。」なんてかえって緊張感を持って待っているのかもしれませんね。
クナ&ウィーンフィル シューベルト”ザ・グレート”
フランツ・シューベルト – Franz Schubert (1797-1828)
交響曲第9番 ハ長調 「ザ・グレート」 D. 944
Symphony No. 9 in C Major, D. 944, “Great”
1.(13:54) I. Andante – Allegro ma non troppo
2.(13:56) II. Andante con moto
3.(10:45) III. Scherzo: Allegro vivace
4.(13:57) IV. Allegro vivace
total(52:32)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 – Vienna Philharmonic Orchestra
ハンス・クナッパーツブッシュ – Hans Knappertsbusch (指揮)
録音: 27 October 1957, Live recording, Vienna, Austria
シューベルト:交響曲第9番ハ長調「グレイト」ハンス・クナッパーツブッシュ(指揮)、ウィーン・フィル
クナッパーツブッシュの録音で最初に拍手が入っていると、とてもどきどきします。拍手がまだなりやまないのに、そそくさと演奏を始めてしまうものが多々あるからです。
このシューベルトの両曲はそれぞれ最初の拍手つきですが、「グレイト」のほうは期待通りにやらかしていて、突然演奏が始まっておろおろとしている聴衆の雰囲気が伝わってきます。
演奏は超弩級なほどスケールが大きく、一度聴いたら強烈な印象が当分残るようなものです。
特に「グレイト」の終楽章で同じ和音を繰り返すところがありますが、まるで重いものを引きずっているような鈍さは圧巻です。
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