こんにちは、
ともやんです。
フェレンツ・フリッチャイの悲愴は、1959年にグラモフォン初の悲愴のステレオ録音として録音されましたが、
いくつかの理由で発売されず、お蔵入りとなり幻の録音と言われていました。
しかし、録音から37年経った1996年に初めて発売され、その凄まじい演奏に世界が涙した名演です。
クラシック音楽を愛する人たち全てに聴いてもらいたい名盤です。
指揮者のフェレンツ・フリッチャイ(1924-1963)は、将来を嘱望されながら、48才で白血病で亡くなったハンガリー出身の名匠です。
若い頃の颯爽とした演奏から、1957年の発病からの演奏スタイルがガラッと変わり、この悲愴が録音された59年は、彫りの深い円熟の境地に達していました。
フリッチャイの名盤 チャイコフスキー交響曲第6番”悲愴”
ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー – Pyotr Il’yich Tchaikovsky (1840-1893)
交響曲第6番 ロ短調 「悲愴」 Op. 74
Symphony No. 6 in B Minor, Op. 74, “Pathetique”
1.(21:18)I. Adagio – Allegro non troppo
2.(09:20)II. Allegro con gracia
3.(08:55)III. Allegro molto vivace
4.(11:04)IV. Finale: Adagio lamentoso
total(50:37)
ベルリン放送交響楽団 – Berlin Radio Symphony Orchestra (Radio-Sinfonie-Orchester Berlin)
フェレンツ・フリッチャイ – Ferenc Fricsay (指揮)
【SHM-CD】 チャイコフスキー:交響曲第6番≪悲愴≫ フェレンツ・フリッチャイ
1963年に49歳で夭逝したフェレンツ・フリッチャイ。彼は第二次世界大戦後の混迷したヨーロッパ楽界に彗星のように登場し、モノラル録音の時代からステレオの初期に活動し、数多くのレパートリーを次々と録音してきた。
そうした彼も病を境にその芸術が一変。なかでもこの≪悲愴≫は二度目の手術後の再起第一作として、またドイツ・グラモフォン初の≪悲愴≫ステレオ録音をめざしたものとして意義深いもの。
フリッチャイが一音一音を慈しみ、万感を胸に抱き演奏されたこの≪悲愴≫は彼の時代を明確に刻む記念碑といえるもの作品。 (C)RS
JMD (2016/06/11)
フリッチャイのチャイコフスキー”悲愴”が世に出るまで
1996年4月にポリドール株式会社から発売された日本盤のCDのジャケットには、次のようなコメントが記されています。
フェレンツ・フリッチャイはこの≪悲愴≫の第1楽章の一部の再録音を希望していましたが、(彼の死により)実現しませんでした。
しかし、音楽的及び歴史的見地から初めて発売に同意していただいたフリッチャイ協会の英断に対し、ドイツ・グラモフォンは心より感謝の意をここに表します。
このドイツ・グラモフォンのコメントから、制作側のグラモフォンとしては、発売したいのだけど、フリッチャイ側が反対していたことになります。
これは当然なことで、費用も使っている制作側はビジネス面では、早く発売して資金を回収したいのがやまやまですが、フリッチャイ側は、あくまで個人の遺志を尊重したということです。
でもよくもグラモフォン側は、30年以上も粘り強く交渉したものだと思います。
37年と言えば、新入社員が定年を迎えるほどの年月です。
その辺のビジネスストーリーも知りたいですね。
まとめ
この録音が、本当に世に出てよかったと思います。
世界遺産級の録音が、誰にも聴かれず、レコード会社に眠っているなんてこれ以上悲しいことはありません。
僕はいろんな指揮者のCDで悲愴を聴きましたが、他の指揮者と比べようがないくらい凄まじい演奏です。
まさにこの演奏には、命を懸けた、そしてこの演奏がもしかして人生の最後の演奏になるかもしれないという覚悟が痛切に伝わってきます。
中身の濃い凄演なので、聴き通すとぐったり来ます。
でもこの演奏を聴かないで悲愴を語ってはいけないと思います。
まさに聴かずに死ねない1枚!
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