こんにちは、
ともやんです。
初めてギレリスの名前を知った時「鋼鉄のタッチをもつピアニスト」というキャッチフレーズと一緒にでした。
そして初めて聴いたギレリスのCDがこのグリーグの抒情小曲集。
その繊細で深いタッチに感銘を受けたと共に、キャッチフレーズとのギャップに疑問を持ちました。
キャッチフレーズが生まれたのは、1955年にアメリカデビューして一大センセーションを起こした時についたもの。それが日本にそのまま届いたようです。
当時の米ソ関係やギレリスの40歳という年齢を考えれば、かなりの気負いもあったと思います。
本当のギレリスは、強靭なテクニックを基本に誠実で真摯で繊細にして深い演奏をするピアニストだと思います。それはこの録音が証明してくれていると思います。
ギレリス 鋼鉄のタッチをもつピアニスト
ギレリスは、第二次大戦後いち早く演奏活動を開催し、1948年には西側でも活動を始めました。
この年に行われたパリ音楽祭にもギレリスは登場しました。
当時ギレリスは32歳。
ソ連出身の青年ピアニスト、ギレリスの凛々しい演奏ぶりは多くの聴衆を魅了しました。
これをきっかけにギレリスは西側での活動を本格的に行っていきます。
そして彼の名声がワイルドワイドに響きようになったのが、1955年のアメリカデビューでした。アメリカ側も「鉄のカーテンからの初の一流音楽家」と受け入れています。
ギレリスのアメリカ公演は、彼の桁外れの超人的なヴィルトゥオーゾぶりを発揮し一大センセーションを巻き起こしました。
その時についたキャッチフレーズが「鋼鉄のタッチをもつピアニスト」でした。
この表現がそのまま、日本でもギレリスを語る時に付いて回るフレーズとなりました。
僕が聴いた範囲では、ギレリスは、強靭はテクニックを前面に打ち出すタイプではなく、むしろしなやかで繊細をピアノを聴かせてくれます。
しかし、このグリーグの抒情小品集でも、必要な時はハッとするようなヴィルトゥオーゾぶりを発揮します。
ギレリスの繊細で深い感性といざと言う時の素晴らしいテクニックを堪能できる名盤です。
エミール・ギレリス グリーグ 抒情小品集
エドヴァルド・グリーグ – Edvard Grieg (1843-1907)
抒情小品集 第1巻 Op. 12 – 第1曲 アリエッタ
1.(01:18) Lyric Pieces, Book 1, Op. 12: No. 1. Arietta
抒情小品集 第2巻 Op. 38 – 第1曲 子守歌
2.(02:50) Lyric Pieces, Book 2, Op. 38: No. 1. Berceuse
抒情小品集 第3集 Op. 43 (抜粋)
Lyric Pieces, Book 3, Op. 43 (excerpts)
3.(01:41) No. 1. Butterfly
4.(02:13) No. 2. Lonely wanderer
total(03:54)
抒情小品集 第4巻 Op. 47 (抜粋)
Lyric Pieces, Book 4, Op. 47 (excerpts)
5.(03:23) No. 2. Album leaf
6.(03:55) No. 3. Melody
7.(01:29) No. 4. Halling
total(08:47)
抒情小品集 第5巻 Op. 54 (抜粋)
Lyric Pieces, Book 5, Op. 54 (excerpts)
8.(03:59) No. 4. Nocturne
9.(02:36) No. 5. Scherzo
total(06:35)
抒情小品集 第6巻 Op. 57 – 第6曲 郷愁
10.(04:19) Lyric Pieces, Book 6, Op. 57: No. 6. Homesickness
抒情小品集 第7巻 Op. 62 (抜粋)
Lyric Pieces, Book 7, Op. 62 (excerpts)
11.(01:32) No. 4. Brooklet
12.(02:39) No. 6. Homeward
total(04:11)
抒情小品集 第8集 Op. 65 – 第5曲 バラード
13.(04:01) Lyric Pieces, Book 8, Op. 65: No. 5. Ballad
抒情小品集 第9巻 Op. 68 (抜粋)
Lyric Pieces, Book 9, Op. 68 (excerpts)
14.(02:00) No. 2. Grandmother’s Minuet
15.(02:56) No. 3. At your Feet
16.(03:16) No. 5. Lullaby
total(08:12)
抒情小品集 第10巻 Op. 71 (抜粋)
Lyric Pieces, Book 10, Op. 71 (excerpts)
17.(04:33) No. 1. Once upon a Time
18.(01:35) No. 3. Puck
19.(02:31) No. 6. Gone
20.(01:54) No. 7. Remembrances
total(10:33)
エミール・ギレリス – Emil Gilels (ピアノ)
録音: June 1974, Jesus-Christus-Kirche, Berlin, Germany
グリーグの佳曲をピアニスト、エミール・ギレリスの奥行きのある表現力で演奏した1974年録音の名盤。
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