こんんちは、
ともやんです。
僕は、もう30年ほど前から、オットー・クレンペラーのLPやCDをコツコツ集めています。
多分、僕のライブラリーの中で一番多い指揮者だと思います。
それならさぞかし聴いているだろう、と思うと自分でもオヤッと思うほど聴いていません。
まあ、その前に新しく購入したCDなど聴いていかなきゃいけないので美味しいものは、取っておく的に後回しにしているのかもしれません。
それとやはり、クレンペラーを聴くなら、襟を正し、きちんと正座して聴かなければいけないという一種の儀式に向かうような覚悟が必要なんですね。
そう、だからクレンペラーでも聴くか、なんて絶対言えない畏れ多い雰囲気を持っていることは確かです。
クレンペラー ベートーヴェン 交響曲第5番”運命”
さて今日は、クレンペラーの数多いベートーヴェンの第5の中でも、特に外せない録音です。
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン – Ludwig van Beethoven (1770-1827)
交響曲第5番 ハ短調 「運命」 Op. 67
Symphony No. 5 in C Minor, Op. 67
1.(08:05) I. Allegro con brio
2.(10:07) II. Andante con moto
3.(05:41) III. Allegro
4.(11:09) IV. Allegro – Presto
total(35:02)
フィルハーモニア管弦楽団 – Philharmonia Orchestra
オットー・クレンペラー – Otto Klemperer (指揮)
『クレンペラー / ベートーヴェン: 交響曲 & 序曲集 (限定盤)』
媚びも無い頑固一徹の言わば辛口のベートーヴェンが分かる歳になったかとクレンペラーを評価出来る自分自身の成長が妙に歯痒いけど、この全集は貴方の耳を確かめる診断書になる凄い全集なんです。
タワーレコード カスタマーボイスより
クレンペラー 相次ぐ災難を克服して終身首席指揮者に
1958年10月、チューリッヒの自宅で、寝タバコが原因でシーツが燃え、
近くにあった液体をかけたら、これが揮発性で、よりひどくなり、
クレンペラーは、全身15%に及ぶ大やけどを負って重体に陥ってしまいました。
結局予定されていたバイロイトやオランダ音楽祭などキャンセル。
その後、皮膚移植手術を何度か繰り返し、1959年7月になんとか回復し、
9月にはルツェルン音楽祭でフィルハーモニア管を振って
ピアニストのハスキルと共演し復帰しました。
しかしその後も順調ではありません。
次は急性両性心膜炎と診断され、
メトロポリタン歌劇場の出演をキャンセルしなければなりませんでした。
でも神はクレンペラーを見捨てませんでした。
稀代のプロデューサー・ウォルター・レッグより
フィルハーモニア管の終身首席指揮者就任の申し出があったのです。
クレンペラーの不屈の精神に火が付きました。
不死鳥の如く立ち上がったクレンペラーは、
晩年の冷徹な中にも情熱を凝縮した圧巻の名演を残して行くのでした。
評論家宇野功芳氏は、
このクレンペラーの芸術を情熱の氷づけと評しましたが、
まさに言い得て妙と言うものです。
クレンペラー ベートーヴェン 運命からの快進撃
EMIのクレンペラー&フィルハーモニア管とのステレオ録音によるベートーヴェンの交響曲全集の録音は、1957年に始まりました。
しかし、クレンペラーの大やけどで一時中断し、60年に完成しました。
この全集を聴くと分かりますが、57年に録音した第1番、2番、4番、6番”田園”、8番、9番と59年以降の3番”英雄”、5番、7番では、明らかに違っています。
59年以降は、迷いがなくなったというか、芸術が熟してきたというかそんな感じを持ちます。
その意味では、この第5番は、記念すべき録音であり、しかも数多い第5番の録音の中でも、仰ぎ見る歴史的名演です。
聴かずに死ねない名盤です。
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