こんにちは、
ともやんです。
ウィーン生まれのゲオルグ・ティントナーは、ユダヤ系ということで、ナチスの迫害を受け、数奇な運命を辿った指揮者です。
以前、ティントナーのブルックナーに対してのコメントでその生涯に触れています。
↓
ティントナーのブルックナー第7番 素朴な中の深い祈りに感動
今日は、ブルックナーの全集完成前のライブ録音の演奏をご紹介します。
ティントナーのベートーヴェン交響曲第3番”英雄”
ルードヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)
交響曲第3番変ホ長調作品55″英雄”
Ⅰ(19:39)Allegro con brio
Ⅱ(15:48)Marcia funebre:Allegro assai
Ⅲ(06:28)Scherzo:Allegro vivace
Ⅳ(12:27)Finale:Allegro molto
ゲオルグ・ティントナー指揮
シンフォニー・ノヴァ・スコシア
録音1988年3月30日
ティントナーの”英雄”がいいです。
小編成のシンフォニー・ノヴァ・スコシアを鼓舞して凛として、質素で慎ましかな演奏は、名もなく貧しいけれど誇りをもって生きている青年を連想させます。
第一楽章のコーダで、トランペットが力強く主題を吹く部分で、ティントナーは楽譜の通り木管に吹かせていて、かえって新鮮で清廉な印象を与えてくれます。
ティントナー シベリウス交響曲第7番
ヤン・シベリウス(1865-1957)
交響曲第7番ハ長調作品105
Ⅰ(24:57)
ゲオルグ・ティントナー指揮
シンフォニー・ノヴァ・スコシア
録音1999年1月19日
ティントナーの偉業は、94年から死の直前まで行った、ナクソスのブルックナー交響曲全集という偉大な企画です。
この大企画をティントナーが受け持ったおかげでナクソスは安いだけというイメージは払拭され、そしてティントナーは名声を得ました。
しかし、人生の神は残酷でした。1999年10月、ティントナーは病により自らその命を絶ったのです。
このシベリウスの第7交響曲は、その死の数ヶ月前のコンサートからのライブ録音です。
瑞々しいなかにも祈るような、そして胸が締め付けられような演奏です。
この演奏を聴いていると、ティントナーの悲劇は辛いものがありますが、最後には脚光を浴びることができたその生涯に敬意を払わずにはいられません。
まとめ
ティントナーのメモリアルエディションは全12集あるんですが、なかなか入手困難なようです。以前全商品をHMVに発注しましたが、結局4集しか入手できませんでした。
この記事を書きながら改めてトライしています。
ティントナーの演奏にどうして心打たれるんだろうと考えると、一人の人間が誇りをもってあらゆる困難の中、ひたむきに生きてきたその凛とした姿を想像させるからだと思います。
人生なんて思うようにいかないものさ、でも捨てたもんじゃないかもよってね。
コメント