こんにちは、
ともやんです。
今日は、’70年代、カール・ベームがウィーンフィルと入れた、ベートーヴェン交響曲全集から第5番をご案内します。
カール・ベームの膨大な録音の中では特に評価が高いわけではありませんが、その脱力系の演奏が最近気に入っています。
50年代のベームは厳しく造型を作り上げる指揮者でした。
そのきりりとした厳しい演奏には、襟を正さずにはいられない魅力がありました。
でも、70年代にウィーンフィルと録音した全集には、50年代には見られなかった力の抜けた演奏が聴かれます。
最初聴いた時は、ベームも老けたな、なんて思っていましたが、最近は、これはこれでなかなかいいな、感じるようになりました。
僕自身が力が抜けてきたのでしょうか。
さて、今日はカール・ベームが70年にウィーンフィルと録音したLPをご案内します。
カール・ベームの名盤 ウィーンフィルとの脱力系”運命”
ルードヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)
交響曲第5番 ハ短調 作品67「運命」
Ⅰ(08:35)Allegro con brio
Ⅱ(11:00)Andante con moto
Ⅲ(06:17)Allegro-attacca
Ⅳ(09:27)Allegro
カール・ベーム指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
1970年4月25日~30日録音
ベートーヴェン: 交響曲 第5番 「運命」, 第7番 カール・ベーム ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
数日前に1953年録音のベーム&ベルリンフィルの録音をご案内しました。
当時60才前のベームもこの録音時は既に70代後半。
同じ「運命」の演奏はどう変化したでしょうか?
このウィーンフィルとの録音は、ベルリンフィルの厳しい造形美と激しい気迫、
そしてフルトヴェングラー統治下のベルリンフィルの怒涛のアンサンブルとはちがい、
もっと穏やかで、力こぶの入っていない、
そしてウィーンフィルの豊穣なサウンドを楽しむ演奏になっています。
第1楽章の冒頭も気の抜けたような出だしで、第3楽章も気迫と緊張感に乏しく感じます。
最終楽章になってやっと気合が入って来たかなという演奏です。
でも決して平凡ではなく、ゆとりあるウィーンフィルのサウンドが素晴らしいです。
これはこれで名演と言えましょう。
カール・ベームの名盤 ベートーヴェン 交響曲第5番
ベートーヴェンの第5番は、運命という表題が付いていましたが、
その表題自体は、“英雄”“田園”とは違い、ベートーヴェン自体が付けたものではなく、
シントラーがベートーヴェンに、第一楽章の冒頭の主題の持つ意義をたずねたところ、
彼が「運命はかく扉をたたく」といった逸話より、運命という名称がついたようです。
ただ、この名称は、僕がクラシックを聴き始めた40年前にNHKあたりが名称を止めたようで、
いまでは言う人は少ないようです。
この曲、クラシック音楽のベストセラーでシューマンはこんなことを言っています。
「いくら聞いても、あたかも自然の現象のように、畏敬と驚嘆とが新たになる。
この交響曲は、世界の音楽が続く限り、いく世紀も残るだろう」と述べています。
作曲されて200年以上、シューマンの見識眼はさすがで、まさにその予想は当たっていますね。
カール・ベーム&ウィーン・フィル ベートーヴェン交響曲全集
【曲目】
ベートーヴェン/交響曲全集
DISC 1
01.交響曲第1番 ハ長調Op.21
02.交響曲第2番 ニ長調Op.36
03.《エグモント》序曲
DISC 2
04.交響曲第3番 変ホ長調Op.55《英雄》
05.交響曲第4番 変ロ長調Op.60
06.交響曲第5番 ハ短調Op.67《運命》
DISC 3
07.交響曲第6番 ヘ長調Op.68《田園》
08.《プロメテウスの創造物》序曲
DISC 4
09.交響曲第7番 イ長調Op.92
10.交響曲第8番 ヘ長調Op.93
11.《コリオラン》序曲
DISC 5
12.交響曲第9番 ニ短調Op.125《合唱》
【演奏】
カール・ベーム(指揮)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
(12)ウィーン国立歌劇場cho.(ノルベルト・バラッチュ指揮)
ギネス・ジョーンズ(S)タティアナ・トロヤノス(Ms)
ジェス・トーマス(T)カール・リッダーブッシュ(Bs)
【録音】
(01)~(05)(08)~(11)1972年9月、(07)1971年5月 以上ムジークフェラインザール
(06)(12)1970年4月、ジンメリンガーホーフ,以上ウィーン
【SACD】 ベートーヴェン:交響曲全集 [SACD[SHM仕様]]<初回生産限定盤> カール・ベーム 、 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
今なお、日本で根強い人気を誇るウィーンの巨匠指揮者カール・ベーム。2019年に生誕125周年を迎えるにあたり、彼がウィーン・フィルと共に録音したベートーヴェンの交響曲集を初SACD化。ベートーヴェンは3曲の序曲と9つの交響曲を収録した5枚組で、SA-CDの長時間収録仕様を生かし、CDよりも1枚少ない全集になっています。
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