こんにちは、
ともやんです。
今年は、ベートーヴェンの生誕250年ということで、いつも以上にベートーヴェンのCDを聴いています。
交響曲全集も昨年から新譜だったり再販だったりたくさん出ています。
その中で名門ウィーンフィルも昨年録音して交響曲全集をリリースしています。
そしてこの記念すべき年に発売した録音の指揮者がアンドリス・ネルソンス。
ここでちょっとネルソンスに触れたいと思います。
アンドリス・ネルソンス プロフィール
アンドリス・ネルソンス(1978年11月18日生まれ)は、バルト三国のひとつラトヴィアの出身で、同国の国立歌劇場のトランペット奏者を務めた後、サンクト・ペテルブルク音楽院に留学、2002年からマリス・ヤンソンスに師事。
’03~07年ラトヴィア国立歌劇場首席指揮者、’06~09年北西ドイツ・フィル首席指揮者を歴任、’08年9月バーミンガム市交響楽団音楽監督に就任して現在に至る、
と2010年1月に音楽之友社から出版されたONTOMO MOOK『世界の指揮者名鑑 866』に紹介されています。
実の小さな扱いでしたが、以降の10年間のネルソンスの活躍は、目を見張るものがあります。
まず2010年の夏に、バイロイト音楽祭でワーグナーの「ローエングリン」を指揮。続いて10月にはベルリンフィルの定期演奏家に客演しました。
また同年小澤征爾の代役としてウィーンフィルの演奏会と日本公演の指揮者を務めました。
翌2011年、ジェームズ・レヴァインの代役としてボストン交響楽団のカーネギー・ホールの演奏家に客演し、2014年から同楽団の音楽監督に就任しました。
また2017年からは名門ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のカペルマイスターに就任。
一方ウィーンフィルとは、ベートーヴェン生誕250周年を記念する交響曲全集を昨年録音し、今年のニューイヤーコンサートを務めたのです。
ネルソンス ウィーンフィル ベートーヴェン交響曲全集
ウィーンフィルによるベートーヴェンの交響曲全集の録音は、名門にも関わらず意外と少ないように感じます。
世紀の巨匠と言われたワインガルトナー、ワルター、フルトヴェングラー、クレンペラー、カラヤンなどは、一部録音していますが、残念ながら全集はありません。
ウィーンフィルは自主運営のオーケストラなので、オーケストラが指揮者を選ぶというスタイルを取っているそうです。
だからレコード会社や指揮者の都合よりも自分たちの意見が優先されるのでしょうか。
以下にウィーンフィルで全集を録音した指揮者を列記しました。
錚々たる名匠が続きますが、先に挙げた指揮者に比べ微妙に小粒かなとも感じます。
ハンス・シュミット=イッセルシュテット(1900-1973)
カール・ベーム(1994-1981)
レナード・バーンスタイン(1918-1990)
クラウディオ・アバド(1933-2014)
サイモン・ラトル(1955-)
クリスティアン・ティーレマン(1959-)
アンドリス・ネルソンス(1978-)
7名の内、ラトル、ティーレマン、ネルソンスが21世紀になってからの録音です。
上記指揮者のベートーヴェン全集は、全て聴きましたが、ティーレマンのみ一部です。
ラトルが鮮烈さを表現しようとしたのに対し、ネルソンスは、あくまでオーソドックスで正攻法な表現に終始しています。
ネルソンス ベートーヴェン 交響曲第3番”英雄”
さて、今回ネルソンスの指揮で第3番”英雄”を聴きました。そして深い感銘を受けました。
第1、2番と聴いて、いまひとつだなという印象でした。
ネルソンスのように正攻法の演奏だと、下手するとつまらない演奏になることもあります。
こんなことを書くと朝比奈さんのファンに怒られそうですが、朝比奈さんが60年代に北ドイツ放送響と録音したベートーヴェンの交響曲が全然面白くありません。
真っ向勝負で誠実に演奏を展開して行くのですが、後年輝きを放った凄みがないのです。
せっかく世界的オーケストラを振っているのにもったいないと思うのですが、朝比奈さんの凄いところは、愚直にそんな演奏を繰り返し積み上げて行ったことです。
実はネルソンスに関してもそれを感じます。現状だけなら巨匠とは言えないけど、それを予感させるものがあるのかもしれません。
それを第3番”英雄”の録音からは感じました。
スケールはあまり大きくありませんが、第1&2番では不満だった覇気と迫力があるのです。特に第2楽章の慟哭の表現は凄いです。
ぜひ、聴いてみてください。
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン – Ludwig van Beethoven (1770-1827)
交響曲第3番 変ホ長調 「英雄」 Op. 55
Symphony No. 3 in E-Flat Major, Op. 55, “Eroica”
1.(17:40) I. Allegro con brio
2.(16:34) II. Marcia funebre: Adagio assai
3.(05:53) III. Scherzo: Allegro vivace
4.(12:19) IV. Finale: Allegro molto
total(52:26)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 – Vienna Philharmonic Orchestra
アンドリス・ネルソンス – Andris Nelsons (指揮)
録音: 1-2 April 2019, Grose Musikvereinssaal, Vienna, Austria
【CD】 ベートーヴェン: 交響曲全集 [5CD+Blu-ray Audio] アンドリス・ネルソンス 、 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
最後に
ネルソンスの演奏は、僕の中ではまだ評価が定まっていません。
この人凄いなと思ったのは、グリモーのピアノソロによる、ベートーヴェンの協奏曲でした。
その後、ブラームスの交響曲やブルックナーを聴きましたが、協奏曲ほどの感銘を受けませんでした。
なんでなのかな、と思ったら、演奏が正攻法でまともなので、面白さに掛けるのです。でも、これだけ世界の有力オーケストラを振っているからには、何かあると思うのです。
現在の僕はネルソンスの魅力を探し続けてます。
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